投資家見習いのブログ

世界の地政学的リスクと経済指標を独自の数値で可視化し、マーケットを語ります。

【10/12-16週の世界のリスクと経済指標】〜米大統領選後までの材料待ち〜

先週の評点:

 

リスク   -10点(41点):大幅悪化 (基準点51点) 

経済指標  -15点(66点):大幅悪化 (基準点81点)

 

 

【リスク】

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先週も多くのリスクが悪化しました。

COVID-19関連では、欧州での新規感染者数の伸びが急激な上昇トレンドを形成しています。第2波を迎えフランスでは1日あたりの感染者数が初めて3万人を突破し、夜間外出禁止令が発令されました。現在のところ感染者数の伸びに比べて死者数は伸びていませんが、これから本格的な冬を迎える中で不安が広がります。

そして米ファイザーCOVID-19ワクチンの米国での緊急許可申請11月中旬以降になると発表しました。

トランプ政権は「ワープスピード作戦」と称して大統領選前でのワクチン承認を目指してきましたが、これで欧米での全ての有力なワクチンの許可申請が遅れることとなりました。

 また、注目される米国の追加経済対策は、トランプ大統領が増額を示唆するコメントを多発しましたが、結局共和党民主党の溝は埋まらず、対策の実施は大統領選後になる見通しとなりました。

 

10/15を交渉期限としていた英国のEUからの離脱に伴うFTA交渉ですが、こちらも主に英国沿岸での漁業権の扱いで折り合いがつかず、合意には至りませんでした。英首相は「FTAなしに備える必要がある」とEUに対して揺さぶりをかけていますが、EU側もFTAなしの備えを加速させており、時間切れで交渉決裂となる可能性が高まってきました。

 

全体としてはマイナス10ポイントで大幅悪化としました。

 

 

【経済指標】

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先週の経済指標は米小売売上高が予想0.7%に対して1.9%とポジティブサプライズがありましたが、それ以外の指標は軒並みネガティブとなりました。

EUとドイツのZEW景況指数はCOVID-19の再拡大からの経済活動制限の影響で悪化しました。

米国のNY連銀製造業景気指数やフィリー製造業景気指数、鉱工業生産も悪化しており、追加経済対策の遅れにより多くの雇用を生む製造業に鈍化の影響が現れてきています。

全体としてはマイナス15ポイントの大幅悪化となりました。

 

 

 

【先週の振り返りと考察】~米大統領選後までの材料待ち~

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 先週の株価指数は、欧州指数はCOVID-19感染拡大の影響を受けて下落、米国3指数は週足でほぼ変わらずとなりました。

米株指数は週頭に追加経済対策期待と米株決算期待から大幅に反発し、その後は徐々に値を下げましたが、先述の通りのリスクと経済指標の悪化の大きさの割には持ちこたえた印象です。

 

米株3指数の週足チャートを見てみます。

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今週、ダウは8/31週の戻り高値、S&P500、ナスダックも8/31週の再高値に迫りましたが超えられずに跳ね返されて終わっています。

この高値を超えるには強い上昇材料が必要ですが、現在考えられる米国株式にとっての好材料は下記の通りです。

トランプ大統領の再選

②米追加経済対策の合意と承認

COVID-19のワクチン承認

しかし、これらの材料は全て11/3の大統領選挙以降でないと見込めないことが明確となっています。

従ってリスク、経済指標の悪化している現在の地合いを鑑みると、大統領選挙までは調整しながら上下動していくと考えられます。

 

私もどうなるかわからない大統領選挙を見据え、個人資産の長期投資ポートフォリオに組み入れていたFANG+インデックスおよびナスダック100のハイテク株式の投資信託を全解約し、より分散の効いたMSCIコクサイ株式インデックスに移管、また一部を現金として待機させることとしました。

上記に挙げた好材料が出現した場合には、再度現金をリスク資産に投じていきたいと思います。

 

以上