投資家見習いのブログ

世界の地政学的リスクと経済指標を独自の数値で可視化し、マーケットを語ります。

【11/22-11/26週の世界のリスクと経済指標】〜混沌を呼ぶオミクロン〜

先週の評点:

 

リスク   -5点(31点): 悪化 (基準点36点) 

経済指標  +7点(82点):良化 (基準点75点)

 

 

【リスク】

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 先週のリスクはマイナス5ポイントの悪化となりました。

32箇所もの変異を持つ変異株オミクロンが南アフリカで急拡大していることを受け、世界各国で警戒が強まりました。

変異が多いことで現在接種されているワクチンの効果が現時点では不透明であり、各国で南アフリカや周辺国からの渡航制限や隔離措置が開始されました。

元々欧州を中心に感染が拡大していたところにイスラエル、ベルギー、英、独、伊でもオミクロン感染が確認され、リスクが高まっています。

 

また、EUではベラルーシからの不法移民問題ウクライナ国境でのロシア軍集結問題を巡り、EUベラルーシ/ロシアでの対立が深まっています。

新型コロナ、オミクロン、ロシアとの対立と欧州でのリスクが高まっている印象です。

 

 

【経済指標】

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 先週の経済指標はプラス7ポイントの良化となりました。

欧米PMIはサービス部門を中心に回復を見せていますが、足元で急速に再拡大する新型コロナと、今後拡大が予想されるオミクロンにより、今後は不透明感が高まると思われます。

 

米国のPCEコアデフレーターは前回3.6%から増加し4.1%となりインフレの高まりを示しました。

また米FRBはパウエル議長の続投が決まり、対抗馬であったブレイナード氏よりもタカ派であると見做され、週中には金利や期待インフレは一時上昇しました。

 

 

【先週のマーケットの振り返りと考察】〜混沌を呼ぶオミクロン〜

 先週は新型コロナの変異株オミクロンの拡大により、大きく膨らんだ風船が弾けるかのようにリスク資産が大きく縮小しました。

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先進国株式指数の中では、元々新型コロナ感染者数が激増していたドイツに対しオミクロンが追い討ちをかける形となったため、特にDAX下落幅が激しく5.6%もの調整となりました。

新興国株式指数では原油価格の大幅下落を受け、ロシアRTS指数も7.79%安となりました。

 

また、オミクロンの拡大で各国で行動制限が強くなることが予想され、景気減速を織り込んだために短期から長期まで全体的に金利が低下しました。

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インフレ高進からの利上げを織り込み、2年債利回りは23日には一時0.68%まで上昇していましたが、26日には0.5%まで急速に萎みました。

また金利先物も24日には5月FOMCでの利上げ開始、22年中に3回の利上げを織り込んでいましたが、26日には利上げ開始は6月FOMC、22年中に2回の利上げに後退しています。

 

 商品先物指数は、特に原油が多国間での戦略備蓄解放で低下傾向にあったことに加え、オミクロンによる需要後退観測で大きく下落しました。

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 予想していなかった新型コロナの再拡大観測での調整となりましたが、懸念となっていた原油を始めとする資源価格が下落したことで、一旦は景気過熱が落ち着き金融引き締めペースが和らぐ可能性が出てきました。

またそれにより巣篭もり銘柄を中心としたハイテク株には再び支援的になることも考えられます。

 一方でオミクロン拡大での行動制限が考えられる中、サービス需要がモノ需要に戻り、かつ工場での生産能力が低下することで再び供給制約が強くなりコストプッシュインフレが継続することが考えられます。

そうなるとオミクロンの影響で景気減速しながらも、インフレも残るスタグフレーションの可能性も考えられます。

 

 いずれにせよ今回のオミクロン拡大により、従来からの楽観と悲観が渦巻くインフレ懸念に、新たに予測不可能な不安要素が加えられ、マーケットが混沌としより不確実性が増した印象です。

とにかくリスクを取るべき時期ではないことは変わらないため、引き続き株式30%の弱気スタンスを継続します。

一方で商品高が継続するシナリオに変化が生じたため、10%保有していたコモディティインデックスは手仕舞いし、国内債券に振り分け守りを固めたいと思います。

 

以上