投資家見習いのブログ

世界の地政学的リスクと経済指標を独自の数値で可視化し、マーケットを語ります。

【12/6-12/10週の世界のリスクと経済指標】~注目される利上げペース~

先週の評点:

 

リスク   -3点(33点): 悪化 (基準点36点) 

経済指標  +12点(63点):大幅良化 (基準点51点)

 

 

【リスク】

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 先週のリスクはマイナス3ポイントの悪化となりました。

オミクロン株は感染地域が拡大するものの症状が軽いとの見方が強く、またファイザーや英保健当局がワクチンのブースター接種で有効性が高まると発表したことでやや警戒感が薄れました。

 

政治面ではオンラインでの米露首脳会談が開催され、バイデン大統領がウクライナへの侵攻観測に懸念を表明し、侵攻の場合には同盟国との経済制裁を伝えました。一方でプーチン大統領NATOの東方拡大を排除する法的に定められた保証」を要求し、お互いの主張が平行線を辿りました。

 

また米国主催で開催された民主主義サミットに台湾が参加したことに対抗してか、ニカラグアが台湾との断交と中国との国交回復を発表しました。中国も積極的に台湾周辺の切り崩しを図っています。

台湾を巡った米中対立だけではなく、ウクライナを巡った米露対立も徐々に懸念が拡大しており、米国の対応能力が分散されつつあります。

中露が裏で連携している可能性もあり気になるところです。

 

 

【経済指標】

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 先週の経済指標はプラス12ポイントの大幅良化となりました。

注目の米11月CPIは総合指数が予想と一致の6.8%、コア指数も予想と一致の4.9%となりましたが、両方とも前回から大幅上昇となりました。

 

その他の指標も比較的良好な数値を見せました。

 

 

【先週のマーケットの振り返りと考察】~注目される利上げペース~

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 先週の株価指数は、オミクロン株が症状が軽いと言う見方が広まったために警戒感が後退し、主要指数は大幅反発となりました。

S&P500はオミクロン株や利上げに対する不安が残る中、最高値を更新して週を終えています。

 

 また注目の米11月CPIの発表では総合CPIが6.8%、コアCPIが4.9%と40年振りの上昇を見せインフレの高進が続いていることが示されました。

12/3発表の雇用統計での失業率4.2%となったことに加え、12/8発表の10月JOLTSでも求人件数1100万件を超え、7月に続き過去2番目の高さで高止まりしていることからも雇用市場はほぼ回復が見えます。

そうなるとFRBが注力すべきはインフレ退治であり、注目されるのはやはり次週のFOMCです。

今回のFOMCでの注目点は下記の通りです。

 

  1. テーパリング加速および利上げ開始時期に関する言及
  2. 来年の利上げ回数に関するFRB高官のドットチャート

 

11/30の議会公聴会でのパウエル議長の「テーパリングの早期終了を次回FOMCで議論するのは適切」という発言の通り、テーパリング加速が予想されます。

WSJFEDウォッチャー、ニック・ティミラオスの12/11の記事を読んでもテーパリング終了時期に関し、「6月から3月に」というワードが明示されていることから倍増はほぼコンセンサスであると考えられます。

さらに、もう一歩踏み込んで12月のFOMCで来春の利上げ開始の是非が議論されることにも言及されていますので、利上げ開始時期に関してパウエル議長から具体的な言及が出てくるかにも注目されます。

https://jp.wsj.com/articles/rising-inflation-keeps-pressure-on-fed-to-dial-back-stimulus-faster-11639174767

 

また今回は四半期末のFOMCであるためFRB高官による利上げ時期予想のドットチャートが発表されます。

今回は上に挙げたようにテーパリング加速は濃厚となっているため、その後の引き締めペースの方が焦点になっていると考えます。

下記の通り前回9月のFOMCでは22年のゼロ金利据え置き派と利上げ派が99で半々となっていました。

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 足元のFed Watchでは22年中の利上げ回数は2回が85%、3回が59.5%となることが予想されています。

つまりコンセンサスとしては2回の中間値となっていることが考えられます。

一方で12/10のCPIが予想通りだったことから、株式上昇と共に利上げを反映しやすい2年債利回りもやや落ち着きを取り戻して前日の0.69%から0.65%まで低下していますので、株式市場、債券市場共に「FRBが強くは出ない」とやや楽観視していると思われます。

私の予想も2回ですが、株式市場、債券市場にはやや楽観が感じられるため、たとえ2回となってもマーケットは動揺する可能性があると思います。

また実生活において1年前より全ての物価平均が7%近く上昇していることは異常であり、国民生活の圧迫緩和のためにFRBがよりタカ派に出ることにも警戒が必要だと思います。(下記はワシントンポスト記者がツイッターに挙げた主要インフレ製品)

https://twitter.com/byHeatherLong/status/1469303222556938240?s=20

 

いずれにせよ、今回のFOMCFRBがインフレをどこまで深刻に見ているかの指標になりますので、ドットチャートに表現される引き締めペースには特に注目したいと思います。

 

以上