投資家見習いのブログ

世界の地政学的リスクと経済指標を独自の数値で可視化し、マーケットを語ります。

【6/20-6/24週の世界のリスクと経済指標】〜反発で織り込まれた景気後退〜

先週の評点:

 

リスク   33点(33点):良化 (基準点33点) 

経済指標  -15点(42点):大幅悪化 (基準点57点)

 

 

【リスク】

 先週のリスクはプラスマイナスゼロの中立としました。

フランスでは議会下院選の決選投票の開票が行われ、マクロン大統領率いる与党連合が議席を減らし過半数割れしました。物価高に対する有権者の不満が逆風となり、大衆迎合色の強い政策を掲げる左派連合が躍進する結果となりました。

物価の上昇と共に米バイデン政権も足元では40%を割る水準まで支持率を減らしており、11月の中間選挙での苦戦が予想されます。中露への対抗で結束を固める先進国ですが、物価高により自国民からの信任を失い、政権運営地盤が不安定になることが心配されます。

 

 

【経済指標】

 先週の経済指標はマイナス15ポイントの大幅悪化となりました。

先週は欧米のPMIの発表がありましたが、軒並み悪化となり好不況の境目となる50に接近してきました。

インフレの高進により家計が財布の紐を締め始めたことが伺え、景気減速が鮮明になってきました。

 

次週はPCEデフレーター、ISM製造業景況指数に注目したいと思います。

 

 

【先週のマーケットの振り返りと考察】

 先週の株価指数は概ね大幅上昇となりました。特に米国株はナスダックが7.49%高、S&P500が6.45%高と4週振りに大幅反発となりました。

 

 

〜反発で織り込まれた景気後退〜

 さて、先週は6/22の議会公聴会でパウエル議長が米経済がリセッションに陥るリスクがあることを認め、これまでの「ソフトランディングできる」というスタンスを覆しました。

またPMIも製造業が予想56(前月57)に対して52.4、サービス業が予想52.8(前月53.6)に対して51.6と予想外の低下を示したため、景気後退に現実味が増してきました。

 

 そしてその景気後退懸念により債券利回りが全体的に低下し、10年債利回りは一時3%割れ寸前の水準まで低下する場面もありました。

下記は米国債イールドカーブの前週との比較です。

また、FedWatchによる金利先物も、全体的に低下しながら1年後の23年の6FOMCでは早くも利下げすることを織り込んでいます。(下記は6/25時点の金利予測)

 前週のFOMC前までは高インフレ下での急速な引き締めを織り込み、長期金利が上昇していました。しかし、FOMC後のマーケットはその先の景気後退や利下げへの転換を意識し始めていると言えます。

その利下げへの転換を織り込んで先週株価は大幅反発したと考えられます。

 

しかし、私はまだまだ株価の底打ちには時期尚早だと考えます。

景気後退するからと言って即利下げに繋がるとは限りません。

パウエル議長が公聴会で「我々がインフレと戦う姿勢は無条件」と述べた様に、景気後退したとしてもインフレが止まらなければ引き締めへの加速は止まりませんし、即利下げとはならないと思います。

まずはインフレの鈍化を確認することが何よりも重要だと思います。

 

前週に論じたように、今回のインフレは敵対国であるロシア、中国などの地政学的な外的要因に左右されているため、簡単には落ち着くとは思えません。おそらく上下動を繰り返しながら、明確にはわかりずらくゆっくりと下がっていくのではないかと推測します。

そうなるとやはりインフレ苦が残りながら景気後退するスタグフレーションが強く意識されます。

 

長期投資は「悲観で買い、楽観で売る」が基本ですが、まだ悲観は終わっていないと思います。

一方で「悲観の中にある買い場」を探すことを常に念頭におきながら、相場の変化を確認していきたいと思います。

 

以上