投資家見習いのブログ

世界の地政学的リスクと経済指標を独自の数値で可視化し、マーケットを語ります。

【4/27-5/1週の世界のリスクと経済指標】〜ポジティブとネガティブのせめぎ合い〜

先週の評点:

リスク   0点(42点):悪化 (基準点42点) 

経済指標  -28点(77点):大幅悪化 (基準点105点)

 

短期の相場観:ニュートラ

長期の相場観:強気

 

【リスク】

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全世界的にはCOVID-19の感染拡大が広がり、感染者数344万人、死者数24.4万人を超えました。(5/3 18:00現在)

しかし、これまで激しく感染拡大してきた欧米において新規感染者数の増加に鈍化が見られるようになり、徐々に経済活動の再開に向けた動きが出てきました。

米国は30州において5/1から行動制限を一部解除、イタリアでは5/4から工場などの操業が認められ、フランスは5/11から外出禁止解除、スペインも5月から6月末にかけて段階的に規制を解除すること発表、英国でも週内に首相が外出制限を緩和する工程表を発表する予定です。

また米国ギリアド社のレムデシビルも一定の効果があるとして米FDAが緊急使用認可を出しました。

まだ全く予断を許さないものの、影響の大きかった先進国において徐々に改善の動きが出てきたことを評価し、COVID-19に関するリスクを良化としました。

一方で、中国がCOVID-19の初期対応を誤り世界が甚大な被害を被ったとして、米国が中国に対する報復措置の検討を明言しました。

年初の米中貿易摩擦の暫定合意以来小康状態を保っていた米中貿易摩擦ですが、関税上げのみならず、中国が保有している米国債の償還拒否の噂も出ており、今度はCOVID-19対応を巡り米中対立が激しさを増し世界がさらに混迷する可能性が高くなってきました。

全体としてはCOVID-19はポジティブとしましたが、米中対立がネガティブとなり、ゼロポイントの中立としました。

 

 

【経済指標】

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先週は米国の重要指標が多くありましたが、全て大幅ネガティブとなりました。

1-3月期のGDPは前期に2.1%あったものが-4.8%リーマンショック時以来の大幅減となりました。

1-3月期の前半はまだ米国経済は堅調だったはずですが、2月下旬からの米国内にCOVID-19が拡大して以降の落ち込みが激しいことがわかります。経済活動制限の影響が本格的に出始める4-6月期の数値は更に大幅悪化が予想されます。

新規失業保険申請件数も383.9万件となりこれで3月の急増後の累計失業者数は3000万人を超えました。経済活動の停止により急速に雇用が失われていることがわかります。

また、4ISM製造業景況指数は市場予想36.0は上回ったものの、41.511年ぶりの大幅悪化となりました。

全体としてはほとんどの指標がネガティブとなり、マイナス28ポイントの大幅悪化となりました。

 

 

【先週の振り返りと次週の展望】〜ポジティブとネガティブのせめぎ合い〜

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先週は米株が前週に続き週足で微減、伯ボベスパ、独DAX、露RTS、香港ハンセンの上昇が目立った週でした。

ただし、5/1メーデーで日本と米国、英国以外は休場だったため、4/30-5/1の米株主体のリスクオフの影響を受けていません。

 

先週はポジティブ要因とネガティブ要因が混ざり合い、週前半はリスクオン、週後半はリスクオフと上下動の激しい週でした。

ここで先週のポジティブ要因とネガティブ要因を改めて整理します。

 

ポジティブ要因:
①日銀、FRBECBの日米欧中銀が無制限の金融緩和を引き続き行うことを確認

②欧米でCOVID-19による感染者数の伸びの鈍化により、経済活動再開に向け制限解除が見え始める

③レムデシビルに一定の有効性が認められ、米FDAからも緊急使用認可

④アマゾン以外の米主要ハイテク企業の1-3月期決算が思った以上に悪くない

 

ネガティブ要因:

①米国が中国に対して報復措置を取ると明言され、米中対立が激化の可能性

②今年度の米大企業の決算見通しが不透明として発表されない傾向

③米国経済指標が圧倒的に悪い(GDP、新規失業保険申請件数、ISM製造業景況指数)

 

米国株価指数3/23の底値から半値戻しを達成しましたが、その近辺で一旦はウロウロとしている印象です。

日欧米各国の中銀による無制限の金融緩和の下支えが強く、株価が大きく崩れることはないものの、実体経済の悪化が経済指標や決算発表での今後の先行き不透明感に現れてくるたびに、株価も素直に下に反応するようになってきたような気がします。

欧米の経済活動再開に向けての動きや、レムデシビルの有効性の確認などポジティブなニュースも続いていますが、現在の停滞状態が大幅に改善するものではなく、やや力強さに欠ける印象です。

また、COVID-19の対応を巡って米中対立が激しくなりそうな様相を見せており、さらに株価が上抜けていくには不透明感を払拭してくれるような強いニュースが必要な気がします。

次週は米国の重要経済指標であるISM非製造業景況指数、雇用統計の発表があり、すでに織り込まれていると思うものの、予想よりも低ければ素直に下に反応する可能性があるため注意が必要です。

 

[短期] ニュートラ

これまで上昇トレンドを形成していた豪ドル米ドルが腰折れしてきたので一旦様子見、一方で下落トレンドから反転してきたユーロドルに注目して行きたいと思います。

株式は一度上抜けした50日移動平均線に再接近している日経とダウの動きに注目し、反発でロング、下抜けでショートとしたいです。

 

[長期] 強気

ある程度調整は覚悟しつつも限定的と見て長期的には強気ポートフォリオを継続します。(米国株式31%日本株25%、国内債券30%、金6%REIT4%、ブラジル株4%

 

以上