投資家見習いのブログ

世界の地政学的リスクと経済指標を独自の数値で可視化し、マーケットを語ります。

【3/23-3/27週の世界のリスクと経済指標】〜無制限QEのパワー〜

先週の評点:

リスク   -8点(34点):大幅悪化 (基準点42点) 

経済指標  -23点(61点):大幅悪化 (基準点84点)

 

短期の相場感:ニュートラ

長期の相場感:強気

 

【リスク】

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先週もCOVID-19によるリスクが拡大しました。

中国での感染者数はピークアウトしてきたものの、欧米での感染が爆発的に拡大し全世界での感染者が60万人を超えました。

またCOVID-19による外出制限を受ける人々の数も20億人を超え、世界中の経済活動が止まっています。

ほぼCOVID-19によるリスクの増加で占められた週でした。

全体としてもマイナス8ポイントの大幅悪化としました。

 

 

【経済指標】

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経済指標では欧米のPMIが発表されました。

こちらは3月の最新のデータであるため欧米での感染拡大からくる経済活動の悪化を織り込み大幅に悪化しました。

また、総じて製造業PMIよりもサービス業PMIの方が悪化が激しく、先に製造業から悪化してくる通常の不景気時とは違う状況を織り込んでいることがわかります。COVID-19による人々の行動制限が、製造サイドよりも流通・小売や外食、移動機関、旅行などのサービス業の業界が痛めてきている事がわかります。

 

その他の2月の指標は経済の悪化を織り込む前なので良化傾向でした。

全体としてはマイナス23ポイントで大幅悪化としました。

これから当分はネガティブな指標が続くかと思いますが、そのような状況の中でも指標の変化を敏感に感じ取って行きたいと思います。

 

 

【先週の振り返りと次週の展望】~無制限QEのパワー~

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今週は2月末から下落続けていた各株式指数が約1ヶ月振りに反転し上昇した週でした。

週足で見ると日経、ダウ、S&P500の上昇幅が大きかった事がわかります。

 

前週までは3/9の株価の暴落から全資産の換金売りが続き、債券、金、円などの安全資産なども売られていたため、これまで各国の中央銀行による金融政策が矢継ぎ早に実施されてきました。

それにより3/20には換金売りが収束する兆しは見えていましたが、3/23NY時間にFRB量的緩和(略称QE: Quantitative Easing)を無制限に行うことを表明し、そこから流れが変わる事が決定的となりました。

これは「何が何でも資金供給して債券市場を安定させる」という強いメッセージであり、この方針によりこれまで売られていた資産の反転が明確に確認されました。

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特になかなか下落しなかったドル円3/23を境に下落を始め、その他の売られていた通貨である豪ドル、ボンド、NZドル等もこの日を境に明確に反転を示しました。

これらが示すのはFRBの無制限QEがまず債券市場に安心感をもたらし、それが他の資産および通貨にも安心感をもたらしたという事です。

そしてそれらの安心感によりダウ平均も反転を開始しました。

FRBが示した強い姿勢によりマーケットが安定を取り戻したのです。

 

正直なところ、私はこの無制限QEの力を甘く見ていました。

確かに制限を無くすことのパワーは大きく、資産や通貨の相関が戻るとは思いましたが、まさかそれが株価をも反転させるとまでは考えが至りませんでした。

しかし冷静に考えてみると、3/9を起点とする大幅下落は全ての資産の換金売りであり、これ以上ない無制限QEという大きなパワーで修正しに行ったのであれば、株式も含めた全資産の反発は当然の結果であったと思います。

 

ここで改めて現在の状況から考えた今後の長期見通しを下記の通り考察します。

 

<長期投資>強気

 

・リスク要因:COVID-19拡大が収束せず、世界的な経済停滞が長期化すること。それにより企業行業績も
       悪化し、破綻が広がる。

・リターン要因:無制限QEにより債券利回りは常にコントロールされ、企業に対して無限に資金供給可能。
 

今後マーケットがさらに悪化していくリスクとしては、このままCOVID-19の感染拡大が止まらず、経済活動の停滞期間が長期化することですが、現在の無制限QE下では国債MBSCPを購入してマーケットに資金供給でき、それによってそれぞれの金利FRBのコントロール下に置く事ができます。

実際に、先週の米国債10年利回りは概ね0.8%台で推移しており、FEBが目安としてコントロールしていた可能性が高いです。

適正な金利水準をキープすることは、適正な金利で資金を調達できることを意味しており、BSを悪化させることにはなりますが企業は生きながらえる事ができます。

このような安心感が醸成された状況下では、2番底を探るような大幅な悪化の可能性は低く、先に挙げたリターン要因の方がリスク要因を上回ると考えます。

 

ついては長期見通しを強気とします。

実際には3/24に「弱気」「中立」、また相関の戻りを確認して3/25に「中立」「強気」に変更しています。

具体的には株式55%、国内債券32%、金9%、REIT4%のポートフォリオに変更しました。

 

<短期投資>ニュートラ

 

米国政府による大型財政政策も可決され、上昇材料も出尽くし感があるため一旦はヨコヨコで上下を繰り返す展開になると考えます。

 

以上