投資家見習いのブログ

世界の地政学的リスクと経済指標を独自の数値で可視化し、マーケットを語ります。

【7/27-7/31週の世界のリスクと経済指標】〜弱い日本株から強い新興国株へ〜

先週の評点:

リスク   -8点(34点):悪化 (基準点42点) 

経済指標  -3点(108点):悪化 (基準点111点)

 

 

【リスク】

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先週も全世界でCOVID-19の感染者拡大が止まりません。

米国、ブラジル、インドに加えてコロンビア、メキシコ、イラクなどでも感染者数が過去最高を更新しています。また、日本をはじめ、中国、香港など一度収束したと思われた地域でも再拡大しています。

一方で先週はバイオンテック/ファイザーとモデルナがワクチン開発において3万人規模の最終治験を開始したと報道があり、早期のワクチン供給に期待感が広がりました。

 

また、米中対立においては米豪が行った2プラス2会議後に共同会見を行い、インド太平洋地域の各国を中心に対中包囲網で連携することを呼びかけました。

ここ最近は豪州に加え、インドも国境地帯での軍事衝突以来対中姿勢を強めており、政府や公営企業がモノやサービスを購入する際に、中国企業の応札を制限する動きを見せています。

徐々に米国の呼びかけに応じ、インド太平洋地域で連携が出来つつあるように感じます。

 

全体的にはCOVID-19の拡大と他国を巻き込んだ米中対立の悪化でマイナス8ポイントの悪化となりました。

 

 

【経済指標】

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先週はアメリカ、ドイツ、ユーロの4-6月期GDPの発表がありました。

ドイツGDPCOVID-19パンデミックにより個人消費、企業投資、輸出が大打撃を受け、事前予想を上回る過去最悪の落ち込みとなりました。

またアメリカも事前予想は上回るも前期比年率換算でマイナス32.9%となりました。リーマンショック時でもマイナス8%であったことを考えると経済へ相当の規模の打撃を受けたことがわかります。

米新規失業保険申請件数も前週より増加傾向を見せ、米国内での雇用の回復が遅れていることを示しました。

また米FOMCが開催され、金利は据え置き、引き続きCOVID-19で打撃を受けた経済を支えるためあらゆる手段を尽くすと発表されました。

 

全体としてはGDPを始めとして悪化を見せる指標が目立ち、6月中旬以降良化傾向が続いていた経済指標が久しぶりにマイナス3ポイントで悪化となりました。

 

 

 

【先週の振り返りと考察】~弱い日本株から強い新興国株へ~

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先週は日米の4-6月期決算発表や欧米の4-6月期GDPの発表などで明暗が分かれた週でした。

強かったのはCOVID-19による経済活動制限をモノともしない米テック企業を中心としたナスダックと、経済回復基調が鮮明な中国上海総合指数でした。

ナスダックはGAFAの決算が全て事前予想を上回り、アップルとフェイスブックが最高値更新、アマゾンは直近最高値更新を狙う位置で巨大な時価総額の企業が引っ張りました。

また中国は製造業PMI51.1、非製造業PMI54.2と引き続き50を上回る好調さを見せ、株価指数は上昇しました。

 

一方で弱かったのは日経、DAX(独)、FTSE100(英)でした。

日経はキャノン、ファナックパナソニックコマツなどの大手製造業の4-6月決算の悪化が激しい上、先週は米国FOMCを控えて円高も大きく進んだため、6日連続で大きく売られました。

またドイツはGDPが前期比マイナス10.1%と過去最悪となったことを嫌気され大きく売られ、イギリスもEUGDPの悪化に連れて下落しました。

 

今回は先週特に明確になってきた各国の株価の強弱の傾向を踏まえて今後の長期投資戦略を考えてみたいと思います。

 

まず、6/30終値7/31終値の月間の増減を見てみます。

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月間で見ても、強いのは上海総合とナスダックで、上海総合は10.90%と驚異的な上昇を見せています。

それに加えてこの1ヶ月で強い上昇を見せたのはブラジルボベスパ、それと台湾加権指数、韓国KOSPIです。

ブラジルはCOVID-19の感染拡大が止まりませんが、一方で原油価格の安定と中国向けの資源の回復で株価が上昇してきているものと推測されます。

また台湾はTSMCに代表される半導体製造企業の好調さ、韓国もサムスンLGなどの半導体関連企業の好調さが現れていると推測されます。

 

次に2020年の高値からの増減比較を見てみます。

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こちらを見ても、やはり年初来高値を更新しているのはナスダックと上海総合、それから台湾加権指数です。

ここから導き出せるのは、特定のセクターの企業群およびそれに関連した地域が強くなっているということです。

 

そしてこれらの強い国の株式銘柄が含まれているのがMSCI Emerging Index新興国株式インデックス)です。

組み入れ対象国上位5ヶ国は中国株40.22%、台湾12.86%、韓国11.33%、インド7.95%、ブラジル5.44%となっています。

現在の状況下では、半導体関連企業も力強さに欠け、世界的なテック企業もない日本の企業収益は当面回復が見込めないと判断し、少なくとも向こう1年程度はこれらの新興国株式が日本株をアウトパフォームすると考えます。

 

よって長期投資のポートフォリオにおいて日本株式インデックスの一部を売却し、新興国株式インデックスへ変更したいと思います。

ただし、新興国株式はボラティリティが激しいので現行ポートフォリオ5%分を日本株から移行します。

またナスダックにも日本株から5%を移行します。

現行のポートフォリオは全米株式30%、ナスダック10%、日本株24%、国内債券23%、金7%、現金6%

これにより日本株24%→14%、ナスダック10%→15%新興国株式0%→5%としたいと思います。

 

以上