投資家見習いのブログ

世界の地政学的リスクと経済指標を独自の数値で可視化し、マーケットを語ります。

【5/16-5/20週の世界のリスクと経済指標】〜WMT、TGT決算で見えたインフレの影響〜

先週の評点:

 

リスク   -1点(29点):小幅悪化 (基準点30点) 

経済指標  -8点(52点):悪化 (基準点60点)

 

 

【リスク】

 先週のリスクはマイナス1ポイントの小幅悪化となりました。

欧州情勢はフィンランドスウェーデンNATOへの正式加盟申請を行いました。主要国は概ね歓迎ムードの中、トルコは敵対するクルド人組織を支援しているとして難色を示しています。欧米からの何らかの譲歩を得るための駆け引きの可能性が高いですが、すんなりとは進まない可能性が出てきました。

また、ロシアもルーブルでの支払い拒否を理由にフィンランドに対して天然ガスの供給を停止する通告を行いました。NATOとロシアの対立関係は益々悪化する状況となっています。

 

また豪選挙で政権交代となり中国にタカ派だったモリソン首相が退任することとなりました。アルバジーニー次期首相は対中政策ではモリソン政権の路線を踏襲する方針を取っているものの不透明であり、クアッド、AUKUSなどの連携への影響が心配されます。

 

 

【経済指標】

 先週の経済指標はマイナス8ポイントの悪化となりました。

米国の4月小売売上高は、予想に一致の0.9%と消費需要の底堅さを示しました。

一方でNY連銀製造業景気指数やフィラデルフィア連銀製造業景気指数は大幅な悪化を見せ、米国の景況感の一層の悪化を示しました。

 

また中国の4月小売売上高は11.1%減、鉱工業生産も前月5%増が2.9%減とゼロコロナ政策による消費活動及び生産活動の両面での強い落ち込みが示されました。

 

日本のCPIは携帯電話料金下げの影響が解消されたことで総合2.5%増、コア2.1%増となり、日銀が目標とする2%のインフレ率を達成しました。しかし、黒田日銀総裁は「安定的でない」としてYCCを中心とした緩和政策の継続を強調しました。

 

次週は欧米PMI、5月FOMC議事要旨、米4月PCEデフレーターの発表に注目です。

 

 

【先週のマーケットの振り返りと考察】

 先週の株価指数は米国のナスダックとS&P500が7週連続の下落となりました。

米国株はコロナ後の最高値からナスダックが29%安、S&P500が18%安、ダウ平均が15%安と安値を切り下げています。

一方で先週はロシア株が経済制裁の影響は受けながらも原油高が下支えし大きく反発しました。また中国株式は中国人民銀行が住宅ローンなどの中長期の政策金利を引き下げたことを好感し、強い反発を見せました。

 

 

〜WMT、TGT決算で見えたインフレの影響〜

さて、先週は米国の小売大手企業であるウォルマート(WMT)、ターゲット(TGT)1Q決算で市場予想に対して増収減益となり、今期の見通しも下方修正が示され、株価が急落しました。

いずれも消費者の需要はまだ高水準で推移するものの、燃料価格の高騰による輸送コストの上昇や人件費拡大などのインフレの影響により利益が圧迫されたことが示されました。
WMT、TGTの大手両社が同様の結果になったことで企業固有のミスではなく、またアマゾンでも同様の結果になっていることでECでも関係ない小売業全体の傾向として捉えられます。今回の決算で、急激なインフレが企業収益に確実に害を及ぼし始めていることが浮き彫りになりました。

 

 TGTはコロナ禍からの回復で家電や家具などの高額物品の売上が下がった一方、食品や生活必需品、外出関連の商品は好調だったとしています。そのため増収は確保しましたが、今後は特に食品などの生活必需品の高騰に注意する必要があると考えます。

 

下記は米国のCPIと食品物価の推移です。

CPIがやや減少を見せている中でも世界的な穀物価格の高騰を受けて食品価格は上昇し続けています。

 

次にPPIの推移です。

PPIも足元でやや11.2→11%と減少を見せている中、食品需要は16.3%を横ばいと高水準を維持しています。

PPIの数値は数ヶ月遅れて市場に反映されてくることを考えると、今後も高水準の食品価格の上昇が予想され、食品価格はまだ上昇する余地があると考えます。

またインドが小麦、インドネシアがパーム油の輸出禁止に踏み切っており、政治的な流動性の低下も影響してきます。

 

これらの影響が顕在化してくると企業の利益がさらに圧迫されますし、また生活必需品であるため値上げが消費者の生活を直撃し、可処分所得の減少により消費全体を冷やしていくと考えます。

先週の小売企業の決算発表で、益々スタグフレーションの可能性が高まってきたと感じます。

 

4月の小売売上高が示すように、現在はまだ消費は堅調に推移していますが、今後どのタイミングで低下してくるか、指標の動向に注目したいと思います。

 

ディフェンシブ銘柄として保有していた生活必需品株コカコーラは、先週6.82%減となりその期待が崩れました。また今後は価格高騰によりコカコーラすら飲むのを控える消費者が増えてくるフェーズになると考えられるため売却しました。売却分は再びMSCIコクサイを購入し、ポートフォリオは株式(MSCIコクサイ)30%、債券25%、現金45%としました。

 

以上

【5/9-5/13週の世界のリスクと経済指標】〜欧州の指導力復活の予感〜

先週の評点:

 

リスク   -3点(27点): 悪化 (基準点30点) 

経済指標  -8点(48点):大幅悪化 (基準点56点)

 

 

【リスク】

 先週のリスクはマイナス3ポイントの悪化となりました。

欧州情勢ではロシアのウクライナ侵攻を受けて、これまで中立を保っていたフィンランド首脳が揃ってNATO加盟申請を表明しました。また同じ中立国であるスウェーデンも加盟申請する見込みであり、ロシアが恐れていたNATOの拡大が自らの行いが原因で現実的となってきました。ロシアの反発は必死であり、今後どのような反応があるのか注意が必要です。

 

また中国のゼロコロナ政策が収束しません。上海市での新規感染者数は減少傾向にありますが、厳格なロックダウンが継続されています。北京でもロックダウンの噂が流れており、今後さらに経済活動への影響が懸念されます。先日のFOMCでも中国のロックダウンによる供給制約が高インフレに影響を及ぼすことを懸念されています。

 

 

【経済指標】

 先週の経済指標はマイナス8ポイントの大幅悪化となりました。

注目の米国4月CPIは総合指数が前月8.5%からは低下しましたが、予想の8.1%を上回る8.3%となり、ややピークアウトの様相は見せながらもインフレが落ち着き始めるという予想が裏切られる形となりました。

また米国4月PPIも同様に前月を下回るも予想は上回る結果となり、こちらもCPI同様の結果となりました。

 

 ドイツ、ユーロのZEW景況感指数も前回数値よりは改善しましたが、引き続き大幅なマイナスを示し、欧州の景気悪化の状況を示しました。

 

 

【先週のマーケットの振り返りと考察】

 先週は米国株式が6週連続の反落となりました。

週明けから多くのFRB高官から「6月、7月FOMCでの0.5ポイント利上げ」への支持と共にインフレ抑制のために「痛みを伴う」ことが示されました。そのためFRBがよりタカ派に傾倒していることが意識され株価に重しとなりました。

また4月CPIが事前予想ほど落ち着かなかったことから、FRBタカ派傾倒が正当化され、それによる景気後退が意識されたことにより株価は大幅に反落しました。

リスクオフから債券への逃避が行われたため、10年債利回りも前週の3.12%から一時2.84%まで低下しながら2.93%で週を終えました。それに連れて為替も大きく動き、ドル円は131円台から127円台までボラティリティの高い週となりました。

 

前日にナスダック100が12000、S&P500が4000、ダウ平均が32000と揃って節目割れて割高感が薄れたことと、パウエル議長が0.75ポイントの利上げ改めて否定したことで5/13には大幅に反発して週を終えました。
しかし、FRBが、多少の痛みがあろうがインフレを抑えるためになりふり構わず行動する姿勢を見せている以上は、今後より引き締めを強める可能性があります。まずは複数月に渡って明確にインフレが落ち着くのが確認されることが重要だと考えます。

従って引き続き次週も弱気ポートフォリオを継続します。

 

 

〜欧州の指導力復活の予感〜

さて、先週はEUのミシェル大統領とフォンデアライエン委員長、フィンランドのマリン首相が訪日し、岸田首相と首脳会談を行いました。

ここ最近、欧州が中心となった積極的な民主主義陣営の連携強化への動きが急速に活発化している印象です。

特に日本への傾倒、またインドへの傾倒が目立ってきている印象です。

 

以下は日本とインドに対するここ最近の欧州各国の首脳会談の動きです。

まず対日本として、強い印象を残したのは独ショルツ首相の訪日でした。

メルケル首相時代は、親中国として中国の行動に対して明確な批判をしてこなかったドイツですが、政権交代後のアジア初の外遊先を中国でなく日本にを選んだことで、中国から日本シフトへのアジア戦略の変化が鮮明となりました。

また同じくG7で唯一中国の「一帯一路」構想へ署名していたイタリアにおいても、訪伊した岸田首相とドラギ首相が会談し同じ民主主義国家としての価値観を共有しました。そして「自由で開かれたインド太平洋」構想でも協力を約束しました。

イギリスもジョンソン首相が来日し、力による現状変更への反対とともに安全保障協力を強化すると合意しています。

 

一方、対インドでは3月の岸田首相の訪印に続き、イギリス、EU、ドイツ、フランスと欧州の主要国が相次いでインドのモディ首相と会談し、経済支援を含めた様々な協力関係を構築しています。

アジアの大国であるインドを民主主義陣営に引き入れることは、対露、対中戦略に取っても重要であり、積極的な外交が行われています。

 

元々中国に対抗するための「自由で開かれたインド太平洋」構想は、「クアッド」として日米豪印が主体となったものであり、欧州からすれば遠い場所での話でした。

しかし、ロシアのウクライナ侵攻を経て強権国家の力による現状変更を目の当たりにしたことで欧州の危機意識が刺激され、今後、インド太平洋地域で懸念される中国の現状変更に対しても対抗意識が高まっていると考えられます。

 

これはイギリスのブレグジットを始めとして保護主義が蔓延し、欧州自体でもまとまりに欠けて存在感を失くしていた欧州が、再び結束を見せ西側世界での指導力を取り戻そうとしているように見えます。

ロシアのウクライナ侵攻は西側諸国に衝撃と惨劇を与えましたが、一方で欧州の結束力と積極性を復活させ、弱体化する米国の指導力を補完するものとして歓迎すべき変化を与えたとも感じています。

 

日本も含め、中露に対抗した西側諸国の今後の連携の深化に期待したいと思います。

 

以上

【5/2-5/6週の世界のリスクと経済指標】〜景気後退の兆し〜

先週の評点:

 

リスク   -3点(27点): 悪化 (基準点30点) 

経済指標  -23点(72点):大幅悪化 (基準点96点)

 

 

【リスク】

 先週のリスクはマイナス3ポイントの悪化でした。

ロシアのウクライナ侵攻は戦況が膠着しており大きな変化はありませんが、EUがロシア産原油を向こう6ヶ月で段階的に輸入禁止とする方針を示しました。ここ最近は中国の景気後退観測で原油価格が落ち着いていましたが、再び上昇基調に戻ってきました。

ロシアのウクライナ侵攻以降、原油価格は単純な需給ではなく政治的な措置に左右されることが大きくなっており、政治が経済に与える直接的な影響が大きくなってきています。

 

 

【経済指標】

 先週の経済指標は各指標の悪化が目立ち、マイナス23ポイントの大幅悪化となりました。

注目の米FOMCは予想通りの0.5%の利上げ、6月からのQT開始(当初は475億ドル→3ヶ月かけて950億ドルに拡大する見通し)となり、ほぼ市場の予想通りとなりました。一方で今後の引き締めペースに関してはパウエル議長が6月会合での0.75ポイントの利上げに否定的な姿勢を示し大幅利上げ観測が後退しました。

 

米雇用統計では平均時給の前年同月比が予想に一致の5.5%と引き続き強い賃金インフレが示されました。

またISM製造業景況指数、非製造業景況指数は共に前回値、予想に対して下振れとなりました。

 

豪準備銀行は予想よりも強い利上げ幅の0.35%とし、BOEも予想通り1.00%へ利上げとなりました。

 

 

【先週のマーケットの振り返りと考察】

 先週の株価指数も全体的に軟調となりました。

米株指数はFOMCでパウエル議長により0.75ポイントの利上げが否定されたことが好感され、一時ナスダックが4.99%など強く反発する場面がありました。しかし逆に0.75ポイントの利上げが否定されたことでFRBが高止まりするインフレに歯止めをかけられるか疑念が拡大し、結局は週後半にかけて反落して終えました。

これで米株は5週連続反落となりました。

一方で日経225は先週は小幅反発となり、底堅さを見せています。金融緩和の継続とそれに伴う円安のプラスの効果で好調な企業業績も目立ちます。

しかしさらに円安が進んだ際にはマイナスの効果も目立ってくることが考えられ、急に崩れることも考えられ注意が必要だと考えます。

 

 

〜景気後退の兆し〜

さて、先週はFOMCでの0.5ポイントの利上げ+QT開始で倍速の金融正常化が示されました。それと共に雇用の強さを維持しながら引き締めでインフレを抑えていく「ソフトランディング」が可能との見通しも示されました。しかし、世界的に景気後退の足音が聞こえ始めており、本当にソフトランディングできるのか私は懐疑的に考えています。

 

先週発表されたISM製造業景況指数、非製造業景況指数は景気の本格的な悪化を示す50以下にはなっていませんが、一時の勢いはなく共に下降を続けています。

 また、5/5に発表された1Q米非農業部門労働生産性が前期比7.5%減(前回6.6%、予想5.4%減)、1Q単位労働コストが11.6%増(前回0.9%、予想9.9%)と想定以上の人件費の増加が示されました。

4月雇用統計では平均時給の増加は前月比0.3%と小幅に改善しましたが、既に1Qに人件費だけでこれだけ増加していることを考えると、米国企業の利益を急速に圧迫していると考えられます。

 

 米国以外でも相次いで景気後退のシグナルが出ています。

 イギリスでは5/5にBOE政策金利が発表され予想通り1.00%へ利上げされましたが、同時にベイリー総裁はインフレリスクが上振れる認識を示しました。そして引き締めをさらに強める必要があるため23年4Qには1%近いマイナス成長となる見通しを示しました。

最近ではここまで明確に主要国中銀がリセッションへの警告を発したことは記憶になく、インフレ高進からの金融引き締めによるスタグフレーションが現実味を帯びてきたと感じました。

 

 ドイツでは3月小売売上高が予想0.5%減に対して5.4%減、3月鉱工業生産が前月比予想1.3%減に対して3.7%減となり、個人消費と企業生産の両方で急減速が示されました。

 

 中国の減速感も加速しています。

より民間企業の動向が反映されやすい財新PMIでは製造業が46、サービス業PMI36.2と新型コロナ発生直後の20202月以来の低さに低下しています。

各国の様々な事情がありながらも、世界的に景気後退の兆しが見え始めてきたと感じます。

既にナスダックは最高値から24%減、S&P500は14%減となっていますが、景気後退は織り込みはこれからと考えられ、インフレ率が適正なレンジである2〜3%程度に落ち着くまで株価にとっては厳しい状況が続くと考えます。

当分弱気スタンスを維持しながら日々買い場を考えて行きたいと思います。

 

次週は米国のCPIの発表があります。前回8.5%に対して予想8.1%と鈍化が見込まれていますが、順調に鈍化するとは思えません。他にも米国PPI、中国CPI、PPIもありますので注目していきたいと思います。

 

以上

【4/4-4/8週の世界のリスクと経済指標】〜大胆な金融緩和から大胆な金融引き締めへ〜

先週の評点:

 

リスク   -7点(26点): 大幅悪化 (基準点33点) 

経済指標  +3点(42点):良化 (基準点39点)

 

 

【リスク】

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 先週のリスクはマイナス7ポイントの大幅悪化でした。

ウクライナ巡っては、ロシア軍がキーウから撤退した市街地で多くの民間人の遺体が発見され、ロ軍が民間人の殺害も行っていた可能性が高まりました。そのため西側諸国はロシアへの非難を強め、G7はロシア産石炭の輸入を禁止し、石油の輸入も段階的に減少させることで制裁を加速する方針を示しました。

 

一方で国連総会にて、国連人権理事会でのロシアの理事国としての資格停止が可決されましたが、前回の非難決議と比較すると賛成に回る国が大幅に減り、反対・棄権・無投票の数が100ヶ国となり賛成国数を上回りました。

 戦争が長引くにつれ、冷静さを取り戻した加盟国の中で徐々に一枚岩でない状況が見え始めました。

 

そして中国では上海市を中心に新型コロナが再拡大しています。中国当局が厳しい統制をかけているため企業活動が停滞しサプライチェーンにも影響が大きくなりそうです。

 

【経済指標】

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 先週の経済指標はプラス3ポイントの量化でした。

ISM非製造業景況指数は予想には届かなかったものの前月より改善し、米国景気の底堅さを示しました。

一方で中国の3月財新サービス業PMIは大幅な悪化となり、当局の不動産やハイテク企業に対する統制で不安定だったところに新型コロナによるロックダウンの影響が重なって景気が大幅に悪化していることを示されました。

 

FRBの3月FOMC議事要旨では0.5%の利上げのみならず、QTに関しても積極的に議論されていた事が判明しました。

またECB理事会の議事要旨でも早期のAPP停止及び7-9月期での利上げが議論されたことが示されました。ECBは14日理事会の結果が公表されますが、金融引き締めに関する強目の姿勢が確認される可能性があります。

 

豪準備銀行も政策金利は据え置きでしたが、金融引き締めに「忍耐強く」取り組むとしていた文言を削除し、ややタカ派に傾倒してきました。

従来ハト派スタンスを貫いてきた中銀が徐々に金融引き締めにスタンスを変えつつあります。

 

次週は米CPI、PPIの発表があります。CPIは予想では8.4%と先月からさらに0.5%上昇となっていますが、ウクライナ情勢悪化からのインフレ高進がどこまで影響するか注目しています。

 

【先週のマーケットの振り返りと考察】

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  先週の主要株価指数軟調な展開となりました。

週初はテスラのイーロンマスクのTwitter株の9.2%保有や、テスラの1Qの納車台数がこの時期の過去最高を記録したことでハイテク株を中心に大幅反発しました。しかし、4/5FRBのブレイナード理事の5月でのQT開始のタカ派発言が伝えられ、また4/6には3FOMC950億ドルのQTが議論されたことが公表されると、10年債利回りが急上昇しハイテク株を中心に反落しました。

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セクター別ではハイテク(情報技術、コミュニケーションサービス、一般消費財)、景気敏感セクター(資本財、素材、不動産)が下落した一方で、ヘルスケアや生活必需品、公益などのディフェンシブセクターやエネルギーセクターが伸び、セクターローテーションが行われた印象です。

 

 

〜大胆な金融緩和から大胆な金融引き締めへ〜

 先週はFRBの金融政策が大きな転換期に差し掛かっていることが示されました。

従来のFRBの政策スタンスは、パウエル議長が3/21にコメントしていた「5月に0.5ポイント利上げの可能性」「QTを5月の次回会合にも打ち出す可能性があるが、まだ決定は下していない」とう内容がコンセンサスとなっていました。この時点ではQTの規模や開始時期は明確になっていませんでした。

 

しかし、4/5にハト派のブレイナード理事が5月にも早いペースでQTを進めることを示唆したことで、QTが予想以上に急速に押し進められることが意識されました。また翌日に発表された3月FOMCの議事要旨では、「5月会合終了後にも月額950億ドルのQT開始」と具体的な規模も議論されていたことが判明しました。

 

そして先週はQTがフォーカスされたことで、短い金利よりも長い金利が意識され10年債利回りが強く上昇し、イールドカーブは前週の強いフラットニングから一転して強くスティープニングしました。

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 今年の1月第1週にも、12月FOMC議事要旨で初めてQTに関して議論がなされたことが発表されてイールドカーブは一瞬だけ強くスティープニングしたことがありました。

https://minarai-tousan.hatenablog.com/entry/2022/01/09/215809

当時は「利上げとQTが併用されることで利上げのペースを緩める」ということが期待されFRBがまだインフレ率をコントロールしようと余裕があったように感じます。
しかし、今回の局面はその時とは違い、既にコントロールを失いかけたインフレ率に対して、利上げもQTも総動員し、なりふり構わず抑えにかからないといけないというFRBの強い焦りが感じられます。

 

FRBは2020年3月23日にコロナショックに対応して「何でもやる」という大胆な金融緩和策で市場を落ち着かせ、それが2年間マーケットを支えてきました。

今度はその政策を一気に逆回転し、「何でもやる」という大胆な金融引き締め策でインフレに対抗しようという姿勢が示されたと言えます。

 

そうなると株価にとって支援的であるとは言えません。

先週はQTによって直接的な影響を受ける10年債利回りは先週14.3%も上昇し2.7%となりました。

今後もFRBの強いタカ派転換で10年債利回りの上昇が予想され、特に金利感応度の高いハイテク株には重しになってくると思われます。

ついては長期投資ポートフォリオから、保有していた30%のナスダック100 ETFを全て売却しました。新ポートフォリオMSCIコクサイ30%、国内債券25%、現金45%と再び弱気へと変更、様子を伺いたいと思います。

 

個人的には次週は米国の銀行株に注目したいと思います。

1Q決算の発表がありますし、イールドカーブスティープニングへの転換で前週末に株価が反発していますので、今後も上昇が続くのか確認したいと思います。

 

以上

【3/28-4/1週の世界のリスクと経済指標】〜逆イールドだからリセッションか〜

先週の評点:

 

リスク   1点(34点): 良化 (基準点33点) 

経済指標  -3点(96点):小幅悪化 (基準点99点)

 

 

【リスク】

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 先週のリスクはプラス1ポイントの良化としました。

ウクライナとロシアの停戦協議でロシアのキーウでの軍事作戦縮小の方針が伝えられていましたが、ウクライナ政府はキーウ州全域をロシア軍から奪還したと発表しました。一方でロシアは東部のドンバス地域や南東部に軍を再配置し、同地域の制圧し5月初めに勝利宣言することに注力すると伝えられています。クリミアに続き、またしても領土をロシアに奪われることになりそうですが、ウクライナ全土での攻撃は収束する可能性が高いです。どんな形であれ、そろそろ一旦の戦争休戦の形が見えてきそうです。

 

新型コロナは世界的には減少傾向となり規制緩和へ向かっていますが、中国内での感染が拡がっており、ゼロコロナ政策の外出禁止令の影響で職場へ向かえず、生産現場の停止が増えてきました。収束せずに感染拡大が続けば、再び世界のサプライチェーンにも影響が出てくることが心配されます。

 

 

【経済指標】

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 先週の経済指標はマイナス3ポイントの小幅悪化としました。

2月のPCEデフレーターは6.4%となりインフレの高進が示された一方、個人消費支出(PCE)は前月2.1%、予想0.5%に対して結果0.2%と物価高による支出の減速が示されました。

またISM製造業景況指数は前月58.6、予想59に対して結果57.1と下振れ、仕入れ価格指数が11.5ポイント上昇の87.1となり原材料高が示された一方、新規受注や生産指数は低下しました。

これらの指標からは、インフレによる不透明感の高まりから需要が軟化していることが示されました。

 

米国雇用統計ではNFPが予想49万人に対して43.1万人と下振れしましたが、失業率が3.6%と上振れ、平均時給も0.4%上昇し、完全雇用を達成していることを示しました。これによりFRBがインフレ対策を躊躇なく行うことが改めて正当化されました。

 

また、他の中央銀行に連れて日本の10年債利回りが上限の0.25%に近づいたため、再び日銀が連続指値オペで金融緩和措置を行いました。利回り上昇は抑えられましたが、その副作用で円安が進み一時ドル円が125円にタッチしました。

一方でユーロ圏のHICPが7.5%と急進したことから、ECB高官からも9月までにQEを終了させ利上げを行う議論が出てきました。

欧米と日本の金融政策の違いが浮き彫りになった週となりましたが、日本のインフレ指標も4月からは上昇することが予想され、今後も同様の事態となった際に緩和策を続けられるか疑問が残ります。

 

 

【先週のマーケットの振り返りと考察】

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 先週のダウ、ナスダック、S&P500の主要米国株式指数は3週連続でプラスに推移しました。

先週はウクライナでの停戦交渉の進展を巡って一喜一憂しつつ、PCEデフレーターや雇用統計などの指標によって金融正常化のペースを探る展開となりました。

また原油は中国のロックダウンによる需要減や、米国が5月以降、半年に渡る戦略石油備蓄の放出を決定したために大幅に下落し、先週末に比べて14ドル安の99ドルとなりました。

 

〜逆イールドだからリセッションか〜

 先週の雇用統計では失業率が前回3.8%から3.6%と改善し、完全雇用状態が示されました。

これを受けてFRBがインフレ対策を躊躇なく行えるとして、5FOMCでの0.5%の利上げ観測が高まり短い金利が上昇してフラット化、2年最利回りと10年債利回りが逆転し逆イールドが発生しました。

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FRBはまだ利上げを開始したばかりですが、インフレ率が高すぎるために金融引き締めが急激になるとの観測から将来の景気後退が織り込まれ、短期金利は上昇、長期金利は低下しています。

 

下記は米国10年債利回りから2年債利回りを引いた金利差の過去からのチャートです。

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 金利差ゼロのピンクのラインを下に突っ込むと逆イールドを意味しますが、過去の発生時の2年以内に必ずリセッションとなっています。そして現在、「逆イールドが発生した」という事実がそのアノマリーに該当することから、リセッションが近いと考えられています。

 

 これまでの逆イールド発生時は利上げがかなりの段階まで進んだあと、「これ以上の利上げは許容できない」というシグナルとして起こっていました。しかし今回は3月にゼロ金利からの利上げを開始したばかりであり、強すぎるインフレからのスタグフレーションを懸念して起こっています。

つまりはまだ何も見えていない利上げの効果を悲観して起こっているのであり、それはこれからどうなるかまだわかりません。そこに大きな違いがあると考えます。

 

 株価は3/17の3月FOMC後に一旦底を打ったことから、既にFRBが強い姿勢で金融正常化に立ち向かうことは織り込まれています。4/1の雇用統計でも、良好な結果から改めてFRBの強い金融正常化を正当化されることなりましたが、株価はプラスで終えたことでそれが証明されています。

ここからは正常化の結果、一定の景気を維持しながらインフレ率を抑え込んでいけるかどうかが重要な指標となってきます。そしてその結果が出るのは半年先です。

その間、ISM製造業景況指数が直近5年の平均値である56程度、非製造業景況指数が57程度の水準を維持できるかどうかにも注目しながら、インフレ指標を見守る必要があります。

 

逆イールドの発生はシグナルとしては警戒すべきものだと思いますが、それは現時点での重要なインジケーターではありません。

 

ついては現時点では少なくとも半年先までのリセッションはないと想定し、次週も引き続き強気のポートフォリオを継続します。

 

以上

【3/21-3/25週の世界のリスクと経済指標】〜ウクライナ難民の周辺国への影響〜

先週の評点:

 

リスク   -2点(34点): 悪化 (基準点36点) 

経済指標  0点(60点):中立 (基準点60点)

 

 

【リスク】

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先週のリスクはマイナス2ポイントの悪化でした。

先週もウクライナ情勢は膠着が続きましたが、週末にロシアが軍事作戦の第一段階を完了し、ドンバス地域の開放に焦点を当てると方向転換の姿勢を見せました。ややロシアが後退した印象ですが、一方で決定打がないまま戦闘が長引く様相になってきました。

 

また先週は岸田首相が訪印し、モディ首相に対ロシアで協調を促しましたが、日印共同宣言ではロシアに関する言及はありませんでした。一方で中国の王毅外相もインドを電撃訪問し、対ロシアで「対話重視」とすることで一致したと報道がありました。ロシアに対して制裁を強める日米欧に対して距離を置く中印の姿勢が鮮明となりました。インドの中立姿勢は今後のインド太平洋安保にも影響してくると思われ、動向に注意が必要です。

 

 

【経済指標】

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 先週の経済指標は0ポイントの中立でした。

欧米PMIが発表されましたが、欧州ではウクライナ情勢の悪化を反映してやや悪化の傾向となりました。一方で米国PMIは製造業、サービス業共に上振れとなり米国景気の底堅さを印象付けました。

 

次週は米国PCEデフレーター、雇用統計、ISM製造景況指数の発表があります。

雇用統計で前月に落ち着きを見せた平均時給の伸びが再び上昇するのか、また先週のPMIで底堅さを示した米国景気がISM製造業景況指数でも底堅さを見せるのか、注目しています。

 

 

【先週のマーケットの振り返りと考察】

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 先週の株価指数は概ね堅調に推移しました。

欧米株式は先週に比べるとさすがに推進力が落ちた印象ですが、日経平均は9連騰となり、4.93%高と強い伸びを見せました。米長期金利が2.48%まで上昇したことと日銀の緩和政策継続により円安が進み、1週間でドル円は119円→122円となりました。それを背景に輸出銘柄を中心に日経平均は大きく続伸しました。

米株指数はS&P500が日足200MAを明確に抜け、ここをサポートにして次は2月に2回ほとトライして抜け切れなかった4600辺りを狙った動きとなると思います。

一方でここ最近米株に先んじた動きを見せていた独DAXがやや足踏みしており、米国株も今週は足踏みの展開を予想します。

 

 

ウクライナ難民の周辺国への影響〜

さて、ロシアがウクライナへ侵攻開始してから1ヶ月が経ちましたが、西側諸国からのウクライナへの軍事支援もあり膠着状態が続いています。

一方でこの1ヶ月で戦禍を逃れるため、ウクライナから370万人以上の難民が主に東欧諸国を中心として発生しています。

 

下記はウクライナ難民の流出先をまとめたものです。

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基本的に周辺国への流出していますが、中でも圧倒的に多いのがポーランドです。ポーランドを経由して20万人程度が中欧諸国へ向かったと言われていますが、それでもポーランドには半数以上の200万人程度が留まっていることとなります。

また自国民の人口に対する流入難民の割合が多いのはモルドバで、総人口262万人の小国でありながら38万人の難民が流入しています。

 

ウクライナの近隣各国は人道的見地から避難民の受け入れを積極的に続けており、戦闘の激化が進むにつれ、今後も増加していくと思われます。

ここで気になるのが、受け入れる側の近隣各国の状況です。

戦争が長引くにつれ、今後予想されるのは避難民の避難先での生活基盤の構築です。

そして、それにはウクライナ避難民が避難先での職を必要とすることになります。

 

現在、コロナ禍からの回復での人手不足から東欧各国は比較的失業率が低い状況にあり、足元ではウクライナ難民が職を求めても労働力として許容する能力は高いと思われます。

避難民は女性と子供が中心とされていますので、実際に就労可能なのは半分以下かと考えられます。仮にポーランドにおいて200万人の半分の約100万人の避難民が職を求めると、1,743万人のポーランドの就業人口に約5.7%の労働力が追加されることになります。モルドバに至っては14.5%の追加になります。

また、ウクライナの一人当たりGDPは3,741ドルと周辺諸国と比較すると圧倒的に低いです。

そして女性や子供が多いことからサービス業などの軽作業が主体となることが考えられます。

つまり、周辺各国の底辺層の雇用がウクライナ難民によって大きな影響を受けることが考えれます。

 

2010年から欧州に大量に流入したシリアを中心とした難民により、欧州社会にはイスラムを中心とした異文化による自らの伝統の破壊や雇用の喪失に対する恐れが発生しました。それが欧州でのポピュリズムの台頭を増長させた訳ですが、今回のウクライナ難民の大量流入も東欧での同様の流れを作る可能性を否定できないと推測します。

もちろん、シリア難民とは違い、ウクライナと東欧諸国は民族的、言語的にも近くかつ宗教も東方正教会をベースとしていることから、文化的な障壁は低いと思います。しかし今後、景気後退も予想される中で、自国民の雇用の喪失が意識され始めると、避難民に対する反対意識も生まれてくると想像します。

 

今回の東欧諸国を中心とした避難民の受け入れは、人道的見地から称賛されるべき行動であることは間違いありません。しかし一方で東欧諸国が急に大量の新たな住人を抱えることとなってしまったことは事実であり、その影響も考える必要があると思います。

個人的にはEU全体で分散し、東欧諸国への影響を薄めていくしかないと思います。しかし、避難民の祖国の近くに留まりたいという意志や、経済的な格差や文化的な違いがさらに拡がる西欧、南欧地域での受け入れがどこまで進むか未知数な部分も多いと考えます。

難しい問題ですが、その課題を今後欧州がどのように受け入れ、どのように変化していくのか注目したいと思います。

 

以上

【3/14-3/18週の世界のリスクと経済指標】〜FRBが示した将来のハト派姿勢〜

先週の評点:

 

リスク   -1点(32点): 小幅悪化 (基準点36点) 

経済指標  -13点(70点):大幅悪化 (基準点83点)

 

 

【リスク】

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 先週のリスクはマイナス1ポイントの小幅悪化でした。

ウクライナ情勢は、一時停戦合意が近いとの報道もありましたが、その後の続報がなく難航しているものと思われます。ロシア側は超音速ミサイルで軍事施設を破壊し、最新兵器の投入で圧力を強めています。ウクライナ難民は3/15に300万人を超えたとの報道も出ており、今後周辺諸国への難民による様々な影響が露見してくると思われます。

 

また中国がロシア支援を強めるとの観測から米中首脳会談がオンラインで行われましたが、中国の方針は明確に示されませんでした。

引き続き出口の見えない状況が続きます。

 

 

【経済指標】

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  先週の経済指標はマイナス13ポイントの大幅悪化としました。
注目のFOMCは0.25%-0.50%への0.25%の利上げ、ドットチャートでは22年の7回の利上げが示されました。また5月の会合でのQTの可能性も示唆されました。
BOE政策金利でも予想通りの0.75%への25bpsの利上げが発表されましたが、追加の利上げに関してはインフレによる景気減速も意識されてややトーンが和らぎました。
 

 その他の指標は米小売売上高や米NY連銀製造業景気指数、ドイツやユーロ圏のZEW景況感調査などの景況系指標が低調に推移し、高インフレやウクライナ情勢の悪化からやや景気の低下を印象づけられました。

次週は欧米PMIが発表されますが、資源高やウクライナ情勢の影響がどれほど現れるのか注目します。

 

 

【先週のマーケットの振り返りと考察】

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 先週の主要株式指数は強い反発となりました。

DAXは前週に続き大幅反発となり強い上昇局面を継続しています。

また先週はFOMCを前にして3/15に米国株も底打ちし、FOMCを挟んで大幅反発となりました。特にこれまで利上げを前にして下落が激しかったナスダックが大きくアウトパフォームしました。

 中国株も大きな動きを見せました。週初はロシアとの緊密な関係が懸念されて売り込まれましたが、3/16に中国副首相が「資本市場に好ましい政策措置」を打ち出す方針を示し急騰しました。

中国株も底打ちを見せ、市場全体の雰囲気を楽観的にさせる要因となりました。

 

 

FRBが示した将来のハト派姿勢〜

 さて、先週は注目の3月FOMCがありました。

結果は0.25%の利上げ、ドットチャートは22年に利上げ予想7回となりました。またQTに関しても5月の会合で開始について検討することが示されました。

ウクライナ情勢の悪化で世界経済の不透明感が増していることもあり、ややハト派に出るのを予想していましたが、コンセンサス通りながらややタカ派の結果となりました。

 

下記はドットチャート中間値の前回(2021/4Q)と今回(2022/1Q)の変化です。

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前回のドットチャート中間値は2022年から長期に至るまで右肩上がりで将来の景気回復を織り込みながら金利が上昇していくことを示していました。

一方で今回のドットチャートでは、2022年に強く金利上昇した後2023年-2024年でピークを打ち、2025年以降の長期では景気に配慮してか再び利下げが行われることが示されています。

22年に7回(1.875%)という利上げ回数自体はタカ派でしたが、私はこの長期の中間値の利下げ姿勢が、マーケットに安心感をもたらしたのではないかと考えます。

 

実際に政策金利発表直後は、7回というタカ派な利上げ回数に反応、株は下方向へ反応しました。

しかし時間が経つにつれと徐々に落ち着きを取り戻し、特に大型ハイテク株で構成されるナスダック100は前日比3.7%高の大相場となりました。

そしてその後も株式市場は続伸し、ナスダック100は週足8.41%高と他の指数を大きくアウトパフォームして週を終えました。

 

もちろんこれまでハイテク株の落ち込みが激しかったため、単純にその反発が強かったとも考えられます。しかし、この金利感応度の高いハイテク株の強い動きは、長期のドットチャートで示された将来の利下げが加速させたことを表していると思います。

つまり、今回のドットチャートでは、「インフレ退治で一時的にはタカ派にならざるを得ないものの、将来に対してはハト派に行く」というメッセージが示され、それにマーケットが反応したと考えられます。

 

 今回のFOMCで利上げを織り込み、一旦株式市場は底打ちしたと思われますが、ここから更に上昇していくには業績の確認が必要かと思います。ナスダック及びナスダック100は日足50MA、S&P500も日足200MAの節目に差し掛かっており、1Q決算まではここを挟んでフラフラとした動きが続くのではないかと想定します。

 

私にとって、今回のFRBの利上げはサロンで金融リテラシーを学び、仕組みを理解してから初めての利上げでした。

当日は久しぶりに午前3時前に起床し、FOMC中継をリアルタイムで固唾を飲んで見守りました。

FRBの利上げ転換という歴史的な瞬間に立ち会えたことは非常にエキサイティングな経験となりました。

 

以上