投資家見習いのブログ

世界の地政学的リスクと経済指標を独自の数値で可視化し、マーケットを語ります。

【3/30-4/3週の世界のリスクと経済指標】〜原油価格の回復〜

先週の評点:

リスク   -6点(36点):悪化 (基準点42点) 

経済指標  -9点(81点):悪化 (基準点90点)

 

短期の相場観:ニュートラ

長期の相場観:強気

 

【リスク】

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先週もCOVID-19の状況悪化によるリスクが増大しました。

COVID-19の感染者、死亡者拡大は留まることを知らず、先週末と比較しても倍増しています。

各国が経済活動を犠牲にしながら拡大抑制に動いていますが、未だピークは見えません。

また、このCOVID-19を巡り米国と中国の間で新たな対立の兆しが見えて来ました。

 

一方で今回から新たにリスク項目に追加した原油安問題に関して米国が原油価格調整に動き出しました。

今回の原油協調体制決裂で対立していたサウジアラビアとロシアに協議を呼びかけ、OPECプラスのみではなく米国を含めた枠組みでの協調が期待されます。

 

全体としては原油問題に明るい兆しが見えたものの、引き続きCOVID-19の悪化度合いが上回り、マイナス6ポイントで悪化としました。

 

 

【経済指標】

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先週の注目指標は米国のISM製造業PMI、非製造業PMI及び雇用統計でした。

ISMの事前予想は大幅悪化を織り込んでいましたが、結果は製造業PMIが予想44.8に対し結果49.1、非製造業PMIが予想44.0に対して結果52.5と予想を大幅に上回りました。

これは通常時は景気が良い証拠である入荷遅延の数値が、流通の停滞が原因で伸びており、そのために悪かった新規受注、生産、雇用の数値が引き上げられたことが考えられます。

COVID-19により流通が破綻して供給できないという特殊事情により、今回のISM指標は実態を表せていないことが伺えます。

 

一方で、雇用統計は3/12までのデータの反映とあって非農業部門雇用者数は小幅な減少が予想されましたが、予想-10万人に対して結果-70.1万人となり大幅な減少となりました。

失業保険申請件数も2週間で1000万件に達し、米国での雇用が急速に失われていることを表す結果となりました。

 

全体としては米国のISM、雇用統計の悪化の影響が大きく、マイナス9ポイントの悪化としました。

 

 

【先週の振り返りと次週の展望】~原油価格の回復~

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先週は前週が大きく株価が回復したこともあり、ロシアRTS指数以外は週足で反落となりました。

特に前週の上げ幅が大きかった日経225の下落幅が大きいですが、2020年高値からの幅で見ると、日米欧の先進国の株価指数は概ね25%減~30%減に収まっており、米欧の指数とそう変わらない状況です。
(日経22526%減)

 

 

先週は年初以来下落を続け低迷していた原油価格がようやく明確な反転を見せた週でした。

4/2トランプ大統領サウジアラビアムハンマド皇太子とロシアのプーチン大統領との間で日量1000万バレルの減産を進めるとの見通しを示し、WTI原油先物価格が急騰しました。

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また、サウジアラビアムハンマド皇太子はOPECプラスに対して緊急会議(6日から9日に延期の報道)を招集しており、次週にも産油各国の動きが明確化してくるものと思われます。

原油安がある程度安定してくれば、ロシア、ブラジルなどの産油新興国の収入が戻り、スタグフレーションとなる最悪のケースは回避できるでしょう。

また、米国のシェール企業にとっても破綻リスクが回避され、シェール企業の社債を組み込んだハイイールド債やCLOローン担保証券)の焦げ付きを回避できることになります。

 

一方で、本来であれば原油価格の戻りは株価の戻りにも好影響を与えてくるものと思われますが、米株指数の戻りは浅く、逆に4/3終値は反落しています。

また、下記の通り3/23FRBの無制限QEにより通常の相関に戻ってきていた資産に再び逆の動きを見せているものが散見されます。

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米国10国債利回りは低い水準に抑えられたままですが、GOLD4/24/3は上向きに戻っているものの一時下向き、ドル円4/1から再び円安方向、ポンド/USD、豪ドル/USDNZドル/USDなどの通貨も再び下落へ向きを変えています。

まだ各資産とも底値は遠いので二番底を形成することはないと思われますが、再び相関が崩れ始めていることが若干気になります。

 

ついては次週に対する相場観は下記の通りです。

 

<短期>ニュートラ

OPECプラスの緊急会議の結果次第では原油をロングだと思いますが、株式は資産の相関が崩れ始めているためショートの可能性もあるかと思います。

ただ、いずれもこれまでのような大きなトレンドとはならない気がします。

 

<長期>強気

FRBを中心とした各国の金融政策は機能しており、パニックにはならないと思うので引き続き強気のスタンス(株式55%、国内債券32%、金9%REIT4%

 

以上