投資家見習いのブログ

世界の地政学的リスクと経済指標を独自の数値で可視化し、マーケットを語ります。

【7/19-7/23週の世界のリスクと経済指標】〜主要国の金融政策スタンス〜

先週の評点:

 

リスク   -1点(35点):小幅悪化 (基準点36点) 

経済指標  +1点(70点):小幅良化 (基準点69点)

 

 

【リスク】

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先週のリスクはマイナス1ポイントの小幅悪化としました。

デルタ株の猛威は収まらず、東南アジアでは工場停止に追い込まれ、サプライチェーンの停止からトヨタなど日本の製造業にも影響が出始めています。

またファイザーはデルタ株にも効果があると発表しつつも、イスラエルではファイザーワクチンの予防効果が39%まで低下していると発表しました。ワクチンを接種しても手放しで経済活動に戻れないことが懸念され始めました。

 

政治面では独露のガスパイプライン「ノルドストリーム2」が容認されました。

ノルドストリーム2は長年米独間での懸案となっていましたが、米国側に対中戦略においてドイツだけでなくロシアとの距離を近づけたい思惑が働いたのか、一転容認となりました。

 

また、東京で初の無観客でのオリンピックが開幕しました。

 

 

【経済指標】

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先週の経済指標はプラス1ポイントの小幅良化でした。

米国の6月住宅着工件数は、ここ最近の原材料高を反映してブレーキがかかるかと思いきや予想1.2%に対して6.3%と大幅な増加を見せました。インフレ圧力が高まりながらも引き続き需要が旺盛であることが示されました。

 

 ECBは7/8に中期インフレ目標をこれまでの「2%に近いかそれを下回る水準」から「2%」へ引き上げることを発表していましたが、これを持続的に達成するまで超緩和政策を継続することを新たなガイダンスとしました。

 

欧米のPMIはドイツが製造業、サービス業共に前回値、予想値を上振れました。

ここ最近陰りが見え追加金融緩和を行なった中国経済ですが、中国経済の側面指標であるドイツ製造業PMIから推測すると未だ好調さは継続している様に見えます。一方で7/21に発表された日本の工作機械受注では、中国向けが前月比27.6%減の280億円と急激に鈍化しており気になるところです。

 

次週は米FOMC、米4-6月期GDP、米PCEコアデフレーターが注目指標です。

FOMCは8月のジャクソンホールでのテーパリング示唆がコンセンサスとなっていますが、直前のFOMCで議論される内容が注目されます。

 

 

【先週の振り返りと考察】

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 週明けはデルタ株の急拡大による景気回復の遅れが懸念され、安全資産である米国債券への逃避が強まって長期金利は一時1.2%を割り、それと共に主要株式指数は大幅に下落しました。

しかしその後は押し目買いの反発から好調な企業決算を経て楽観が戻り、最終的には米株3指数は最高値を更新し、ダウも史上初の35,000ドルに乗せて週を終えました。

 

S&P500採用銘柄のうち120社が決算発表済みですが、その88%がコンセンサスを上回っている模様です。

金融相場の底堅さと米国企業の業績好調さが目立った週となりました。

 

 次週はテスラ、アップル、アルファベット、マイクロソフト、アマゾン、ボーイング、フォード、キャタピラーシェブロンエクソンなどの大手企業の決算が続きます。

先週はナスダックがアウトパフォームしましたが、次週もこのまま上昇基調に乗りながら、ハイテク株の決算好調を背景にナスダックがアウトパフォームすると予想します。

 

 

〜主要国の金融政策スタンス〜

さて、次週は7/27-28にて米FOMCが開催されます。

テーパリングが示唆されるとコンセンサスとなっているジャクソンホール会議前の最後のFOMCとあって会議の内容が注目されます。

先進国の景気回復からインフレ圧力が高まっている中で、米国の金融政策に注目が集まっていますが、米国以外の各国も様々な政策を打っています。

下記は各国の7/24現在の金融政策の一覧です。

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オレンジ色がタカ派スタンスの政策、青色がハト派スタンス、緑色がハト派拡大スタンスです。

 

これらの現状を整理すると下記の通りとなります。

 

インフレ目標をCPIが上回り、景気回復を背景にテーパリングしている国
 →NZ、カナダ、豪州(先進国)
インフレ目標をCPIが上回り、景気回復が弱いながらもインフレ抑制で利上げしている国
 →トルコ、ロシア、ブラジル、メキシコ(新興国

インフレ目標をCPIが上回っているが景気回復に不安があり利上げできない国
 →南アフリカ、インド、韓国(新興国

インフレ目標をCPIが下回っているため現状維持、もしくは緩和拡大傾向の国
 →イギリス、EU、日本、中国(先進国+中国)


米国の22年からのテーパリングおよび23年中の利上げは既にコンセンサスとなっていますが、今後より詳細な時期や規模が示されることとなります。

その際にコンセンサスとのズレがどの程度発生してくるかによって、各国の金融政策への影響が出てくると思われます。

 

 仮に米国のテーパリング時期や利上げ観測が早まるのであれば、自国通貨安とインフレ高進の防止のために、既に利上げに踏み切っている②のトルコ、ロシア、ブラジル、メキシコは更なる利上げに踏み切らざるを得ないでしょう。

また利上げ予備軍である③の南アフリカ、インド、韓国などは未だ経済回復途上であり、できる限り緩和を維持したい状況ですが、こちらも利上げに踏み切らざるを得ないと思います。

 

もちろん米国のテーパリング開始や利上げ観測が米国自身や先進国の株式市場を冷やさずに軟着陸できるかどうかが最も気になるところです。

一方でそれに連動して各国の経済にどのように作用し、その国の金融政策にどの様な変化をもたらすのか、というところも注意して見ていきたいと思います。

 

以上

【7/12-7/16週の世界のリスクと経済指標】〜選挙を前に思うこと〜

先週の評点:

 

リスク   -4点(32点):悪化 (基準点36点) 

経済指標  +1点(102点):小幅良化 (基準点101点)

 

 

【リスク】

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先週のリスクはマイナス4ポイントの悪化としました。

新型コロナは東南アジアでの感染拡大が止まりません。インドネシア、タイ、マレーシアなどでは病床も不足しており、日系企業の邦人駐在員の帰国も始まりました。(私の会社のインドネシア、タイの子会社の駐在員も帰国となりました。)

欧米でも再び上昇を示していますが、一方で死亡者数はワクチン効果で強い伸びは示しておらず、イギリスでは今後は感染を受け入れながら規制を解除できるかどうか試していくことになります。

 

またキューバ南アフリカ、ハイチなどで政情不安となりました。

キューバではインフレやコロナ対策への不満、南アフリカでは前大統領収監に対する抗議、ハイチでは大統領暗殺と、人々のストレスが溜まる中で混乱が広がっています。それぞれ経済的には小国であり、世界経済に影響を与えるものではないと思いますが、国民の民意の変化も含めて注目していきます。

 

 

【経済指標】

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先週の経済指標はプラス1ポイントの小幅良化となりました。

米6月コアCPIは4.5%となり6月も強いインフレ傾向を示しました。

それに対してパウエル議長は、緩和縮小は「まだ先」と発言し、改めて現在のインフレが一過性である認識を示しました。

米6月小売売上高は予想に反して0.6%の伸びを見せ消費の回復を示しましたが、一方で7月ミシガン大学消費者態度指数は予想86.5に対し80.8と大幅に低下し、強いインフレが住宅や自動車の購入意欲を削ぎ始めていること示しました。

米経済は回復しつつも、徐々にインフレが消費に対して重荷になってきた印象です。

 

一方で豪準備銀行のテーパリングに続き、NZ準備銀行は量的緩和を停止しました。

また4月に量的緩和縮小を開始したカナダ中銀は債券購入額をさらに10億カナダドル縮小しました。

経済規模の大きくない先進国では、米国の動きを意識しながらもテーパリングでインフレの抑制に向けた動きが展開されています。

 

中国4-6期GDPは7.9%と堅実な成長を見せるも予想8.1%には届かずやや減速感を示唆しました。

 

次週は米住宅着工件数、ECB総裁定例会見、独PMIに注目します。

住宅着工件数はインフレ圧力からの消費の減退が具体的な指標として現れ、景気のブレーキなるかどうか注目します。

ECB総裁定例会見は、先週3月末以降の金融政策に関する新しいガイダンスを出すことが示されましたので、それがどのようなものになるか注目しています。

また独PMIはやや減速傾向にある中国経済が未だ堅調なのかどうかを図る指標として注目します。

 

 

【先週の振り返りと考察】

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先週の株価指数は欧米主要指数は軟調に推移しました。

デルタ株が東南アジアで猛威を振るい、欧米でも再び感染再拡大していることを受け景気回復の後退が意識されました。

また米6月CPIの結果を受け、半導体や労働者の不足が収まらずインフレが長期化する懸念が燻り始めました。

一方で長期金利は1.3%まで低下しながらもドル高となり、安全資産である米国債への資金の移動が行われました。

 

次週は米国企業の決算が本格化しますが、先週の銀行株の株価を見ると、やはり決算のハードルが高くなっていることが伺え、相当なサプライズがないとやや上値が重たい展開が続くと思われます。

金利も低下しており、特にバリュー株には厳しい状況であることからダウに下目線です。

 

 

 

〜選挙を前に思うこと〜

さて、世界の政治経済の動きとは関係ありませんが、今週末は私が住む兵庫県の知事選挙があります。

私にとって今回の選挙はコロナ禍となってから初めての選挙です。

従来から選挙には積極的に参加してきましたが、コロナ禍となったこの1年超で選挙に対して思いを新たにする出来事がありました。

 

それは米国の大統領選です。

トランプ前大統領もワープスピード作戦など強いリーダーシップでコロナ禍での米国を率いていましたが、選挙が近づくにつれ独善的で攻撃的な発言で分断を煽り暴走しました。

それにより米国の民主主義が一時大きく衰退しました。

しかし大統領選挙での国民の選択によってバイデン政権に変わりました。

それにより一気に逆回転し同盟国との関係重視や分断を回避するための経済格差縮小への政策に舵が切られました。

行き過ぎた前大統領の暴走行為が民意の力によって否定され、修正されたのです。

私はその民主主義のダイナミックな修正力に驚き、民意の力強さを実感しました。

 

我々民主主義国家の国民はリーダーの能力を見極めることができ、もしその能力や方針に満足できないのであれば選択によって修正できる力を持っています。

 一方で中国などの専制主義国家においては、国民はリーダーを選ぶことができず、仮にその方針が行き過ぎ、国民が修正したいと思ったとしてもそれはなかなか出来ません。

多くの場合、反乱分子として弾圧を受けることになります。

 

メルケル首相は2019年に米ハーバード大学で講演した際に「自由が当たり前でないことを忘れてはいけない」と言いました。

我々は18歳になると自動的に選挙権を与えられますが、若い人を中心にそれを行使しない人も多くいます。

しかしその権利は当たり前のものではなく、専制主義国に生きる人たちには得難い権利です。

その権利があるからこそ、我々は民意に叶う方向へ国を進めていけるのだと思います。

つまり選挙権は世界をより良い方向へ導くために、我々民主主義国家の国民に与えられた最も尊ぶべき権利であると考えます。

 

今回私が投票する選挙は国会議員を選ぶわけでもなく、それが直接国家元首を選ぶことに繋がるわけではありません。

しかし、私たちに与えられた尊い権利を行使するという意味で、今回の県知事選挙に特別な思いを感じています。

私の票が私たちの進む方向を作り上げていくことを強く意識し、誰に託すのが最良なのかしっかりと考えた上で投票に臨みたいと思います。

 

以上

【7/5-7/9週の世界のリスクと経済指標】〜指標から見える中国経済の陰り〜

先週の評点:

 

リスク   -6点(30点):悪化 (基準点36点) 

経済指標  -14点(37点):大幅悪化 (基準点51点)

 

 

【リスク】

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先週のリスクはマイナス6ポイントの悪化となりました。

新型コロナはデルタ株の蔓延で世界的な新規感染者が再び増加傾向に変わりました。

インドネシア、タイなどの東南アジアではかつてない急拡大に見舞われ、欧州でもイギリスやスペインなどで再拡大し、景気回復の先行きに不透明感が出ています。

一方でワクチンの効果も出ており、イギリスでは感染者は増えているものの死者数が低位となっているため、ロックダウンの解除に踏み切りコロナとの共存を図る試みが行われます。

 

政治面では中国当局が自国企業である滴滴出行のアプリのダウンロードを停止し、同時に自国のハイテク企業に対して海外上場の規制強化を発表しました。米上場の中国企業に対して米政府が監視を強める中、中国当局が情報流出に警戒を示した形となっています。これにより米中の分断が貿易や技術分野だけでなく資本市場にまで及んできました。

 

一方でG20財務相会議において、最低法人税率15%や国際的な法人課税の新たなルールの大枠を合意しました。米中を中心に分断が進む中、国際ルール作りにおいては一定の協力体制が残されていることが示されました。

 

 

【経済指標】

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 先週の経済指標は米欧中とどれも景気減速から悪化を見せ、マイナス14ポイントの大幅悪化でした。

個人的には中国指標に注目しましたが、詳細は後述します。

 

先週は各国中銀の政策発表も相次ぎ、ECBは物価目標をこれまでの「2%に近いかそれを下回る水準」から「2%」へ引き上げ一時的な上振れの容認姿勢を明確にしました。

一方で豪中銀は政策金利を現行のままに維持しながらもQEの額を減額しテーパリング開始することを示しました。

 

次週は米CPI、パウエル議長発言、NZ中銀政策発表が注目されます。

米CPIは一時的な強いインフレは既にコンセンサスとなっているため、大きく揺れることは少ないと思います。またパウエル議長の発言もサプライズなく従来スタンスの発言になると思われます。

NZ中銀政策発表は、向こう数ヶ月でQE終了が予想される中で、豪中銀に続きテーパリングにどこまで踏み込まれるか注目です。

 

 

 

【先週の振り返りと考察】

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先週の株価指数は欧米指数は小幅上昇、アジア及び新興国株式が大きく下落しました。

デルタ株によってコロナが世界的に再拡大する中で、ISM非製造業景況指数が60.1と下振れしたことにより景気回復の遅れが意識され、安全資産である米債券が買われ長期金利は一時1.25%まで低下しました。

それと共に株価が調整しましたが、金曜日には長期金利も1.36%まで急回復し、終わってみれば欧米株式は上昇し、米株3指数は最高値を更新しました。

 

先週の米株下落の原因は長期金利のオーバーシュートでしたが、金曜日にすぐに落ち着きを見せたことから、高値圏で敏感になっている市場の「くしゃみ」だったと考えられます。

次週も米株は引き続き適温相場の中、堅調に推移すると思われます。

 

 

〜指標から見える中国経済の陰り〜

 さて、前週に私は中国当局の締め付け強化による政治的なリスクから中国株式の伸び悩みを予想しましたが、先週はそれを裏付けるような指標や政策が見えてきました。

 

下記はここ直近1年間の中国のPPI(生産者物価指数)とCPI(消費者物価指数)の推移を示したものです。

PPIは生産者サイドから見た原料コストなどの物価変動の数値を表します。

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青軸のPPIは、最近の中国当局のインフレ抑制策の影響で6月に若干頭をもたげていますが、昨夏から急激に上昇してきています。

一方でオレンジ軸のCPIは昨夏からから低下→横ばい傾向となっており、PPIとCPIのギャップが広がっています。

 

これは、モノの生産にかかる原料コストは商品価格の上昇により強い上昇を示しているものの、消費者需要の低迷によりそれが消費者価格に転嫁されていないことを表しています。

つまり足下では生産者と消費者の間に入る中間業者(サービス業者)の収益が圧迫されて苦しい状況に陥っている可能性が考えられます。

それを表してか、6月サービス業PMIは前回55.1、予想54.9に対して結果50.3と辛うじて基準の50をキープしたものの14ヶ月振りの低水準に落ち込み景気回復の鈍化を示しました。

 

そしてそれに受けてか、中国人民銀行は9日に預金準備率の0.5%の引き下げを発表し、主に中小企業を対象に1兆元(約17兆円)の資金が供給されることとなりました。

各国がインフレ抑制のために緩和後退に向けて動く流れに逆行する追加金融緩和は、これまでの中国経済の楽観姿勢がやや後退している状況を表しているように感じます。

 

 堅調に推移していると見られる製造業でも、半導体不足に足を引っ張られて自動車生産が低迷しており、自動車販売台数は5月が前年実績比3%減、6月は12%減と鈍化傾向にあります。

総じて見ると、前週論じた当局の締め付け強化などの政治的リスクに加え、資源高や半導体不足が重荷となり指標面でもやや陰りが伺え、警戒度を高める必要があると感じます。

 

短期的には資金の流動性が増したことで停滞していた中国株には後押しとなることが考えられますが、一方でこのタイミングでの緩和は不動産などの更なる高騰要因にもなる可能性があります。

次週は4-6月期の中国GDPの発表がありますが、資源高がどこまで影響しているか注視していきます。

 

以上

【6/28-7/2週の世界のリスクと経済指標】〜中国の締め付け姿勢強化と株価の低迷〜

先週の評点:

 

リスク   -4点(32点):悪化 (基準点36点) 

経済指標  +4点(94点):良化 (基準点90点)

 

 

【リスク】

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先週のリスクはマイナス4ポイントの悪化としました。

 

ワクチン接種が進みますが、中国製ワクチンの有効性が疑われ、欧米製ワクチンの需要が増加して再び不足となりそうな気配です。イギリスでは新規感染者数が反発し、米国では下げ止まりの兆候が見られるため再び警戒が必要となってきました。

 

中国では共産党創立100周年記念式典が行われ、台湾統一への意気込みや台湾や香港、新疆に対する外部勢力からの圧力に屈しないことが強調されました。

 

OECD参加国130カ国・地域が①最低法人税率を15%、②売上高200億ユーロ、利益率10%の企業へデジタル課税、とする内容に大筋合意しました。

これにより国家間の減税競争に終止符が打たれ、各国政府が企業(=投資家)からの税収を増やし、それを元に全ての国民に富の再配分を行える布石ができました。

 

 

【経済指標】

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先週の経済指標はプラス4ポイントの良化となりました。

中国の製造業PMIは国家統計局、財新ともに前月より低下し4ヶ月振りの水準に低下し中国経済の伸び悩みを示しました。

 

米国の雇用統計は雇用者数が予想70万人に対して85万人と上振れで大きく増加する一方、失業率は予想5.7%に対して5.9%と悪化を示しました。

またISM製造業景況指数は予想61に対して60.6とやや下振れも60の高水準をキープし好調を示しました。

 

次週は米ISM非製造業景況指数や中国CPI、PPIの発表があります。

ISM非製造業景況指数は予想から大きく外れなければ株価への影響は薄いと思われます。

中国PPIは予想8.7%と急騰していますが、一方でCPIは1.3%と予想されています。PPIとCPIとのギャップがどのように反映されるか注目したいと思います。

 

 

【先週の振り返りと考察】

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 先週は米雇用統計で雇用者数が予想に対して上振れして増加しましたが、金利は低下し株高となり、米株3指数は最高値を更新し週を終えました。

 

6月のFOMC以降、FRBタカ派転換でインフレが抑制されるとの観測から期待インフレが低下しました。そのため好調な指標となっても米長期金利が大きく上昇することなく、週を通して米株指数は堅調に推移しました。

またVIX指数も15と年初来の低下を見せボラティリティが低下したため、小刻みながら安定的な値動きとなりました。

6月の米CPIの急上昇で動揺した米市場ですが、FOMCを経て落ち着きを取り戻し、過熱でも冷え込みでもない適温な相場がしばらく続きそうな様相です。

 

 

〜中国の締め付け姿勢強化と株価の低迷〜

 一方で上海総合指数が2.46%安、香港ハンセン指数は3.34%安と中国株は強い下落を示しました。

先週は中国共産党の創立100周年記念式典が行われましたが、イベント期待から上昇していた中国株は先週に入り大きく下落しました。

 

今年に入り、中国当局は様々な資産に対して締め付け姿勢を強めています。

・アント、テンセント、JDドットコム、ディディなどの中国IT企業に対する統制強化

・商品価格への過度な投機や虚偽情報流布の禁止

住宅ローン担保証券の発行抑制

ビットコイン採掘禁止、大手銀行に仮想通貨の取引や使用を避けるように指示

 

特にアントの上場延期に端を発する中国IT企業への統制強化は、これまで自由に富と影響力を拡大してきたIT企業に対する共産党の支配確立を目指した動きが見え隠れします。

 

それを表してか、他の主要株価指数2021年に入ってからも順調に株価を伸ばしていますが、上海総合指数は0.45%しか上昇していません。

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また直近の財新製造業PMIも前月52から低下し51.3と4ヶ月振りの低水準となっています。

コマツは中国の建機需要が4月から減少に転じ始め5月は26%減となったと報じています。

参考:コマツ社長、中国の建機需要は想定以上に減少-市場は下降局面に

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2021-06-29/QVAV6ST0AFBJ01

 

中国は、純粋なインフレ抑制目的に加えて、政治的な目的によっての締め付け姿勢が強まっていることで実体経済もやや低下傾向にある気がします。

先日の共産党創立100周年の記念式典での習主席の演説において、11年、16年の記念演説と比較して「改革開放」というワードが大幅に減ったことも今後は民間主導から党主導での成長を目指す変化を示唆していると考えられます。

参考:習氏演説、「強軍」「強国」急増 「改革開放」は急減

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCB014MV0R00C21A7000000/

 

私がポートフォリオの10%を投資するMSCIエマージングマーケット指数も、約40%の構成比率を占める中国株に引っ張られてMSCIコクサイにアンダーパフォームしています。

 

新興国景気を占う資源価格は既に高値圏にあり、中国株と共に今後もMSCIエマの伸び悩みが予想されるため、MSCIエマの割合を10%→5%へ減らして様子を見ることとします。そして先進国株式には少なくとも年内は適温相場が続く可能性が高いためMSCIコクサイに振り替えます。

この変更で私のポートフォリオは先進国株式(MSCIコクサイ)50%、JPモルガン5%、新興国株式(MSCIエマ)5%、J-REIT 10%、国内債券30%となります。

 

引き続き中国関連のニュースと中国景気を表すドイツ製造業PMIの推移に注目していきます。

 

以上









【6/21-6/25週の世界のリスクと経済指標】〜FOMCの議決権の仕組み〜

先週の評点:

 

リスク   -4点(32点):悪化 (基準点36点) 

経済指標  +4点(88点):良化 (基準点84点)

 

 

【リスク】

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先週のリスクはマイナス4ポイントの悪化でした。

新型コロナは先進国では欧米製ワクチンの接種が拡大し新規感染者数の減少が続きますが、中国製ワクチンを接種しているブラジル、チリなどの新興国ではワクチン接種は拡大しているものの、新規感染者数が高止まりしている傾向にあります。

中国製ワクチンはデルタ株に対しての有効性が低下するとの報道もあり、今後より欧米製のワクチンの需要が高まってくる可能性があります。

 

また香港では民主派メディアのアップルデイリーが廃刊に追い込まれ、中国当局の民主派への徹底統制する姿勢が浮き彫りになりました。

台湾と香港との出先機関も業務停止となり、中国当局の統制強化が進みました。

 

 

【経済指標】

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先週の経済指標はプラス4ポイントの良化となりました。

欧州のPMIは予想が高かったこともありまちまちでしたが、概ね好調な水準を維持しました。

米国のインフレ指標であるPCEコアデフレーターは予想の3.4%に一致し、高いインフレを示したもののサプライズはなく、無難に通過しました。

 

また先週は、BOE政策金利発表がありましたが、事前に予想されていた金融正常化への示唆はなく、現在のインフレは一時的として緩和政策の維持を決めました。

一方でメキシコ中銀が4.00%から4.25%に利上げするサプライズがありました。6月前半のCPIが6.02%となりインフレ目標上限である4%を大きく上回ったためです。

先週はハンガリーも利上げに踏み切っており、経済が不安定な国から徐々に利上げ気運が高まってきています。

 

次週は米ISM製造業景況指数と米雇用統計の発表があります。

今後の米金融政策を占う意味でも雇用統計の重要さが増していますが、予想は69.5万人となっています(前回55.9万人)。5月下旬から大手自動車メーカーの工場では半導体不足による操業停止から再稼働しており、前回薄かった労働力需要に強い戻りが期待されるため、上振れると思います。

 

 

【先週の振り返りと考察】

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先週の株価指数は概ね堅調に推移しました。

前週末にはFOMCでのタカ派寄りな姿勢への転換により下落していましたが、米10年国債利回りの低下に加え、パウエル議長の「インフレは一過性」というコメントも後押しし、今後のインフレ圧力が緩やかになるとの観測から落ち着きを取り戻しました。

米10年国債利回りは、6/21の日本時間に一時1.3%台まで低下しましたが、その後は概ね1.43%-1.52%のレンジで推移し、株式市場全体に適温な金利状態を醸成しました。

またバイデン政権が超党派グループとの間で8年間で1.2兆ドルのインフラ投資計画に合意したことで景気の先行きが楽観視され、景気敏感銘柄に追い風となりました。

 

次週は金利が安定しVIXも15台と落ち着いている中で、先週のバイデン政権のインフラ投資計画の影響を引き継ぎ、7/2の雇用統計まではダウの上目線を予想します。

雇用統計が予想と一致か下回った場合は金利低下でナスダック上昇、予想より上回った場合は金利がやや上昇しナスダックが下落することを予想します。

 

 

FOMCの議決権の仕組み〜

  さて、6月のFOMCが終了したこともあり、先週はFRB高官の発言が相次ぎました。

18名のFRBメンバーの内、10名の発言がありました。

FOMCFRB自体のスタンスがタカ派に変化した事もあり、アトランタ連銀総裁、サンフランシスコ連銀総裁、ボストン連銀総裁が、発言内容をFOMC前のハト派スタンスからタカ派スタンスへ変えてきました。

 

ここで、改めてFOMCの仕組みについて説明してみたいと思います。

FOMCはFRS(Federal Reserve System:連邦準備制度)のうちの一つの組織です。FRB米連邦準備制度理事会)もFRSの組織に含まれます。

FOMC連邦公開市場委員会の略称で、年8回行われるFRBの金融政策を決定する会議です。

18名のFRBのメンバーが参加し議論しますが、政策決定は議決権を持ったメンバーの意思で決定されます。

議決権はパウエル議長を含む7名のFRB理事(現在1名空席)と5名の連銀総裁が持ちます。

連銀総裁の議決権はNY連銀総裁が固定で、その他の4名は11名の連銀総裁が毎年輪番で持ち回ります。

つまり11票のうち4票は毎年スタンスが変わる可能性があります。

 

下記はこれまで何度かお見せしているFRB高官の発言内容を更新し、22年、23年の議決権の変化を加えたものです。

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今年の議決権を持つメンバーでは、アトランタとサンフランシスコ連銀総裁の2人がFOMC後にタカ派スタンスに変えています。

22年の議決権を持つメンバーでは、FOMC前からタカ派スタンスを見せているセントルイスカンザスシティ連銀総裁に加え、新たにボストン連銀総裁がFOMC後にスタンスを変え、3人がタカ派となっています。

つまり、現時点で言えることは今年のタカ派が増えただけでなく、22年には輪番制により議決権を持つタカ派がさら増えることとなり、22年の金融政策がよりタカ派寄りになる可能性があるということです。

 

このように、スタンスを変えたメンバーがどの時期の議決権を持っているかによって、金融政策の変更時期に影響してくると思われます。

具体的には21年の議決権メンバーはテーパリング政策への影響、22年の議決権メンバーは利上げの時期への影響が考えられます。

 

 すなわち先週のFRB高官の相次ぐスタンスの変化は、FOMCからコンセンサスとなりつつある年末からのテーパリング、22年末もしくは23年での利上げの浸透に向け、ややタカ派に傾倒し足場を固めつつある状況だと思います。

 

CPI、PCEデフレーターなどの指標の推移と共に、FRB高官の言動をそれぞれの立場に注意して見ていくと、少し予想の助けになってくるのではないかと思います。

 

以上

 







【6/14-6/18週の世界のリスクと経済指標】〜イールドカーブのフラットニング〜

先週の評点:

 

リスク   +2点(38点):小幅良化 (基準点36点) 

経済指標  -1点(79点):小幅悪化 (基準点80点)

 

 

【リスク】

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先週のリスクはプラス2ポイントの小幅良化でした。

新型コロナはワクチン接種の拡大から確実に感染者が減少していますが、先進国が中心でありワクチン不足に悩む新興国ではデルタ株を中心に感染拡大が未だ止まりません。既にコロナを克服し始め、景気過熱から引き締めに移行しようとしている先進国に対して、コロナが足枷となり景気回復が遅れる新興国との格差がさらに拡大する可能性があります。

 

また先週のG7に引き続きバイデン大統領がNATO首脳会議に臨み、米国と欧州の結束を固めました。また対中を軸にした改革指針である「NATO2030イニシアチブ」を承認し、新たな戦略概念を検討することとなりました。

 

 

【経済指標】

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先週の経済指標はマイナス1ポイントの小幅悪化となりました。

先週は米FOMCが開催され、従来は24年以降としていた利上げが前倒しされ、23年中に2回行うことが示唆されました。またテーパリングに関しても、従来は「議論開始する時期ではない」としていたものが軟化され、議論の開始が示唆されました。

また翌日には来年からFOMC議決権を持つことになるセントルイス連銀総裁が、さらに前倒しの22年終盤の利上げ予測をコメントしました。

市場からは予想以上の「タカ派姿勢」と理解され、これまでのハト派からの転換が強く示されました。

 

 次週は6/21のラガルドECB議長の発言、6/24の英中銀MPC議事要旨が、FRBタカ派姿勢を受け、追従する動きを示唆するのか注目します。

また6/25には米5月PCEコアデフレーターの発表があります。GMなど自動車工場の再開は6月からであり、依然中古車価格の上昇などの影響は残っていると思われますが、CPIコア同様強いインフレを示してFRBタカ派転換を正当化するのか注目したいと思います。

 

 

【先週の振り返りと考察】

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先週の株価指数は米FRBFOMCでのタカ派スタンスへの転換により、総じて軟調の動きとなりました。

長期金利は上昇すると思いきや低下し、FOMC前の1.58%に対し144%で週を終えました。

それにより、金利感応度の高いナスダックが0.28%安と小幅下落で済んだ一方で、金利耐性が強いダウ平均が3.45%安と大きく下落しました。

また、FRBのインフレ抑制姿勢を受け、コモディティも大きく下落しました。

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イールドカーブフラットニング

下記はFOMC前の6/16とFOMC後の6/18の米国債利回り曲線(イールドカーブ)を表した物です。

FRBタカ派スタンスを受けて短い2年物までの債券は上昇していますが、5年物以上の債券利回りは低下しています。

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通常ならばFRBタカ派スタンスへの転換は、国債購入額を減らし利上げする時期が早まることになるため、長期金利は上昇することが想定されます。つまりイールドカーブはよりスティープニング(傾斜角度が急になること)することが予想されました。

 

しかし、今回はそれとは逆のフラットニングの事象が起こりました。

おそらくこれは本格的な金融引き締めに入る前にも関わらず、今回のFRBタカ派転換で金融引き締め状態を表すベアフラットニング的なサイクルを一時的に織り込んだものと思われます。

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マーケットにとっては、今回のFRBの強めの姿勢転換はサプライズであったため、「利上げ観測からの金利上昇圧力」よりも「引き締めに対するリスクオフの反応として債券価格上昇」が上回った結果と理解できます。

 

ただ、現在はまだ金融相場の只中でありベアフラットニングのサイクルに変化するのは時期尚早だと思われます。2023年までに2回行われると観測されるFF金利引き上げはもう少し先であり、今後景気の回復と共に再び長期金利も上昇してくるのが自然の流れであると考えます。

 

 従って先週は金利低下を背景にハイテク株が堅調でナスダックがアウトパフォームしましたが、ファンダメンタルで考えると金利低下は一時的で続かないと考えられるため、すんなりとロング目線で行けるとは思えません。

引き締め姿勢が明確になった以上、しばらく株価は下目線で不安定な動きが続くものと想像します。

 

以上

【6/7-6/11週の世界のリスクと経済指標】〜G7の復活〜

先週の評点:

 

リスク   +7点(43点):大幅良化 (基準点36点) 

経済指標  +2点(60点):良化 (基準点58点)

 

 

【リスク】

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先週のリスクはプラス7ポイントの大幅良化でした。

新型コロナは新規感染者は増加しているものの、世界的なワクチン接種の広がりにより鈍化しています。一方でワクチン接種の進まない新興国では変異株の影響もあり一進一退の状況が続いています。

その中でG7サミットでの新興国への10億回分のワクチンの寄付への合意は、世界的なコロナ禍からの回復を後押しするための大きな成果だと思われます。

 

 また、先週の政治的な話題ではやはりG7サミットが大きいですが、こちらは後述します。

 

【経済指標】

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先週の経済指標はプラス2ポイントの良化でした。

注目の米5月コアCPIは市場予想も3.4%と高かったものの、さらにそれを上回って3.8%となりました。内訳を見てみると中古車が29.7%と前月の10.0%よりも更なる強い伸びを見せました。これは依然半導体不足にと労働者不足により新車が生産できず、供給サイドの問題からインフレが促されていることを示しています。それを反映して「インフレは一時的」というFRBの主張が正当化され、長期金利は1.4%台で落ち着いています。

 

 次週はFOMCがあります。FRBは「インフレは一時的」としてハト派スタンスを崩していませんが、一方でFOMCメンバー内でテーパリングが意識されているもの事実です。前回のFOMCの議事内容によると「幾人かの参加者が早期テーパリング協議開始を示唆」したことが明らかになっています。今回のFOMCでどこまでその声が大きくなり、パウエル議長の発言内容に織り込まれてくるか注目したいと思います。

 

 

【先週の振り返りと考察】

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先週の株価指数はナ米雇用統計の下振れに加え、米CPI後の長期金利の落ち着きにより、ナスダックに有利な展開となりました。

また、ハイテク株の上昇に連れてじわじわとS&P500は最高値を更新しました。

原油が70ドル台に乗せたことにより、原油生産国であるロシアRTS指数も強く上昇しました。

次週はCPIを乗り越え一時的なインフレ懸念も織り込まれた感があり引き続きナスダックに上目線ですが、FOMCでのサプライズも想定しておく必要があるかと思います。

 

 

〜G7の復活〜

 さて、今週末は英国にてG7サミットが開催されています。

G7サミットは1975年から続く、先進国首脳が1年に1回集まって政治、経済課題について議論する会合です。

しかしここ最近はその機能が低下し、この枠組み事態の存続が危ぶまれていました。

フランス開催の2019年は保護主義に走る米国の独善的な主張により各国の主張がまとまらず、毎回必ず行われてきた首脳宣言の見送りという前代未聞の事態が起こりました。また米国開催予定だった2020年はコロナ禍や欧州と米国の溝により延期され、オンライン開催すらなく中止されました。つまり米国やブレグジットを抱えた英国での保護主義の高まりから先進国内での結束が失われていたのです。

 

 しかし、今回のG7サミットは、これまで報道されている議事の内容を見る限り、その結束を取り戻し、再び世界を主導しようとしつつあると考えられます。

下記は日経新聞の6月13日朝刊からの転載です。

 

[G7サミットの議論・合意事項(12日時点)]

・インフラ投資の枠組みを創設、一帯一路に対抗

・新型コロナ禍からの経済回復に向け財政出動の継続を支持

・医療分野のサプライチェーン(供給網)を拡大

・ワクチン開発やWHO改革など感染症に備える行動原則を宣言

・ワクチン10億回分を途上国などに提供

 

特筆すべきは「インフラ投資の枠組みを創設」「ワクチン10億回分を途上国などに提供」の2点だと考えます。

ただ先進国の結束が回復しただけに止まらず、自らの痛みを伴って新興国に対してインフラ投資支援やワクチン支援を行うこととしています。それは先進国が再び世界に対して強く関わりを持って主導していくことの決意表明であると思います。

 

もちろん、同じく世界中でインフラ投資やワクチン援助を行い影響力を拡大する中国を意識した話であるのは言うまでもありません。

しかし、中国、新型コロナウィルスという共通の外敵の台頭により、瓦解しかけていたG7が再び結束と前向きの推進力を取り戻したことは大きな変化であり、純粋に嬉しく思います。

 

そしてG7の復活は、結束を掲げたバイデン大統領が米国民によって選ばれ、その影響力が欧州各国にも拡がったものだと考えられます。

この民意の反映と修正能力こそが民主主義の最大の強みであると思います。

 

以上