【3/29-4/2週の世界のリスクと経済指標】〜3月に強さを見せたDAX〜
先週の評点:
リスク -2点(31点):小幅悪化 (基準点33点)
経済指標 +10点(100点):大幅良化 (基準点90点)
【リスク】
先週のリスクはマイナス2ポイントの悪化でした。
新型コロナはワクチン接種が拡がるも、変異株の感染拡大スピードも早く、せめぎ合いが続いています。
また先週は米中対立での中国側の積極的な外交が目立ちました。
前週から続く中国外相の中東訪問ではUAEでのワクチン製造が決定し、国防相の東欧訪問(ハンガリー、セルビア、ギリシャ、北マケドニア)ではセルビアから中国への支持を取り付け、ハンガリーとは軍事交流やワクチン協力を約束しました。
前週の欧米諸国の連携に対応し、積極的に対殴米勢力の拡大に勤めています。
【経済指標】
先週の経済指標はプラス10ポイントの大幅良化でした。
低下が続いていた中国製造業PMIは統計局の発表は3ヶ月ぶりに上昇するも、財新の発表は1年ぶりの低水準となり評価が分かれました。中国の側面指標であるドイツ製造業PMIは好調が続いていることから、すぐに崩れることはないと思われるも不安定な状況が続いています。
注目の米国ISM製造業景況指数は64.7と大幅な上振れを見せました。また米国の雇用統計も非農業部門雇用者数変化も91.6万人増と大きな回復を見せました。平均時給は低下していますが、これは低賃金労働者にも雇用が行き渡り始めたことを示しており、ワクチン接種拡大により雇用回復が広がり実体経済が急速に上向いてきていることを示しました。
次週は4/5(月)の米ISM非製造業景況指数、4/6(火)の中国財新サービス業PMI、豪州RBA政策金利、4/7(木)のFOMC議事要旨、4/9(金)の中国CPIが注目されます。
【先週の振り返りと考察】〜3月に強さを見せたDAX〜
先週は3月が終わりましたので、3月の値動きと共に先週の株価指数を振り返ってみたいと思います。
下記は3月の月足です。
DAXの伸びが8.86%と際立っています。
DAXは3月に入り、米追加経済対策の成立をきっかけに高値ブレイクし、ECBの債券購入額前倒しによる長期金利上昇抑制策と好調なPMIを追い風に高値を更新し続けています。
またダウも2月末からの長期金利上昇の恩恵を受けて6.68%上昇しています。
一方でナスダックは長期金利上昇が圧力となり小幅上昇に留まりました。
また、日経も3/18に再び3万円を超えたものの3/19の日銀の実質テーパリングの政策発表を機に売られたため、低調な推移となりました。
これを見ると3月は依然リスクオンで株式市場全体にマネーが流入したにも関わらず、
①長期金利の上昇によりグロースよりシクリカルが選好
②ECBと日銀の金融政策の違いにより、同じシクリカルでも日経が嫌気されDAXが選好
となったことがわかります。
続いて足元の先週の値動きです。
先週も全体的に株式指数がリスクオンの週となりました。
大きな理由としては下記の通りです。
①米バイデン政権が8年間に渡る2兆2500億ドル規模のインフラ投資計画を打ち出す。
②米国内でのワクチン接種が成人の20%を超え制限緩和が進む。
③ISM製造業景況指数が予想61.3に対し64.7と大幅に回復。
ただ、米アルケゴスキャピタルの破綻に関連するポジション解消で金融機関が損失を出し金融株が低調だったことや、米長期金利がやや落ち着いたことにより、米国ではダウ平均が低調となり逆にナスダックが強さを見せました。
また、日経、DAXなども半導体関連のグロース株を中心に伸びました。
先週の動きを見ると、3月全体の特徴であった①グロース<シクリカル、②日経<DAXという事象がやや落ち着いてきた印象がありますが、4月以降も継続するか今週の動きに注目したいと思います。
週明けは、4/2の欧米株式市場が休場であった為、米雇用統計の影響が織り込まれておらず、金利、株式共に上昇基調からのスタートとなると思われます。
一方で米政権のインフラ投資計画で語られた「財源としての増税」に対して市場は目立った反応を見せておらず、またデジタル課税に関して議論が予想されるG20会議が4/7に行われるため、国際ルール作りが難航するようであれば特にGAFAMなどのハイテクグロースには重しになると思われます。
従って短期的には一時的に上昇するもナスダックに下目線です。
また今週は4/9に安川電機の決算発表がありますので、日本の輸出企業の業績を測る意味でも注目しています。
以上