投資家見習いのブログ

世界の地政学的リスクと経済指標を独自の数値で可視化し、マーケットを語ります。

【4/20-4/24週の世界のリスクと経済指標】〜原油価格暴落の影響〜

先週の評点:

リスク   -6点(36点):悪化 (基準点42点) 

経済指標  -34点(41点):大幅悪化 (基準点75点)

 

短期の相場観:ニュートラ

長期の相場観:強気

 

【リスク】

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先週もCOVID-19の勢いは収まりません。

イタリア、スペインで死者数が減少を見せ始めていますが、米国では拡大は収まらず死者が5万人を超えてきました。

また先週は、前週にCOVID-19の感染者に効果があると報道があったギリアド社のレムデシビルが試験に失敗したとの報道が英フィナンシャルタイムズより出ました。

その後誤報との情報も流れましたが、前週の効果があると言う報道も含めて真偽が定かではなく、混乱を呼んでいます。

 

また、昨年度民主デモが続いていた香港で、警察が著名な民主派15名を一斉逮捕しました。9月に行われる立法会(議会)選挙に向けて民主派の活動をけん制するものと思われますが、米国政府高官が相次ぎ批判しており、COVID-19の対応にて対立を拡大している米中の火種の一つになりそうです。

 

全体としては先週もCOVID-19のネガティブの影響が大きく、マイナス6ポイントの悪化としました。

 

 

【経済指標】

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先週は欧米の4PMI(景況感指数)が発表されました。

3月のPMIも悪化が激しかったですが、4月はより悪化幅を広げました。

COVID-19の影響でサービス業が完全停止しているので、仏は10.4、独は15.9、ユーロは11.7と、特に欧州では見たこともないサービス業PMIの数値となっています。

COVID-19によるロックダウンが解除され、経済活動が戻ってくるまでは回復は見込めず、今後も当面基準値である50を上回ることはないと思われます。

 

全体としてはPMIの悪化具合が大きいため、過去に例のないマイナス34ポイントの大幅悪化となりました。

 

 

【先週の振り返りと次週の展望】~原油価格暴落の影響~

先週は週明けから原油先物価格が大きく下落しました。

原油需要衰退により原油貯蔵施設が満杯な中、5限月先物5月末に現物として受け渡しされるのを恐れた投資家が一気に売りに走ったため、4/20には一時史上初のマイナス37.63(最安値は-40.32)まで暴落しました。

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一方で、先週の株価指数は、各指数ともに前週よりも下落しているものの、原油の暴落具合と比較すると小動きの印象です。

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ただ、日経と産油新興国のブラジルボベスパ指数は大きく下落しています。

日経はCOVID-19の拡大に引っ張られた印象ですが、同じ産油新興国であるロシアRTSはプラスとなっている一方でブラジルが大幅にマイナスとなっているところが気になります。

 

ここで先週大きな動きとなった原油先物価格暴落の影響を再度検証してみます。

下記は代表的な産油新興国であるロシアとブラジルの通貨と株価指数の日足チャートです。

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ロシアは原油先物価格の下落と共に通貨、株価ともに一時は下落しましたが、原油先物価格の戻りと共に上向きに戻っています。

一方で、ブラジルは原油先物価格の動きと関係なく通貨は下落、株価も上向き傾向だったものが通貨の急落に伴って下落しています。

ブラジルは先週、政治問題が浮上しており、ボルソナロ大統領がCOVID-19対策方針の違う保健相を解任し、更に汚職撲滅で人気のあった司法相が辞任することとなったため、不安が増大しています。

どちらかと言うと原油安と言うよりも政治危機での混乱の要素が強い印象です。

 

また、下記は米国ハイイールド債利回りの日足チャートです。

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前週末の7.31%よりは利回りは上昇し7.87%となっていますが、こちらも原油の下落幅ほどは影響が出ていないと思われます。

やはりこちらはFRBの無制限QEでの債券買い入れ政策が効いていることが伺われます。

 

結論としては原油先物価格がここまで暴落しても、各国中央銀行の金融政策の支えにより現段階ではその影響は限定的であると言えると思います。

 

 

[短期] ニュートラ

株式、為替共にこれまでのように一方方向に向かう勢いが失われてきた感があり、基本的には動く方向に向かいたいですが、強いて言うならコロナ債の発行等の議論が難航しているユーロドルのショート、または直近高値を伺う豪ドル米ドルロングに注目していきたいと思います。

 

[長期] 強気

原油先物価格が暴落しても私がメインで投資する米国株式および日本株式への影響は限定的であるとして、引き続き強気のポートフォリオを継続します。

(米国株式31%日本株25%、国内債券30%、金6%REIT4%、ブラジル株4%

ただ、ダウも日経も50移動平均線に上値を抑えられている感もあり、今後は当面フラフラと現在の水準で上下動を繰り返すと思われます。

 

以上