投資家見習いのブログ

世界の地政学的リスクと経済指標を独自の数値で可視化し、マーケットを語ります。

【10/31-11/4週の世界のリスクと経済指標】~近づく利上げのピーク~

先週の評点:

 

リスク   -1点(29点):小幅悪化 (基準点30点) 

経済指標  -14点(88点):大幅悪化 (基準点108点)

 

 

【リスク】

 先週のリスクはマイナス1ポイントの小幅悪化となりました。

11月2日朝の弾道ミサイルの発射を皮切りに、先週は北朝鮮からのミサイル発射が連発しました。2日にミサイル23発以上、3日にミサイル6発と南北緩衝地帯への砲撃80発余り、5日に4発とこれまでにないペースでの発射を繰り返しています。米韓両軍による大規模訓練「ビジラントストーム」に対する抗議だと言われていますが、西側諸国と権威主義諸国との対立の深刻化に合わせて北朝鮮の対応も一段階ギアが上がったような気がします。

国連の緊急安保理も開催されましたが、中露の反論により一致した対応は取れず、インド太平洋地域でのリスクが一層高まりました。中国よりも予想がつかないという意味で、北朝鮮にも注意を払う必要性を再認識させられます。

 

 

【経済指標】

 先週の経済指標はマイナス14ポイントの大幅悪化となりました。

FOMCでは予想通り75bpsの利上げが行われました。注目された12月FOMCでの利上げ減速に関して言及されましたが、それと共にターミナルレートの切り上げを示唆しました。また「利上げ停止の議論は時期尚早」とし、予想に反してタカ派な印象を示しました。

 

ISM景況指数は製造業、非製造業共に前月からの低下を示し、景気減速が示されました。

また雇用統計でもNFPは予想20万人に対して26.1万人と上振れしたものの、失業率が前月3.5%、予想3.6%に対して3.7%と上昇を示し、雇用の減速も徐々に顕在化してきました。

 

一方で他の主要国中銀では、明確な利上げ減速の姿勢が見え始めました。

豪準備銀は前回50bpsとしていた利上げ幅を25bpsに減速、英中銀は75bpsと過去最大の利上げを行いましたが、ピーク金利はピーク金利は市場予想より低くなると示唆しました。またECB総裁も「米国と足並みを揃えるのは困難」との考えを示しました。

各国中銀はインフレ対策を進めながらも、急激な引き締めによる景気後退に注意を払うように急速に変化してきています。

 

 

【先週のマーケットの振り返りと考察】~近づく利上げのピーク~

 先週の株価指数は欧州株、中国株が反発しました。特に中国株は、国内の投資家の押し目買いと中国政府がゼロコロナ政策を緩和するとの報道が出たため強い反発となりました。一方で米国株は3週間ぶりに大きく反落しました。

 

 先週の米国株はFOMCに絡んだ利上げの先行き見通しの変化で市場が動きました。FOMCでは、12月での利上げ減速を示唆も、「ターミナルレートの切り上げの可能性」や「利上げ停止の議論は時期尚早」との見解が示されました。減速論で近い将来のハト派姿勢を示しながらも、同時にピーク金利に関してはタカ派姿勢が示された形です。

市場はタカ派姿勢に反応して金利が上昇、ハイテク株を中心に株式は大きく反落しました。しかし見方を変えると市場の緩みを抑えつつ、利上げペースを落とせるようにうまく下準備がなされたと言えると考えます。

 

一方で週末に発表された雇用統計ではNFPが予想を上回り強さを示しながら、失業率は3.5%から3.7%に悪化するという結果となりました。額面通り受け取るとNFPが予想を上回ったことで堅調な雇用が示されたとも言えます。しかし、前月(9月)の数値が大きく修正されており(26.3万人→31.5万人)、これを加味してこれまでのNFPの推移を示すと下記の通りとなります。

これを見ると22年2月をピークに確実に減少しており、雇用需要は減衰していると言えます。また、労働参加率が前月62.3%から62.2%とほぼ変わらなかったにも関わらず、失業率が3.5%→3.7%と上昇しているのも雇用市場が緩みつつあると言えると思います。

つまりインフレ圧力が緩み始めたと言えると思います。

 

先週の動きから考えられることをまとめると下記の2点となります。

FRBが市場を緩めることなく利上げ減速論を織り込ませ、準備が整った。

②米雇用市場が緩みを見せ、インフレ圧力が緩み始めた。

 

カナダ中銀、豪準備銀、BOE、ECBなどのFRB以外の中銀も、景気後退の長期化を恐れて利上げ減速を示唆し始めており、世界的な流れとして利上げのピークが近いと捉える時期に来ていると感じます。

ついてはまだ不安要素もありますが、米国もピークは近いと考え、ポートフォリオの株式の割合を強気に変更したいと思います。変更後はMSCIコクサイ60%、国内債券40%とします。

 

以上