投資家見習いのブログ

世界の地政学的リスクと経済指標を独自の数値で可視化し、マーケットを語ります。

【7/12-7/16週の世界のリスクと経済指標】〜選挙を前に思うこと〜

先週の評点:

 

リスク   -4点(32点):悪化 (基準点36点) 

経済指標  +1点(102点):小幅良化 (基準点101点)

 

 

【リスク】

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先週のリスクはマイナス4ポイントの悪化としました。

新型コロナは東南アジアでの感染拡大が止まりません。インドネシア、タイ、マレーシアなどでは病床も不足しており、日系企業の邦人駐在員の帰国も始まりました。(私の会社のインドネシア、タイの子会社の駐在員も帰国となりました。)

欧米でも再び上昇を示していますが、一方で死亡者数はワクチン効果で強い伸びは示しておらず、イギリスでは今後は感染を受け入れながら規制を解除できるかどうか試していくことになります。

 

またキューバ南アフリカ、ハイチなどで政情不安となりました。

キューバではインフレやコロナ対策への不満、南アフリカでは前大統領収監に対する抗議、ハイチでは大統領暗殺と、人々のストレスが溜まる中で混乱が広がっています。それぞれ経済的には小国であり、世界経済に影響を与えるものではないと思いますが、国民の民意の変化も含めて注目していきます。

 

 

【経済指標】

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先週の経済指標はプラス1ポイントの小幅良化となりました。

米6月コアCPIは4.5%となり6月も強いインフレ傾向を示しました。

それに対してパウエル議長は、緩和縮小は「まだ先」と発言し、改めて現在のインフレが一過性である認識を示しました。

米6月小売売上高は予想に反して0.6%の伸びを見せ消費の回復を示しましたが、一方で7月ミシガン大学消費者態度指数は予想86.5に対し80.8と大幅に低下し、強いインフレが住宅や自動車の購入意欲を削ぎ始めていること示しました。

米経済は回復しつつも、徐々にインフレが消費に対して重荷になってきた印象です。

 

一方で豪準備銀行のテーパリングに続き、NZ準備銀行は量的緩和を停止しました。

また4月に量的緩和縮小を開始したカナダ中銀は債券購入額をさらに10億カナダドル縮小しました。

経済規模の大きくない先進国では、米国の動きを意識しながらもテーパリングでインフレの抑制に向けた動きが展開されています。

 

中国4-6期GDPは7.9%と堅実な成長を見せるも予想8.1%には届かずやや減速感を示唆しました。

 

次週は米住宅着工件数、ECB総裁定例会見、独PMIに注目します。

住宅着工件数はインフレ圧力からの消費の減退が具体的な指標として現れ、景気のブレーキなるかどうか注目します。

ECB総裁定例会見は、先週3月末以降の金融政策に関する新しいガイダンスを出すことが示されましたので、それがどのようなものになるか注目しています。

また独PMIはやや減速傾向にある中国経済が未だ堅調なのかどうかを図る指標として注目します。

 

 

【先週の振り返りと考察】

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先週の株価指数は欧米主要指数は軟調に推移しました。

デルタ株が東南アジアで猛威を振るい、欧米でも再び感染再拡大していることを受け景気回復の後退が意識されました。

また米6月CPIの結果を受け、半導体や労働者の不足が収まらずインフレが長期化する懸念が燻り始めました。

一方で長期金利は1.3%まで低下しながらもドル高となり、安全資産である米国債への資金の移動が行われました。

 

次週は米国企業の決算が本格化しますが、先週の銀行株の株価を見ると、やはり決算のハードルが高くなっていることが伺え、相当なサプライズがないとやや上値が重たい展開が続くと思われます。

金利も低下しており、特にバリュー株には厳しい状況であることからダウに下目線です。

 

 

 

〜選挙を前に思うこと〜

さて、世界の政治経済の動きとは関係ありませんが、今週末は私が住む兵庫県の知事選挙があります。

私にとって今回の選挙はコロナ禍となってから初めての選挙です。

従来から選挙には積極的に参加してきましたが、コロナ禍となったこの1年超で選挙に対して思いを新たにする出来事がありました。

 

それは米国の大統領選です。

トランプ前大統領もワープスピード作戦など強いリーダーシップでコロナ禍での米国を率いていましたが、選挙が近づくにつれ独善的で攻撃的な発言で分断を煽り暴走しました。

それにより米国の民主主義が一時大きく衰退しました。

しかし大統領選挙での国民の選択によってバイデン政権に変わりました。

それにより一気に逆回転し同盟国との関係重視や分断を回避するための経済格差縮小への政策に舵が切られました。

行き過ぎた前大統領の暴走行為が民意の力によって否定され、修正されたのです。

私はその民主主義のダイナミックな修正力に驚き、民意の力強さを実感しました。

 

我々民主主義国家の国民はリーダーの能力を見極めることができ、もしその能力や方針に満足できないのであれば選択によって修正できる力を持っています。

 一方で中国などの専制主義国家においては、国民はリーダーを選ぶことができず、仮にその方針が行き過ぎ、国民が修正したいと思ったとしてもそれはなかなか出来ません。

多くの場合、反乱分子として弾圧を受けることになります。

 

メルケル首相は2019年に米ハーバード大学で講演した際に「自由が当たり前でないことを忘れてはいけない」と言いました。

我々は18歳になると自動的に選挙権を与えられますが、若い人を中心にそれを行使しない人も多くいます。

しかしその権利は当たり前のものではなく、専制主義国に生きる人たちには得難い権利です。

その権利があるからこそ、我々は民意に叶う方向へ国を進めていけるのだと思います。

つまり選挙権は世界をより良い方向へ導くために、我々民主主義国家の国民に与えられた最も尊ぶべき権利であると考えます。

 

今回私が投票する選挙は国会議員を選ぶわけでもなく、それが直接国家元首を選ぶことに繋がるわけではありません。

しかし、私たちに与えられた尊い権利を行使するという意味で、今回の県知事選挙に特別な思いを感じています。

私の票が私たちの進む方向を作り上げていくことを強く意識し、誰に託すのが最良なのかしっかりと考えた上で投票に臨みたいと思います。

 

以上