投資家見習いのブログ

世界の地政学的リスクと経済指標を独自の数値で可視化し、マーケットを語ります。

【11/28-12/2週の世界のリスクと経済指標】~粘い強い雇用とソフトランディング~

先週の評点:

 

リスク   -1点(29点):小幅悪化 (基準点30点) 

経済指標  +5点(103点):良化 (基準点98点)

 

 

【リスク】

 先週のリスクはマイナス1ポイントの小幅悪化でした。

先週は中国において、当局の厳しいゼロコロナ政策に対して各地で若者を中心に代金ボナ抗議デモが発生し、かつ世界各地の在外中国人も抗議活動に参加する事態となりました。ここ最近は習近平氏の強い独裁体制により目立った抗議活動はなく、現体制に対する不満が噴出した形となりました。当局はゼロコロナ政策の緩和を示したため一旦の落ち着きを見せそうですが、若者の経済的不安が解消したわけではなく、不満は燻りそうです。

 

【経済指標】

 先週の経済指標はプラス5ポイントの良化となりました。

ドイツ、ユーロ圏のCPIも減速を示し、米国に続き漸くピークアウトの兆しを見せ始めました。ユーロ圏PPIも前回41.9%から30.8%と大幅に減速を示しました。

 

米国指標ではISM製造業景況指数は2020年5月以来の50割れで景気縮小となりました。

一方で注目の11月雇用統計では、NFPが予想20万人は上回りながら前月28.4万人から減少、失業率は3.7%と横ばいとなりました。一方で平均時給は予想0.3%に対し0.6%と上振れとなり、雇用の粘り強さを印象付けました。

 

 

【先週のマーケットの振り返りと考察】~粘い強い雇用とソフトランディング~

 先週の株価指数は、概ね堅調に推移しました。日経は週間で139円台から134円台へと3.46%(4.82円)円高となった影響もあり反落しました。一方で米国株式は11/30の講演にてパウエル議長が「早ければ12月にも金融引き締めペースを落とす可能性が高い」と示唆したことが影響し反発して週を終えました。

 

 週末の雇用統計では平均時給が前月0.5%、予想0.3%に対して結果0.6%と上振れし、NFPが予想20万人に対して26.3万人と上振れしました。ここ数ヶ月の景況感や住宅価格指数などソフトデータの悪化を受けて、マーケットは明確な雇用の減速を期待していたため、やや消化不良となった印象です。12/2の株式市場も雇用統計直後に一時ドル高株安で反応していたのはその表れだと思います。

 一方でNFPに関しては、今回も前回値の修正が入っており、それらを考慮して推移をグラフ化すると下記になります。

やや緩やかではありますが、確実に雇用者数は減速しています。

そもそも、雇用指標は遅行指標であり、先行指数であるISM景況指数は今月に入って漸く50を割り景気縮小を開始したばかりです。雇用指標の悪化は今後徐々に現れてくるものであり、ゆっくりと減速していくことはあってもこれから改善するとは考え難いです。基本的には今後も雇用は減速基調で推移すると思われます。

 

 また平均時給は増加していますが、現在レイオフのニュースとして流れてくるのは低金利下+コロナ禍で効率度外視で拡大を続けてきたハイテク企業の従業員、所謂ホワイトカラーです。一方で母数が大きく平均時給に大きく影響するブルーカラーレイオフに関してはまだ余り聞こえてきません。コロナ禍での死者が110万人にも上っていることや移民の流入減、現役世代の早期引退など、そもそも現在の経済規模に拡大に対して構造的に労働人口数がついていけていない可能性もあります。(米国の人口増加率は2020年には2.68%増加していましたが、21年には0.95%、22年には0.83%と低下傾向)

 

つまりは雇用は減速基調ながらも、粘り強さと共にゆっくりと縮小しながら落ち着いてくるソフトランディングの可能性が出てきたと考えられます。それはポジティブに捉えられます。

 

ついては引き続きマーケットに強気な株式60%、国内債券40%のポートフォリオを維持します。

保有株式資産がMSCIコクサイであるため、円ベースにすると株価の値上がりが円高に吸収されて増加せず我慢の時期となっています。しかし、日米金利差及び経済力の差がある上、テクニカル的にも日足200MAに到達しており、そろそろドル円ボラティリティが落ち着いてくるのではないかと推測します。

 

以上

【11/21-11/25週の世界のリスクと経済指標】

先週の評点:

 

リスク   5点(35点):良化 (基準点30点) 

経済指標  -4点(62点):悪化 (基準点66点)

 

 

【リスク】

 先週のリスクはプラス5ポイントの良化となりました。

先週は中国での新型コロナの1日での新規感染者数が過去最多となったことで、より需要減速が深まることが観測され、原油価格が大きく反落しました。加えて欧州でのロシア産原油に対する上限価格が予想より高めに設定され、かつその価格に関して加盟国内で意見がまとまらず協議が停止したことも後押しとなっています。エネルギー価格が軟調に推移していることで、インフレ抑制にも追い風となっています。

 

また、外交では欧州のミシェル大統領が12/1に訪中して習近平氏と会談することを発表しました。仏マクロン大統領も年明けに訪中を予定しており、先週のG20サミットを契機に、中国と欧州の間の関係がやや雪解けに向かっているような印象です。中国に対して手綱を緩めることは禁物ですが、無用な対立を避けるためにも一定の関係改善は歓迎されるものだと考えます。

 

 

【経済指標】

 先週の経済指標はマイナス4ポイントの悪化となりました。

欧州のPMIは50を下回る低調な中、若干改善したり悪化したりとまちまちな結果となりました。

また米国PMIは、これまで50以上の水準を保っていた製造業も47.6となり、46.1と低調だったサービス業と合わせて景気減速傾向が顕著となってきました。中国→欧州→米国と景気の減速が徐々に波及してきた印象です。

 

 

【先週のマーケットの振り返りと考察】

 先週の株価指数は、香港ハンセン指数が中国の新型コロナ感染拡大を受けて下落する一方、欧米株式は堅調に推移しました。

先週は米国市場がThanks Givingでの休場だったことに加え、材料不足から動きの少ない週でしたが、PMIと11月FOMC議事要旨の発表によりセンチメントが上向いたことが印象的でした。

 

 米国の製造業PMIが予想50に対して47.6と大幅な低下を示しました。既に6月から景気の好不調の基準である50を下回り46.1に沈むサービス業と共に、米国も本格的な景気減速期に突入したと言えます。そして景気減速と共にインフレも徐々に落ち着いてくると思われます。

 

 続く11月FOMC議事要旨で注目されたのは下記の2点です。

①参加者の大部分が引き上げペースの減速が近く適切となる可能性が高いと判断

FOMCの目標達成に必要なFF金利の最終的な水準は、従来の見通しを幾分か上回る

ピーク金利の上昇に関する議論は、既に前週に複数のFRB高官の発言があったことで、既に織り込まれていました。一方で利上げペースの減速に関する議論は、「参加者の大部分が」という文言により、想定以上にFRB全体がそちらの方向に傾いていたことを示しました。

 

これらのことからインフレの減速、FF金利の減速が意識され、センチメントが改善したと考えられます。株式市場と共に前週には一時142円台に回復していたドル円も139円前半に下落し再びドル高が軟化しているのもそれを表しています。

 

ただ、米国の景気指数としてのMarkit PMIはマイナーであり、またFOMC議事要旨も既に終わった内容の確認であることから、大きく市場を動かすほどでもなかったと思います。重要なのはやはり次週に控えるPCEデフレーターやISM製造業景況指数、そして雇用統計であり、これら結果で次週は大きく市場が動くと思われます。

先週の新規失業保険申請件数は24万件と予想外に上昇し、足元の雇用の悪化を示しています。雇用統計にて更なる失業率の上昇が示されればインフレ鈍化が明確になるため、注視したいと思います。

 

以上

【11/14-11/18週の世界のリスクと経済指標】~FRBの冷水~

先週の評点:

 

リスク   6点(36点):大幅良化 (基準点30点) 

経済指標  0点(74点):中立 (基準点74点)

 

 

【リスク】

 先週のリスクはプラス6ポイントの大幅良化でした。

先週はG20首脳会議が開催され、中国の習近平氏がコロナ後初めて実参加した事で積極的に西側諸国との会談が行われました。米国を始めとしてフランス、豪州、韓国などとの首脳会談を重ね、関係改善に努めた印象です。またそれに続いたAPEC会議では日本の岸田首相と3年ぶりの会談を行い、こちらも「安定的かつ建設的な関係構築への努力」で一致し、冷え込んでいた関係を再構築する動きとなりました。党大会を終えた余裕からか、習近平氏が西側諸国に対して一定の歩み寄りを見せたような、印象的な週でした。

 

 

【経済指標】

 先週の経済指標はプラスマイナスゼロの中立となりました。 

先週は前週の米10月CPIに続いて米10月PPIも減速を示し、米国のインフレがピークアウトした可能性を示しました。

 一方で先週発表された英国10月CPIは前月10.1%から11.1%に、日本10月CPIは前月3.0%から3.7%に加速しました。前週に発表されたユーロ圏CPIでも10.0%から10.7%に加速しており、米国以外はまだ収束が見えません。日本は問題外として、ECBもBOEFRBよりも利上げペースが遅く、米国よりも金利が低いため、インフレ抑制的な中立金利まで至っていない可能性があります。今後はこの辺りも注目して見ていく必要があります。

 

 

【先週のマーケットの振り返りと考察】~FRBの冷水~

 先週の株価指数は、中国当局が打ち出した不動産セクター救済策と、米中会談での緊張が和らぐ兆しからの楽観で香港ハンセン株が大きく伸びる一方、米国株式はやや軟調な動きとなりました。

 

 米国では先週多くのFRB高官が発言しましたが、全体的にはややタカ派な印象を残しました。前週に米10月CPIにて低下が示されたことから米国株は週間で大きく反発しましたが、続く15日のPPIも低下となり更に上昇しそうだったマーケットに冷水を浴びせた印象です。

下記はそれらの発言をまとめたものです。

 中でもSF連銀のデーリー総裁は「4.75%-5.25%」、SL連銀のブラード総裁は「最低でも5%-5.25%」とターミナルレートに関して具体的にやや高目の発言をしました。ブラード総裁に至っては「5%-7% になる可能性」があるとして、かなりタカ派な見解も示しました。それが功を奏し、市場が予想するターミナルレートも前週末には5%以下に下がっていたものが5%超に戻り、株価も加熱することなく調整しました。

 

 一方でブラード総裁が示した「7%」は、個人的には現実的でないと考えます。現在の米国経済は既に住宅価格や労働指標の低下、大手企業の解雇報道など、景気抑制への変化を見せ始めています。7%に達するには、そんな状況下で更に3%近く引き締めすることとなり、明らかに行き過ぎであると捉えられます。

 FRBが政策決定する上で依拠とするのはデータあり、足元のデータが表しているのは、失業率が上昇し、CPIに続き、PPIも低下しているという事実です。それらを見る限り、「米国のインフレはピークアウトしている」と言える状況であり、現時点では再び利上げを加速する可能性は少ないと考えます。

 先週、マーケットが必要以上に過敏に反応しなかったのも、この辺りの安心感があってのことかと思います。

 

従って、引き続きポートフォリオは株式60:債券40の強気を維持します。次週は欧米PMIや11月FOMC議事要旨の発表があります。FOMC議事要旨ではターミナルレート引き上げ論の詳細が発表されますが、既に先週織り込まれているため、全体的にあまり方向感なく推移するのではないかと思います。

 

以上

【10/31-11/4週の世界のリスクと経済指標】~近づく利上げのピーク~

先週の評点:

 

リスク   -1点(29点):小幅悪化 (基準点30点) 

経済指標  -14点(88点):大幅悪化 (基準点108点)

 

 

【リスク】

 先週のリスクはマイナス1ポイントの小幅悪化となりました。

11月2日朝の弾道ミサイルの発射を皮切りに、先週は北朝鮮からのミサイル発射が連発しました。2日にミサイル23発以上、3日にミサイル6発と南北緩衝地帯への砲撃80発余り、5日に4発とこれまでにないペースでの発射を繰り返しています。米韓両軍による大規模訓練「ビジラントストーム」に対する抗議だと言われていますが、西側諸国と権威主義諸国との対立の深刻化に合わせて北朝鮮の対応も一段階ギアが上がったような気がします。

国連の緊急安保理も開催されましたが、中露の反論により一致した対応は取れず、インド太平洋地域でのリスクが一層高まりました。中国よりも予想がつかないという意味で、北朝鮮にも注意を払う必要性を再認識させられます。

 

 

【経済指標】

 先週の経済指標はマイナス14ポイントの大幅悪化となりました。

FOMCでは予想通り75bpsの利上げが行われました。注目された12月FOMCでの利上げ減速に関して言及されましたが、それと共にターミナルレートの切り上げを示唆しました。また「利上げ停止の議論は時期尚早」とし、予想に反してタカ派な印象を示しました。

 

ISM景況指数は製造業、非製造業共に前月からの低下を示し、景気減速が示されました。

また雇用統計でもNFPは予想20万人に対して26.1万人と上振れしたものの、失業率が前月3.5%、予想3.6%に対して3.7%と上昇を示し、雇用の減速も徐々に顕在化してきました。

 

一方で他の主要国中銀では、明確な利上げ減速の姿勢が見え始めました。

豪準備銀は前回50bpsとしていた利上げ幅を25bpsに減速、英中銀は75bpsと過去最大の利上げを行いましたが、ピーク金利はピーク金利は市場予想より低くなると示唆しました。またECB総裁も「米国と足並みを揃えるのは困難」との考えを示しました。

各国中銀はインフレ対策を進めながらも、急激な引き締めによる景気後退に注意を払うように急速に変化してきています。

 

 

【先週のマーケットの振り返りと考察】~近づく利上げのピーク~

 先週の株価指数は欧州株、中国株が反発しました。特に中国株は、国内の投資家の押し目買いと中国政府がゼロコロナ政策を緩和するとの報道が出たため強い反発となりました。一方で米国株は3週間ぶりに大きく反落しました。

 

 先週の米国株はFOMCに絡んだ利上げの先行き見通しの変化で市場が動きました。FOMCでは、12月での利上げ減速を示唆も、「ターミナルレートの切り上げの可能性」や「利上げ停止の議論は時期尚早」との見解が示されました。減速論で近い将来のハト派姿勢を示しながらも、同時にピーク金利に関してはタカ派姿勢が示された形です。

市場はタカ派姿勢に反応して金利が上昇、ハイテク株を中心に株式は大きく反落しました。しかし見方を変えると市場の緩みを抑えつつ、利上げペースを落とせるようにうまく下準備がなされたと言えると考えます。

 

一方で週末に発表された雇用統計ではNFPが予想を上回り強さを示しながら、失業率は3.5%から3.7%に悪化するという結果となりました。額面通り受け取るとNFPが予想を上回ったことで堅調な雇用が示されたとも言えます。しかし、前月(9月)の数値が大きく修正されており(26.3万人→31.5万人)、これを加味してこれまでのNFPの推移を示すと下記の通りとなります。

これを見ると22年2月をピークに確実に減少しており、雇用需要は減衰していると言えます。また、労働参加率が前月62.3%から62.2%とほぼ変わらなかったにも関わらず、失業率が3.5%→3.7%と上昇しているのも雇用市場が緩みつつあると言えると思います。

つまりインフレ圧力が緩み始めたと言えると思います。

 

先週の動きから考えられることをまとめると下記の2点となります。

FRBが市場を緩めることなく利上げ減速論を織り込ませ、準備が整った。

②米雇用市場が緩みを見せ、インフレ圧力が緩み始めた。

 

カナダ中銀、豪準備銀、BOE、ECBなどのFRB以外の中銀も、景気後退の長期化を恐れて利上げ減速を示唆し始めており、世界的な流れとして利上げのピークが近いと捉える時期に来ていると感じます。

ついてはまだ不安要素もありますが、米国もピークは近いと考え、ポートフォリオの株式の割合を強気に変更したいと思います。変更後はMSCIコクサイ60%、国内債券40%とします。

 

以上

【10/24-10/28週の世界のリスクと経済指標】~交代した市場の牽引役~

先週の評点:

 

リスク   3点(33点):良化 (基準点30点) 

経済指標  -27点(95点):大幅悪化 (基準点122点)

 

 

【リスク】

 先週のリスクはプラス6ポイントの良化となりました。

トラス首相が辞任した英国では、無投票でスナク前財務相が後任首相に就任しました。GSでの勤務経験があり経済通と見られるスナク氏が首相となったことで、一旦は英国市場に落ち着きが見られます。重要閣僚もトラス政権の閣僚が続投し、堅実路線も演出しています。とは言え英国が抱える問題自体は何も改善していないため、スナク氏の手腕が問われます。

 

また、ウクライナ侵攻以降、欧州では天然ガスの供給不安が続いていましたが、温暖な気候の影響とロシア以外からのLNG調達の成功により、予想外の供給過剰となっています。それにより欧州天然ガス先物価格もピークから3分の1まで低下しています。今後の天候次第で再び不足することも考えられますが、一旦の危機を乗り越えてきた印象です。

原油価格もOPECプラスの減産計画発表以降も90ドルを下回る価格で推移しておりエネルギーによるインフレ圧力は一旦低下したと考えられます。

 

 

【経済指標】

 先週の経済指標はマイナス27ポイントの大幅悪化となりました。

先週は多くの重要指標が発表されましたが、欧米PMI、米住宅価格指数、消費者信頼感指数などの景気を表す指標が軒並み悪化しました。

特に米国の製造業PMIが2020年7月以来初めて50を下回り、既に22年7月から50を下回っているサービス業PMIと合わせて景気後退が顕著になってきました。

 

一方でカナダ銀行は、75bpsの利上げ予想に対して50bpsの利上げと、引き締めペースの減速に入りました。カナダCPIは6月の8.1%をピークに3ヶ月連続で低下を見せており、景気減速リスクが高まっている中で、利上げサイクルの終了に近づきつつあることが示唆されました。FRBでも12月FOMCでの利上げ軟化の議論が観測されており、追随するか注目されます。

 

 

【先週のマーケットの振り返りと考察】~交代した市場の牽引役~

 先週の株価指数は、習近平氏による経済政策の不透明感から中国株式は大きく反落しましたが、欧米主要指数は前週に引き続き大幅反発しました。

先週の欧米株の大幅反発の理由としては下記が考えられます。

①米景気指標が軒並み悪化を示し、前週末のWSJの記事による米FRBの利上げ減速観測を支援。

②それにより長期金利が低下し株価に支援的。

③GAFAMの決算ミスが多かったものの、それ以外は決算が思ったより悪くない。

 

先週は週頭から米製造業PMIが2020年7月以来の50割れを示し、また住宅価格指数や消費者信頼感指数も軒並み低下したことから景気減速が顕著になってきました。それらは先週末にWSJのニックが記事に上げた12月FOMCでの利上げ減速議論を裏付け、支援する形と捉えられました。

それにより米10年債利回りは前週末の4.21%から一時は3.89%と4%を大幅に割る水準まで下がり、株価にとって支援的となりました。

 

また先週は多くの企業の決算発表がありました。

KO、GM、CAT、V、MCDなど従来型企業の決算が予想を上回まわる一方で、AAPL以外のGAFAMに決算ミスが目立ったことが印象的でした。

 これまでGAFAMは急速なグローバルでの拡大で急成長を遂げてきました。しかし、インフレによるコスト増で広告費が削られ、消費選別によって嗜好品が削られた上に、ドル高による海外売上高の目減りが減少するという厳しい現状が浮き彫りになりました。

一方で従来型企業は、歴史が長く、深く商品が市場に浸透していることもあり、インフレによる値上げも市場に受け入れられて堅調な決算となりました。

全体の印象としては、グローバルな大型ハイテクのGAFAMのような企業が苦しく、その他の従来型企業は比較的堅調というイメージです。

 

そんな厳しいGAFAMの決算発表がありながらも、先週の株式指数全体がプラスで終えられたことは、やはり株価が底を打った可能性が高いと考えられます。

そして同時に市場の牽引役がGAFAMなどの大型ハイテク株から従来型企業に移ったことが顕著に現れたと感じます。

10/13の直近底値からの上昇率を見ても、ナスダック10.5%高、S&P500 11.73%高に対してダウ平均は14.66%高となっており、ダウ平均がナスダックをアウトパフォームしています。

やはり現在のように金利水準が高い状況では、グロース中心のナスダックは投資対象ではないことを物語っています。

 

先述したように、10/21のWSJの12月FOMCでの利上げ減速観測に対して、それを支援する10/24の米国景況感指標の悪化が明確になりました。加えて長期金利ドル円が明確に反転したことから、利上げのピークが見えたと判断し、ポートフォリオの株式の割合を30%→40%としました。株式はナスダックではなく、より分散の効いたMSCIコクサイとしています。

 

次週は11/1-2のFOMCで語られる12月の利上げ幅に関してどのような言及があるのか、またその後の11/4雇用統計で雇用の減速が確認できるのか、注目します。

 

また、こうしてアウトプットを書いている最中に、WSJのニックが、ターミナルレートが予想より引き上げられる可能性を示唆する記事を発表しているので、明日からのマーケットの反応するか注目します。

https://www.wsj.com/articles/cash-rich-consumers-could-mean-higher-interest-rates-for-longer-11667075614

 

以上

【10/17-10/21週の世界のリスクと経済指標】〜混ざり始めたハト派〜

先週の評点:

 

リスク   1点(31点):小幅良化 (基準点30点) 

経済指標  0点(51点):中立 (基準点51点)

 

 

【リスク】

 先週のリスクはプラス1ポイントの小幅良化となりました。

英国ではトラス新政権の大規模減税政策により混乱が続いていましたが、まず17日にハント新財務相がほとんど全ての減税政策の撤回を発表し、続いて20日にはトラス首相自身が辞任を発表しました。これによりトラス政権の政策による英国経済混乱のリスクが解消しました。一方で10%を超える高いインフレ率やブレグジットによる経済的ダメージからの回復は何も解決しておらず、後任首相には引き続き難しい政権運営が待ち構えていると思われます。

 

 変わって中国では中国共産党大会が行われ、習近平総書記の3期目続投が確定しました。習氏と距離のある李克強首相が、七人からなる最高指導部から退任し、新たに習氏に近い人物が登用される見込みであることからも習氏への権力集中が加速が示されました。また閉幕式中に胡錦濤前総書記が突然途中退席させられる場面があり、こちらも続投に反対した胡錦濤氏を排除したという観測もあり物議を醸しています。

「台湾独立反対」も党規約に盛り込むことが決定され、台湾を巡っても一歩踏み込んだ姿勢が示されました。

権力を手にした習氏が、念願の台湾併合に向けて動く舞台が揃ったと考えられ、警戒が必要です。

そういう意味ではこのタイミングでの岸田首相の豪アルバジーニー首相との首脳会談と、中国との衝突を警戒した安保宣言は一定の効果があったと思います。

 

 

【経済指標】

 先週の経済指標はプラスマイナスゼロの中立となりました。

目立った重要指標はありませんでしたが、日本の9月CPIが前月に続き3%を超え、円安による円ベースでのエネルギー、食糧高が徐々に実感として現れてきた印象です。

 

次週はECB政策金利発表、米PCEコアデフレーター、日銀金融政策決定会合があります。

先週は21日に151円台後半まで円安が進行する中、日本政府の介入により146円台前半まで円が急進しました。黒田総裁もことあるごとに「緩和継続」と言い続けていることから、次週の政策金利発表にサプライズはないと思われます。一方で米政策金利の天井がうっすらと見え始めた中で、為替介入があった直後であり、これまでの様な円安基調が続くのかどうか注目されます。

 

 

【先週のマーケットの振り返りと考察】~混ざり始めたハト派

 先週の株価指数は欧米市場を中心に大きく反発しました。

ダウは4.89%高と3週連続のプラス、ナスダックは5.22%高、S&P500は4.74%高の2週振りのプラスとなりました。

先週の株高の理由をまとめると下記の通りです。

①英政府の減税政策の撤回発表やトラス首相の辞任発表による英国経済の混乱リスクの後退。

②MS以外の大手銀行やNFLXなどが堅調さを見せ思ったより悪くない米企業決算。

WSJのニックの記事や複数の連銀総裁の発言による「12月FOMCでの利上げ幅の減速」観測。

 

特に③のWSJの記事は明らかにアドバルーン記事でしたが、10/21の米国時間の朝に「FRB利上げの行方、12月ペース減速が焦点に」という題名で発表され、それまでのFRB高官のタカ派スタンスを覆す内容となりました。

それに続いてSL連銀のブラード総裁が「適切な水準から先は”小幅な調整”で良い」、SF連銀のデーリー総裁も「利上げ幅の縮小を計画し始めるべきだ」と発言し、強いタカ派姿勢からの緩和を示し始めました。

 

10月に入ってからは連日の様にFRB高官がタカ派発言を繰り広げており、先週もカシュカリ総裁やハーカー連銀総裁がタカ派発言を行なっていたばかりでした。10/5にはデーリー総裁も「利上げペースの減速には高いハードル」「コアインフレ減速や雇用の落ち着きなしではシフトダウン困難」と指摘していました。またブラード総裁は元々タカ派の急先鋒として有名でした。

それだけに今回のWSJ記事の内容や両連銀総裁の発言はやや唐突な印象です。

 

とは言え、これまで口を揃えてタカ派姿勢を貫いていたFRBに、ややハト派姿勢が混ざってきたことは、株式市場にとっては歓迎すべき事実であると考えます。

11月FOMCで予想通りの75bpsの利上げとなれば政策金利は3.75%-4.00%となり、9月にドットチャートにて示された23年の4.625%が現状の天井だとすると、その影がうっすらと見え始めてきています。デフォルトとなりつつある75bpsの利上げ幅にそろそろ減速の議論が出てくるのも当然の流れかもしれません。

 

次週は米国企業決算発表が本格化し、25日(火)にGOOGL、MSFT、26日(水)にMETA、27日(水)にAMZN、AAPLと大型テック株も発表となります。先週末のWSJの記事とFRB高官の発言により、市場の注目が12月の利上げ幅に移り、既に11月FOMCでの75bps 上げが織り込まれています。そんな中、次週の決算発表も全体的にまずまずの結果となれば、短期的に株価は上昇しやすいと考えます。

そうなると10月13日の米9月CPI発表を転機に株価は底打ちした可能性が高いと考えられます。

 

一方でまだ高インフレの状況にあり不確実性が残っています。FRBハト派転換もデータ次第であるため、しっかりと指標を確認しながら株式の割合を増やす時期を探っていきたいと思います。

 

以上

【10/10-10/14週の世界のリスクと経済指標】〜インフレ退治の第一段階の終わり〜

先週の評点:

 

リスク   -4点(26点):悪化 (基準点30点) 

経済指標  -6点(38点):大幅悪化 (基準点44点)

 

 

【リスク】

 先週のリスクはマイナス4ポイントの悪化となりました。

前週末にロシアとクリミア半島を繋ぐクリミア大橋が爆破されましたが、それをウクライナ軍によるものと見たロシア軍はウクライナ各地でミサイルによる報復攻撃を行いました。一方で今回の攻撃でロシア軍はさらに保有ミサイルの数を減らし、3分の2を使い果たしたとの推測もあり、今後はより核兵器の使用を訴えてくる可能性が高まっています。

 

また先週は国連総会が行われ、ロシアのウクライナ4州の併合に対して非難決議が行われました。結果としては賛成143、棄権35、反対5となり採択されました。これまでの4回のウクライナ侵攻に対する決議では、賛成国が141→140→93と減少傾向にありましたが、今回の「併合」という行為に対しては抵抗感が勝る結果となり、かろうじて国際社会の秩序が保たれていることが証明されました。

 

一方でG20財務相中央銀行総裁会議が開催されましたが、今回も西側諸国のロシアに対する溝により議論が深まらず共同声明を出せずに終了となりました。米国を始めとする先進国の利上げラッシュによる新興国への影響に不安が高まっていますが、危機対応の国際的枠組みとしての機能低下が顕著となってきています。ケニア中銀総裁の「富裕国の利上げで途上国は資本市場から締め出される」との発言にある様に、欧米の「自国優先」と捉えられる金融政策への風当たりも強くなってきています。それにより新興国が中露などの権威主義体制へ傾倒していく可能性も高まっており、協調して新興国を支援する仕組みが必要だと感じます。

 

 

【経済指標】

 先週の経済指標はマイナス6ポイントの悪化としました。

注目の米9月CPIは総合指数が前回8.3%、予想8.2%に対して結果8.1%と下振れを示した一方、コア指数は予想6.3%、予想6.5%に対して結果6.6%と上振れました。

ここ最近の原油価格の下落により総合指数は一旦はピークアウトしてきた様相ですが、エネルギー以外の物価上昇は引き続き根強く残っていることが示されました。

 

 

【先週のマーケットの振り返りと考察】

 先週の株価指数ボラティリティが激しく動きながら、週足ではまちまちとなりました。

ダウは決算発表のあった銀行株が、減益となりながらも予想を上回ったため上昇し、その他のディフェンシブ株も堅調に推移したため前週に続いて続伸しました。

また上海総合指数は、米国の中国への半導体製造装置規制を受けて下落で始まるも中国人民銀行総裁の支援強化の発言を好感し上昇して週を終えました。

 

 

〜インフレ退治の第一段階の終わり〜

先週の注目は米9月CPIでしたが、米株は13日のCPIの発表後、ナスダックが一時3%安となるなど、朝方には大きく下落しながらも一転大幅高となりました。(ダウ2.83%高、S&P500 2.6%高、ナスダック2.23%高)。

 

下記は米国CPIの総合指数とコア指数の推移です。

 総合CPIは6月の9.1%を境に明らかにピークアウトしてきた様子が伺えます。

ロシアのウクライナ侵攻後に8.5%に急上昇し、その後一旦落ち着きを見せるものの再び上昇して6月にピークをつけ、現在は侵攻開始近辺のCPIの数値に戻ってきています。

これは原油価格の伸びと同じ動きで、原油価格も3月に急騰したあと一度落ち着き、再び6月に高値をつけピークアウトしています。

つまり原油価格の落ち着きにより、ウクライナ侵攻後のエネルギーによるインフレ圧力が剥落し、インフレ対策の第一段階が片付いたとも言えます。

ショートカバーやテクニカル的な節目であったこともありますが、株式市場がCPI後に一度下落したあと急反発したのは、この心理的な安心感があった可能性が高いと考えられます。

 

 一方でエネルギーと食品以外のコア指数は、総合指数と同じように3月に6.5%と一旦ピークをつけた後、一旦落ち着くも8月から再び上昇し9月は6.6%と高抜けています。

これを受けてCPI発表後には10年債利回りは一時4%を超えながら3.95%、2年債利回りは4.46%に上昇し、FedWatchの金利先物も11月FOMCでの75bps利上げ確率が上昇しました。

まだインフレの第二段階が残っており、債券市場と金利先物市場はそれにしっかりと反応を示した形です。

ここからはエネルギーの様に価格即効性の高いインフレではなく、実需に沿った遅効性のインフレ退治のフェーズに入ってきます。

 

基本的には債券市場や金利先物市場が示すように、当面はFRBの積極的な金融引き締めが継続すると考えますし、それに伴う景気後退のリスクも高く株価はまだ下落基調にあると考えます。

一方で、インフレの第一段階が片付いたことで、ターミナルレートのピークも見え始めてきた様に感じます。

ついては、今回の様に悪い指標であっても株価が上昇する可能性を考え、これまで長期投資ポートフォリオで20%としていた株式を30%とし、強かった弱気姿勢を少し緩めました。また、現在の長期金利の高い状況の中ではナスダックがアウトパフォームすることはないと考え、最新のポートフォリオはより分散の効いたMSCIコクサイ30%、国内債券60%、現金10%としています。

 

以上