投資家見習いのブログ

世界の地政学的リスクと経済指標を独自の数値で可視化し、マーケットを語ります。

【9/21-9/25週の世界のリスクと経済指標】〜底堅い日経225と沈む他指数〜

先週の評点:

リスク   -7点(44点):悪化 (基準点51点) 

経済指標  +3点(90点):小幅良化 (基準点87点)

 

 

【リスク】

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先週はここ数ヶ月落ち着きを見せていたCOVID-19に関するリスクが再び明確に顕在化してきた印象です。

欧州では8月に入ってからスペイン、フランスなどで再び増加を見せていましたが、他地域にも飛び火し欧州全体で3-4月のピークも超えてきました。

死亡者数が伸びていないため3-4月程ではないですが、徐々に活動制限が強化されつつあります。

それにより欧州ではサービス業を中心に景況感も低下しています。

 

一方で米国ですが、感染者数の伸び率は低下しているものの、依然収束は見えず累計700万人を突破しました。

それに従い、追加経済対策の必要性が声高に叫ばれるようになりました。

特に先週は9/16FOMCに続き、パウエル議長を筆頭にFRB高官による追加経済対策に関するコメントが相次ぎました。

米国では、対策額を抑えたい与党共和党と大きくしたい野党によって綱引きが繰り広げられていますが、COVID-19の再拡大への懸念で追加経済対策早期実施の期待が大きく影響するようになってきました。

 

また大統領選が近づき、苦戦が伝えられるトランプ大統領は最高判事の後任人事や郵便投票の是非を巡ってなど露骨な行動を取るようになりました。

それが様々な憶測を呼び、不安定さを助長しているような印象です。

 

全体としてはCOVID-19による欧州での活動制限強化、大統領選を前にした混乱、中東情勢、EUとロシアの対立激化などでマイナス7ポイントの悪化としました。

 

今回から米追加経済対策の項目をリスクに追加しました。

 

 

【経済指標】

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先週は欧米のPMIが発表されました。

欧州は、製造業PMIは堅調に回復する中国経済の影響を受け、先月に続いて好調を維持していますが、サービス業PMIはここ最近のCOVID-19の感染者再拡大による活動制限強化の影響で後退しました。

また米国も同じく製造業PMIは先月より改善しましたが、サービス業PMIはわずかながら後退を見せています。

 

全体としてはまちまちながら、わずかに良化の指標が多く、プラス3ポイントの小幅良化としました。

 

 

【先週の振り返りと考察】~底堅い日経225と沈む他指数~

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先週はここまで3週連続で下落していたナスダックが若干回復した以外、下落基調の週でした。

特に先週まで比較的堅調に推移していたDAXや上海、香港などが大きく崩れました。

 

 欧州は先述の通りCOVID-19の感染再拡大により活動制限が強化されつつあり、それが懸念材料となっていると考えられます。

 中国市場は元々米中対立から中国テック企業に対しては向かい風となっていたところに中国恒大集団がデフォルトの可能性を中国当局へ警告したことの報道を受けボラティリティが高まりました。

 

一方で日経225は週足で小幅下落で留まりました。

ここで相場が現在の調整局面に入った9月の各株式指数の増減を見てみます。

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これを見ても各指数が軒並み下落している中、日経225だけが小幅上昇しています。

 

私は現在日本株式に対しては悲観的に見ています。

何故ならば日本には米中が争うような先端的でグローバルテック企業がなく、旧式な技術である自動車産業や機械産業に頼らざるを得ない状態であるからです。

また、やはり4-6月期の決算が想像以上に悪かったことで当面業績回復の見込みが立たないと判断したからです。

そういう視点で考えると現在の日経225の底堅さは違和感があります。

従来はリスクオフになると円高が進み、どの市場よりも真っ先に大きく売られるのが日経225だったはずですが、今月に限ってはそのセオリーが崩れどの市場よりも固い値動きをしています。

もちろん8年弱にも渡る長期政権が突然終わりを迎えながらも路線変更がなく、かつフレッシュな面も見せながら管政権が誕生したことが安定感と期待感を持たせていることも考えられます。

しかし、この日経225の底堅さは、やはり世界的な金融緩和で相場が支えられていることの証明であり、現在調整している市場は、下記の様にそれぞれの国の個別要因により調整していると考えられます。

 

米国:①急速に加熱し過ぎた大型テック銘柄に対する調整、②既に織り込まれている追加経済対策の遅れ、③大統領選を前にした動揺

欧州:①COVID-19による活動制限の経済への影響、②英国のFTAなし離脱による混乱懸念、③ロシアとの対立激化懸念

中国:①米国による先端技術輸出規制から来る個別企業への影響

 

それにより相対的にリスクが少なく安定している日本株式に資金が流入し、底堅さを形成しているものと思われます。

 

 その中で米国株式に関しては、①の調整はナスダックが日足の長期トレンドラインで反発しておりそろそろ終わりが見えてきているのではないかと考えます。

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となると次に重要なのは②の追加経済対策です。

これまでここ数ヶ月、米国の経済指標は力強く回復を見せてきていましたが、それを背景に共和、民主両党は協議においてお互いの主張を曲げず大統領選後まで結論を引き延ばす様相を見せて来ています。

しかし、これが経済指標の勢いに陰りが見えてくるようだと、FRBからの必死の催促もあり流石に折り合いを付けてくるものと思われます。

 

ついては私は今週10/2の雇用統計に注目しています。

現在雇用統計はFRBもトランプ政権も最も重要視する指標です。

単純に指標が良ければ戻る材料になりますし、仮に勢いに陰りが見える様であれば、既に実行は方向付けられており規模の妥協点を待つだけとなっている追加経済対策を早急に取らざるを得ないのではないかと思います。

そして追加経済対策の形が見えてくれば、再びゆっくりと米株価は上昇していくのではないかと想像しています。

 

以上