投資家見習いのブログ

世界の地政学的リスクと経済指標を独自の数値で可視化し、マーケットを語ります。

【2023年3/13-3/17週の世界のリスクと経済指標】

先週の評点:

 

リスク   2点(32点):小幅良化 (基準点30点) 

経済指標  0点(74点):中立 (基準点74点)

 

 

【リスク】

 先週のリスクはプラス2ポイントの小幅良化でした。

先週は米国CPIとPPIが発表され、CPIは予想に一致となりましたが、PPIは予想外に強く鈍化を示しました。CPIよりも先んじて影響が出始めるPPIが鈍化方向に動いたことで、先月一旦反発していたインフレが再び収束していくとの期待が見え始めました。

 

また政治面では、韓国の政権が左派政権から右派政権に変わったことで日韓の関係改善が進み、12年振りに韓国大統領が単独来日し、日韓首脳会談が行われました。対中、対北朝鮮を見据えて、関係を正常化することで一致し、GSOMIAの正常化など安全保障分野での連携を深めることを確認しました。またシャトル外交再開も合意し、東アジアの民主主義国として連携を深めることとなりました。

 

 

【経済指標】

 先週の経済指標はプラスマイナス0の中立となりました。

先週は米国CPIの発表があり、コア指数は前月5.6%からは鈍化したものの、予想に一致の5.5%と判断の難しい内容となりました。一方でPPIコア指数では前月5.0%、予想5.2%に対して4.4%と大幅に鈍化を示しました。先行指数であるPPIが強い鈍化を示したことで、今後のCPIの鈍化にも期待を持てる結果となりました。

また米小売売上高も前月3.2%に対して-0.4%と消費の低下も示されたことで後押しする結果となりました。

 

一方でECBは事前の予想通り50bpsの利上げとし、政策金利を3.5%とすることを発表しました。直前にクレディスイスの経営不安の問題が発生しましたが、緩むことなく引き締め姿勢を堅持しました。しかし、今後の利上げに関しては「データ次第」とし具体的なガイダンスは示されませんでした。

 

【先週のマーケットの振り返りと考察】

 先週の株式指数はまちまちでした。SVB→クレディスイスに波及した金融不安から、リスク回避で債券が買われたことから金利が低下し、低金利に有利なハイテク株が伸びたことでナスダックが大きく伸長しました。一方で欧州株はクレディスイスの問題が直接的に発生したことや、シクリカル銘柄が多いことも影響し大きく反落しました。また日経平均も同じくシクリカルであることと急速な円高が進んだこともあり反落しました。

 

 先週の米国株式は、先述の通り大型ハイテク株が伸長しました。特にMSFT、GOOGL、NVDAなど安定的な収益基盤を抱える企業ほど株価が強く反発し1週間でそれぞれ12%高となっています。一方で中小型株が中心のRussel 2000は売り込まれました。

 

この動きの要因として考えられるのは下記の通りです。

・米政府がSVB問題で中堅銀行が不安定となり、その取引先である中小企業への融資が厳しくなり景気後退懸念が継続された。

・それにより引き締め効果が高まり、利上げの早期停止の可能性が出てきた。

・米CPIは予想に一致も前月比で鈍化し、PPIは予想を大幅に下回って鈍化し利上げ停止観測を後押しした。

 

 これらの要因により債券利回りが大きく低下しました。それにより利回り低下時に強く、かつ資金調達における懸念の少ない大型ハイテク株にマネーが集まったと考えられます。

一方でRussel 2000はその中心の中小企業が今回の中堅銀行の不安定化で資金調達が厳しくなることが予測されるため、売り込まれたと推測されます。つまり今回の騒動で、末端にいる中小企業には引き締めが強まることになったと言い換えられます。

 

 またWSJが14日にFRBが中堅銀行への規制強化を検討していると報道しましたが、そうなると銀行経営への管理が強まります。それは今後の融資のハードルを更に上げることになり、現在FRBが進める引き締めの効果を直接的に強めることが推測されます。

今回の一連のSVBを発端とした騒動は、金融のシステミックリスクにはならないと考えるものの、その影響で末端での引き締め効果が高まることになったと考えられます。

 

次週はFOMCが開催されますが、現在のインフレ率を考えると市場の織り込み通り25bpsの利上げが行われるのではないかと考えます。しかし、その後の利上げガイダンスに関しては、トーンダウンするのではないかと予想します。特にドットチャートで示される年内の金利予想が、現在の5.125%から下振れするとなった場合、FRBが利上げの停止を見据えていることとなります。

大型ハイテク株が強く反発していることに対しては、まだ緩みを感じられ判断が難しいところですが、利上げ停止が見えてくれば相場見通し転換も考えられます。

FOMCに注目します。

 

以上