投資家見習いのブログ

世界の地政学的リスクと経済指標を独自の数値で可視化し、マーケットを語ります。

【6/29-7/3週の世界のリスクと経済指標】〜今後の経済指標悪化懸念による株価調整〜

先週の評点:

リスク   -12点(30点):大幅悪化 (基準点42点) 

経済指標  +11点(116点):大幅良化 (基準点105点)

 

 

【リスク】

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先週は引き続き米国内でCOVID-19新規感染者拡大の流れとなり、1日当たりの感染者数がついに5万人を超えました。

前週から行われていたバーやレストランなどの営業の再規制がテキサス、フロリダに加えカリフォルニア、アリゾナなどにも拡大し、経済活動制限の再導入が広がっています。

ブラジル、ロシア、インドなどの新興国でも拡大が衰えず、全世界では感染者数が1,100万人を超えました。

 

また、中国の全人代にて香港国家安全法が可決され、6/30より施行されました。香港では早速抗議集会を行った人々が逮捕され、また「香港独立」と書いてある旗を所持したり叫んだりした人も「国家安全法違反」で逮捕されました。今後は抗議デモに対して軍の関与が高まり、情報収集などを行う可能性も報道されました。

コロナ禍で各国が内政を重視し外交に力を割きにくい中で、急速に民主主義に対する圧力を強めている印象です。

 

EUと英国の離脱交渉も再度暗礁に乗り上げた様子であり、全体としては良いところなしでマイナス12ポイントで大幅悪化としました。

 

 

【経済指標】

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先週はアメリカの重要指標が目白押しでしたが、総じて良化となりました。

中古住宅販売成約指数が44.3%で記録的な改善、消費者信頼感指数も85.9から98.1へ回復、ISM製造業景況指数も基準の50を超える52.6、雇用統計も予想300万人に対し480万人、失業率13.3%から11%へ改善となりました。

米国の経済指標はCOVID-19感染拡大からの制限緩和で、景気が底を打って回復していることを示しました。

 

全体としては米国の経済指標のポジティブによりプラス11ポイントの大幅良化となりました。

 

 

 

【先週の振り返り】~今後の経済指標悪化懸念による株価調整~

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先週は米国でのCOVID-19感染再拡大により経済活動の再規制が始まったことや、中国全人代での香港国家安全法の採択が重しとなりましたが、米国の経済指標の大幅改善への反応が良く米株3指数は大幅に伸長しました。またナスダックは史上最高値を更新しました。

上海総合指数も香港国家安全法の可決を好感して大幅上昇を見せました。

 

 

さて、今日はここ最近の米国でのCOVID-19の再拡大を受け、マーケットがどのように変化してきたか改めて考察してみたいと思います。

私は6/1-6/5週の振り返りで、3/23の株価の底値からの回復のステージを下記の通り3つに分類しました。

 

ステージ①323日~4月半ば:全世界的な大規模な金融緩和、財政政策による下支え時期

ステージ②4月半ば~5月末:制限緩和による経済のV字回復期待時期

ステージ③6月第1週:実体としての経済指標の底打ち確認

 

その後の動きをダウ平均株価日足チャートで見てみます。

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上述の①②③のステージを経て、6/8にダウは戻り高値を付けました。

しかし、直後に米国内でのCOVID-19の感染者数が200万人を超え、アリゾナ、フロリダ、テキサス、カリフォルニア州COVID-19再拡大の兆しを見せ始めると一気に急落します。

そして再拡大の進行に伴って株価は上値が重くなり、現在はステージ③で上昇する以前の水準に戻って推移しています。

つまりはCOVID-19の感染拡大懸念が再発してきたことによってV字回復期待が後退し、ステージ②のV字回復期待での上昇分が調整されたと考えられます。(上記チャート上の④の動き)

 

経済指標の項目で振り返ったように、現在米国の経済指標は強い回復を示しており安定しています。そしてそれらの順調に回復を示す経済指標が株価を下支えしていると思います。

ただ、その回復は5月中旬からの米国内での制限緩和の影響を織り込んでいるものであり、6月中旬からの一部の州での制限の再導入は織り込んでいない可能性があります。

特に6月雇用統計は6月中旬までの雇用状況を示したものであり、ここ半月の再拡大の影響は含まれていないものだと推測します。

つまりは7月に出てくる経済指標や7月の雇用統計の数値は、現在進行している経済活動制限の再導入を受けて悪化する恐れがあります。

そうなると、6月初旬にステージ③で「経済指標の底打ちを受けて上昇した分」が調整されることになると考えられます。

そして単純に伸びた分が戻ると仮定すると、その調整幅はステージ②とステージ③の上昇が始まる前の水準である23,000ドル近辺までと考えることができます。

3/23の底値を割ることはないとは思いますが、上記レベルまでの調整は想定しておくべきだと思います。

 

以上