投資家見習いのブログ

世界の地政学的リスクと経済指標を独自の数値で可視化し、マーケットを語ります。

【2023年12/18-12/22週の世界のリスクと経済指標】

先週の評点:

 

リスク      0点(33点):中立 (基準点33点) 

経済指標    +5点(62点):良化 (基準点57点)

 

【リスク】

 先週のリスクはプラスマイナスゼロの中立でした。

先週は米PCEデフレータが示されましたが、予想を下回り2.6%と2%台に突入してきました。FRBがインフレ指標として重要視するPCEデフレータでの2%台突入は、前週のFOMCでのハト派転換を裏付けるものであり、ようやくインフレが終焉に近づいていることが示唆されました。

 またイスラエルとの戦闘が続くガザでは死者が推計2万人を超えたと伝えられています。物資不足による市民の飢餓も深刻となっており、国連安保理では何とかガザへの人道支援決議が採択されましたが、米国のイスラエル擁護の姿勢が根強く、今後も国際的支援の実行が難航する可能性が残っています。また、イランが支援するフーシがガザ攻撃への報復として紅海を通る船舶に対して攻撃を行い、民間船舶が大幅な迂回ルートを取らざる得ない状況にもなっています。中東情勢の混乱が世界的な物流にも影響する事態となっています。今のところエネルギー価格の上昇への影響は限定的となっていますが、長引くと再びインフレ原因となる可能性があるため注意が必要です。

 

【経済指標】

 先週の経済指標はプラス5ポイントの良化となりました。

先週は米PCEデフレータの発表がありましたが、下振れとなりインフレの終焉が近いことが示されました。

 

【先週のマーケットの振り返りと考察】

 先週の株価指数は、概ね堅調に推移しました。

米株主要3指数は、前週のFOMCでのFRBハト派転換を引き継ぎ8週連続上昇となりました。またPCEデフレーターが下振れし、予想以上にインフレ鈍化が進んでいることが示されました。今後は景気を冷やし過ぎない様にコントロールしていくことに主眼が置かれると思われ、利下げ期待が高まってきました。ついては引き続き株式7割の強気のポートフォリオを維持します。

 

先週の株価の動きの要因は下記の通りです。

・前週のFOMCでのFRBハト派転換を追い風に反発。

・高値警戒感を挟むも、PCEデフレータの鈍化期待から反発。

 

先週発表されたPCEデフレータは、前月3.0%、予想2.8%に対して2.6%と下振れし、2%台に突入しました。また前月比でもマイナス0.1%と20年4月以来のマイナス水準となりました。コア指数はまだ3.2%と2%台には至っていませんが、こちらも時間の問題だと思われます。

 以下は実質金利の推移です。今回は時系列がわかりやすいようにFF金利下限からインフレ率(PCEデフレータ)の数値を引いた物を実質金利としています。

 

 

 23年の2-3月にかけて実質金利が0%を超え、そこから足元では2.65%まで上昇しています。23年6月から9月頃まではインフレ率の下がり方が落ち着いていたため、踊り場となっていましたが、10月-11月ではインフレ率が再び大きく切り下がってきたことを受けて再び上昇を強めています。

これを見る限り既に金融環境は引き締まっており、このペースで行くと逆にインフレターゲットである2%を下回ってオーバーシュートする可能性も出てきました。

 先日のFOMCでのパウエル議長のハト派転換は、やや唐突感がありましたが、この推移を見ると納得感が出てきます。マーケットは来年に3月からの利下げを織り込んでいますが、そろそろブレーキを弱め始める時期としては適切なのかも知れません。

いずれにせよ、FRBも来年に利下げが必要だと考えており、それを裏付けるデータも示されたことで次のFRBのアクションは利下げとなります。株価は11月から8週続伸しており、短期的には現在の水準への「慣れ」が必要な時期にも感じられますが、利下げが見えている限りは上昇基調が継続すると思われます。従って引き続き強気ポジションを維持します。

 

以上