【8/22-8/26週の世界のリスクと経済指標】
先週の評点:
リスク -3点(27点):悪化 (基準点30点)
経済指標 -8点(67点):大幅悪化 (基準点75点)
【リスク】
先週のリスクはマイナス3ポイントの悪化としました。
米国内のガソリン価格は価格を切り下げていますが、欧州の電気供給の要となる天然ガスの価格が高騰し、8/19の245ユーロから1週間で349ユーロまで急騰しています。ロシアがノルドストリーム経由での天然ガス供給を大幅に絞っている上に、8月末から点検で3日間停止するとの通達があり警戒感が高まっています。欧州のインフレ圧力がさらに高まる可能性があり、欧州経済への影響が心配されます。
【経済指標】
先週の経済指標はマイナス8ポイントの大幅悪化としました。
欧米のMarkit PMIはドイツ製造業PMIは若干の改善を見せたものの、依然50を下回っており概ね悪化を示しました。インフレとそれに対する利上げにより徐々に景気後退の足音が聞こえてきている印象です。
PCEコアデフレーターはCPI同様、前回4.8%、予想4.7%に対して4.6%と減速を示しました。
【先週のマーケットの振り返りと考察】
先週の株価指数は欧米指数を中心に大幅下落となりました。
特に米株3指数及び独DAXは週足で4%を超える下落となりました。
一方で中国中銀が1年物LPRを0.05%、5年物LPRを0.15%の利下げを行ったため上昇しました。
先週は注目のジャクソンホール会合が行われ、パウエル議長が「景気抑制の政策は一定期間必要になる可能性」「早急な緩和のリスクを歴史が警告」と発言しました。
7月FOMCの後から、マーケットは景気後退懸念を受けて23年早々の利下げ転換を織り込んでおり、「景気悪化が深刻になればFRBが景気刺激を優先してくれるはず」と期待し、上昇し続けていました。
前週までにも多くのFRB高官がタカ派な発言をして市場を牽制していましたが、今回のパウエル議長の発言は、それを明確に否定する内容となり、マーケットの楽観にトドメを刺す結果となりました。
またECB高官であるユーロ圏の各国中銀総裁もジャクソンホール会合にてタカ派な姿勢を鮮明にしました。中でもタカ派のホルツマン・オーストリア中銀総裁やクノット・オランダ中銀総裁などは9月のECB政策委員会での75bpの利上げを主張しています。
確かにロシアへのエネルギー依存が強い欧州ではロシアの影響が大きく、米国よりも強いインフレ懸念に見舞われていますが、同時にEU圏内の格差による経済の脆弱さも抱え、ここまで強い利上げに耐えられるか心配です。
パウエル議長の発言の陰に隠れていますが、米国よりもEUの方がより八方塞がりな状況となっており、スタグフレーション懸念がより現実的になってきていると感じます。
欧米株式市場はこれで2週連続の下落となりました。
テクニカル的にも米株3指数は共に日足25MA、ダウ、S&P500は4時間200MAを下抜け、また独DAXは4時間足200MAはもちろん日足50MAすら下抜けており、再び下落トレンドに移行したと考えられます。
市場の好転を促すような材料は当面見当たらず、あとはひたすらインフレ指標の改善を待つのみという印象を持っています。当面株価が下落していく局面に入ると考え、引き続き弱気なスタンスで指標とニュースを確認します。
以上