【4/19-4/23週の世界のリスクと経済指標】〜正常化へ向けた兆し〜
先週の評点:
リスク 0点(33点):中立 (基準点33点)
経済指標 +14点(83点):大幅良化 (基準点69点)
【リスク】
先週のリスクはプラスマイナスゼロの中立としました。
先週はリスク面ではEU情勢が動きました。
EU復興基金の承認を止めていたドイツ連邦憲法裁判所が反対派の申し立てを棄却し、EU復興基金の始動に向けた大きな障害が取り去られました。
また日米首脳会談を睨み、緊張の緩和する姿勢に転じ、ウクライナ東部の国境から撤収を始めました。
【経済指標】
先週の経済指標はプラス14ポイントの大幅良化でした。
先週は欧米のPMIの発表がありましたが、引き続き強さを見せました。
ユーロ製造業PMIは予想62.0に対し63.3と強さを見せ、さらにサービス業PMIも予想49.1に対して50.3と、ようやく基準値の50を超えてきました。
ワクチン接種の拡大により欧州も徐々に景気が上向いてきたことが示されました。
また米国もMarkit社PMIで製造業、サービス業共に上振れ、3月新築住宅販売件数も予想88.6万件に対して102.1万件と強い数値を示しました。
【先週の振り返りと考察】〜正常化へ向けた兆し〜
米国株式はバイデン政権がバイデン政権が富裕層に対するキャピタルゲイン税を2倍に増加すると伝わり重くなるも、好調な企業決算と経済指標が下支えとなり微減となりました。
日経平均は日本国内で緊急事態宣言が出される見込みとなった上、好調な決算が出るも投資家の期待には届かず強く売られました。やはり前週の日米首脳会談による日中関係の悪化懸念も強く影響したものと思われます。
一方で上海総合指数は気候変動サミットへの米中首脳の参加で両国の全面対決が避けられたことを好感して上昇しました。
さて、先週は強い金融緩和や財政政策からの正常化戦略が語られました。
まずは米国ですが、3月末にバイデン政権から示された法人税増税に続き、所得が100万ドル以上の富裕層に対するキャピタルゲイン税を20%から39.6%に引き上げるとされることが伝わりました。
これらは今後バイデン政権が導入を予定するインフラ投資の財源として利用されます。
続いて、カナダ中央銀行が資産購入の規模を週40億カナダドルから週30億カナダルに縮小し、利上げの目処を22年に前倒ししました。
そしてすでに日本では3/19の日銀金融政策決定会合によりETFの買い入れ目安の6兆円を削除し、また長期金利の変動幅を0.20%から0.25%へ拡大したことにより実質テーパリングを行っています。(4月はまだ4/21に701億円購入したのみ)
またそれに加え、3月比での4月の国債購入規模も大幅に減額しています。
https://jp.reuters.com/article/boj-april-idJPKBN2BN11L
ワクチン接種拡大や金融緩和や財政政策などによる急速な景気回復を見据えて、それらを正常化する動きが目に付くようになりました。
足元では変異株が拡大しながらもワクチン接種は確実に拡大しており、先進国においては秋頃には制限解除が進むと思われます。
そのため、各国において行き過ぎた資産価値の膨張を抑えることが意識され始めてきたと認識できます。
ただ、コロナ感染拡大が再度強く進み緊急事態宣言が発出される状況での日銀の矢継ぎ早のテーパリング行為は勇み足が過ぎるように思われ、引き続き日本株はアンダーパフォームすると思われます。
少なくともワクチン接種がある程度落ち着くまでは相対比で日本株が選好される可能性は少ないと思います。
次週は4/27(火)に日銀金融政策決定会合、4/29(木)の早朝にFOMCがあります。
また4/28(水)のバイデン氏の議会演説前に増税に関して詳細が発表されると伝えられています。
この1年の中央銀行や政府からの強いサポートを正常化する兆しがどのように進むか注目します。
以上