投資家見習いのブログ

世界の地政学的リスクと経済指標を独自の数値で可視化し、マーケットを語ります。

【10/25-10/29週の世界のリスクと経済指標】〜債券市場と株式市場で見方が分かれた10月〜

先週の評点:

 

リスク   3点(39点): 良化 (基準点36点) 

経済指標  +13点(103点):大幅良化 (基準点90点)

 

 

【リスク】

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 先週のリスクはプラス3ポイントの良化となりました。

米仏首脳会談が行われ、豪潜水艦問題に関してバイデン大統領が米国の対応を「まずい対応だった」と認め、関係修復を強化することとなりました。またインド太平洋での欧州への軍事支援の強化も共同声明が出され、米欧の関係が一旦は修復されたことが示されました。

 

また、先週は台湾での米軍の駐留事実をツァイ総統が認め、米軍による台湾軍の訓練が公となりました。

欧州ではEUの議員団が訪台することで調整が進み、スロバキアを訪問中の台湾外交トップが演説し、欧州の台湾への関与が進みました。

 

 

【経済指標】

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 先週の経済指標はプラス13ポイントの大幅良化となりました。

インフレが進む中、米国の消費者信頼感指数は上振れし、米国の消費の底堅さを示しました。

一方で9月PCEコアデフレーターは予想は下回ったものの、前月と同様の最高値の3.6%で推移しインフレ圧力の継続が示されました。4月に3%を超えて以降、高止まりが続いています。

 

カナダ中央銀行、ECBが政策金利を発表し、両行とも超低金利を維持したものの、カナダ中銀はQE終了、ECBは超緩和政策の維持を決定しました。

世界的に引き締め傾向が強くなる中、各国中銀による微妙な舵取りが続きます。

次週のFOMCは、これまでのFRB高官のコメントから推測すると、11月でのテーパリング開始はほぼ決定事項ながら、利上げに対してはハト派スタンスとなると思われ、市場の反応も限定的かと思います。

 

 

【先週のマーケットの振り返りと考察】

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 先週の株価は先進国は堅調に推移しながらも、新興国軟調となりました。

米国株価指数は比較的好調な決算を受け、ハイテクグロース株を中心に大幅に上昇しました。

特にテスラは大手レンタカー会社ハーツが10万台発注したとの報道も後押しし22.46%も上昇しました。

一方で新興国はインド、タイ、韓国、インドネシアなどの株価指数も先週は概ね軟調となっており、弱いところから資金が抜け始めている感じもあり、やや警戒が必要かと思われます。

 

 

〜債券市場と株式市場で見方が分かれた10月〜

さて、先週末で10月が終わったため、改めて債券市場と株式市場の総括をしてみたいと思います。

 

以下は1ヶ月前の9/30と10/29の米国債イールドカーブです。

債券市場は高いインフレ圧力から早期の金利上昇を見込みながら将来の景気減速も織り込み、ベアフラット化しています。また先週20年利回りと30年利回りが逆転し、より景気減速の織り込み傾向が強くなっています。

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一方、株式式場は大型株へ資金が集中しながら大幅に上昇しています。

ナスダックは7.27%、S&P500は6.91%、S&P500は6.91%上昇しました。

下記はS&P500の構成比率上位10銘柄の10月騰落率と構成比率です。

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 上昇率トップのTSLAはローテク半導体を使わない設計が功を奏し、半導体不足をうまく乗り切り好決算で10月に43%上昇しました。

またNVDAが23%、MFSTが17%も好決算で大型株とは思えないほど急騰しました。

一方でAMZNは賃金上昇によるコスト増、AAPLは半導体不足の影響で決算を落としたとは言え、月次ではしっかりと上昇しました。

S&P500の構成比率上位10銘柄のうち5銘柄(10/29時点の合計構成比率14.45%)で10%以上上昇しています。

ナスダック100に至っては上位の10銘柄中6銘柄(10/29時点構成比率28.8%)が10%を超えて上昇し、指数の底上げを牽引しました。

この傾向はわかりやすい一部の大型銘柄への偏りを示し、カネ余りによるバブルの匂いが感じられます。

 

 足元の雰囲気としては、債券市場は強いインフレ圧力の継続に対する早期利上げを見込み、スタグフレーションによる景気後退を意識し始めています。

一方で株式市場は、インフレ圧力は一過性で早期利上げを見込まず、業績相場を織り込みバブリーに上昇しているとの印象です。

債券市場と株式市場で真逆のシナリオが混在し、今後の見通しが非常に難しい状況が示されています。

 

私は米企業の3Q決算において、元々高い決算ハードルにインフレ圧力の高まりからのコスト増が加わり、AMZNやAAPLの様な取りこぼしが増え、株価は大幅に調整するのではないかと考えていました。

そのため10月初旬に資産ポートフォリオの株式比率を30%に減らし、弱気姿勢をとっていましたが、その予想は外れ10月の上昇局面にはうまく乗れませんでした。

しかし、それは結果論であり、リスクが高まっている中で資産を減らすことなく株式30%分でも上昇を取れたことに、ベストではありませんでしたがベターな選択ではあったと納得しています。

 

また今後に関しても債券市場が景気減速を見ている事実や、実生活でも感じ始めたインフレを目の当たりにすると、株式市場は楽観的過ぎると感じ、更なる株価の上昇に強気でついて行く気にはなれません。

 

引き続き、現在のポートフォリオを維持し、金利と商品価格、インフレ指標を注意深く観察していきたいと思います。

 

以上