投資家見習いのブログ

世界の地政学的リスクと経済指標を独自の数値で可視化し、マーケットを語ります。

【3/14-3/18週の世界のリスクと経済指標】〜FRBが示した将来のハト派姿勢〜

先週の評点:

 

リスク   -1点(32点): 小幅悪化 (基準点36点) 

経済指標  -13点(70点):大幅悪化 (基準点83点)

 

 

【リスク】

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 先週のリスクはマイナス1ポイントの小幅悪化でした。

ウクライナ情勢は、一時停戦合意が近いとの報道もありましたが、その後の続報がなく難航しているものと思われます。ロシア側は超音速ミサイルで軍事施設を破壊し、最新兵器の投入で圧力を強めています。ウクライナ難民は3/15に300万人を超えたとの報道も出ており、今後周辺諸国への難民による様々な影響が露見してくると思われます。

 

また中国がロシア支援を強めるとの観測から米中首脳会談がオンラインで行われましたが、中国の方針は明確に示されませんでした。

引き続き出口の見えない状況が続きます。

 

 

【経済指標】

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  先週の経済指標はマイナス13ポイントの大幅悪化としました。
注目のFOMCは0.25%-0.50%への0.25%の利上げ、ドットチャートでは22年の7回の利上げが示されました。また5月の会合でのQTの可能性も示唆されました。
BOE政策金利でも予想通りの0.75%への25bpsの利上げが発表されましたが、追加の利上げに関してはインフレによる景気減速も意識されてややトーンが和らぎました。
 

 その他の指標は米小売売上高や米NY連銀製造業景気指数、ドイツやユーロ圏のZEW景況感調査などの景況系指標が低調に推移し、高インフレやウクライナ情勢の悪化からやや景気の低下を印象づけられました。

次週は欧米PMIが発表されますが、資源高やウクライナ情勢の影響がどれほど現れるのか注目します。

 

 

【先週のマーケットの振り返りと考察】

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 先週の主要株式指数は強い反発となりました。

DAXは前週に続き大幅反発となり強い上昇局面を継続しています。

また先週はFOMCを前にして3/15に米国株も底打ちし、FOMCを挟んで大幅反発となりました。特にこれまで利上げを前にして下落が激しかったナスダックが大きくアウトパフォームしました。

 中国株も大きな動きを見せました。週初はロシアとの緊密な関係が懸念されて売り込まれましたが、3/16に中国副首相が「資本市場に好ましい政策措置」を打ち出す方針を示し急騰しました。

中国株も底打ちを見せ、市場全体の雰囲気を楽観的にさせる要因となりました。

 

 

FRBが示した将来のハト派姿勢〜

 さて、先週は注目の3月FOMCがありました。

結果は0.25%の利上げ、ドットチャートは22年に利上げ予想7回となりました。またQTに関しても5月の会合で開始について検討することが示されました。

ウクライナ情勢の悪化で世界経済の不透明感が増していることもあり、ややハト派に出るのを予想していましたが、コンセンサス通りながらややタカ派の結果となりました。

 

下記はドットチャート中間値の前回(2021/4Q)と今回(2022/1Q)の変化です。

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前回のドットチャート中間値は2022年から長期に至るまで右肩上がりで将来の景気回復を織り込みながら金利が上昇していくことを示していました。

一方で今回のドットチャートでは、2022年に強く金利上昇した後2023年-2024年でピークを打ち、2025年以降の長期では景気に配慮してか再び利下げが行われることが示されています。

22年に7回(1.875%)という利上げ回数自体はタカ派でしたが、私はこの長期の中間値の利下げ姿勢が、マーケットに安心感をもたらしたのではないかと考えます。

 

実際に政策金利発表直後は、7回というタカ派な利上げ回数に反応、株は下方向へ反応しました。

しかし時間が経つにつれと徐々に落ち着きを取り戻し、特に大型ハイテク株で構成されるナスダック100は前日比3.7%高の大相場となりました。

そしてその後も株式市場は続伸し、ナスダック100は週足8.41%高と他の指数を大きくアウトパフォームして週を終えました。

 

もちろんこれまでハイテク株の落ち込みが激しかったため、単純にその反発が強かったとも考えられます。しかし、この金利感応度の高いハイテク株の強い動きは、長期のドットチャートで示された将来の利下げが加速させたことを表していると思います。

つまり、今回のドットチャートでは、「インフレ退治で一時的にはタカ派にならざるを得ないものの、将来に対してはハト派に行く」というメッセージが示され、それにマーケットが反応したと考えられます。

 

 今回のFOMCで利上げを織り込み、一旦株式市場は底打ちしたと思われますが、ここから更に上昇していくには業績の確認が必要かと思います。ナスダック及びナスダック100は日足50MA、S&P500も日足200MAの節目に差し掛かっており、1Q決算まではここを挟んでフラフラとした動きが続くのではないかと想定します。

 

私にとって、今回のFRBの利上げはサロンで金融リテラシーを学び、仕組みを理解してから初めての利上げでした。

当日は久しぶりに午前3時前に起床し、FOMC中継をリアルタイムで固唾を飲んで見守りました。

FRBの利上げ転換という歴史的な瞬間に立ち会えたことは非常にエキサイティングな経験となりました。

 

以上