投資家見習いのブログ

世界の地政学的リスクと経済指標を独自の数値で可視化し、マーケットを語ります。

【11/30-12/4週の世界のリスクと経済指標】〜トレンド転換となった11月〜

先週の評点:

 

リスク   -3点(54点):小幅悪化 (基準点57点) 

経済指標  +3点(114点):大幅悪化 (基準点111点)

 

 

【リスク】

f:id:minarai_tousan:20201206170723p:plain

全体としてはマイナス3ポイントとなりました。

先週もCOVID-19の拡大による経済活動制限が重しとなる一方でワクチンの開発進展および米追加経済対策への期待で均衡を保った状況となりました。

米国でも重症病床の逼迫からロックダウン懸念が聞こえて来る状況となっています。

日本においても東京、大阪、北海道にて観戦拡大がピークを超え、こちらも重症病床が逼迫して来ており再び活動制限となりそうな勢いです。

英国ではファイザー製ワクチンが承認され、週明けから投与が開始される見込みですが、これから各国でのCOVID-19の感染拡大とワクチン接種の拡大との熾烈なレースが始まることを予感させます。

 ブレグジットを巡る英、EUの通商交渉も大詰めを迎えていますが、相変わらず合意に至らず、週末には一旦中断となっています。5日に両首脳による電話会談が行われ6日から交渉が再開されることとなったようですが、合意できるかは不透明感が漂っています。

 

 

【経済指標】

f:id:minarai_tousan:20201206170755p:plain

全体としてはプラス3ポイントの小幅良化となりました。

先週は重要指標である米ISM製造業景況指数、非製造業景況指数、雇用統計の発表がありました。

ISM景況指数は製造業、非製造業共に前回値および予想を下回り、また雇用統計も雇用者数が大幅に鈍化を見せました。

米国でのCOVID-19の再拡大からの経済活動制限により景気が鈍化していることを示され始めており、追加経済対策が待たれます。

一方で中国のPMIは相変わらず好調、またそれに連れて豪州の7-9月期GDPは予想を上回る改善を見せました。

 

 

【先週の振り返りと考察】

f:id:minarai_tousan:20201206170840p:plain

先週は11月に強く上昇してきた日経は上値が重く0.4%高、一方で米市場は堅調に3指数とも最高値を更新しました。

先述の通りCOVID-19の感染拡大から米国の経済指標が悪化している中、ワクチン期待と追加経済対策期待が何とか相場を持ち上げる展開となりました。

 

次週は12/10ECB政策金利発表およびラガルド総裁の会見にて更なる金融緩和政策への発言があるか注目です。

また同じく12/10には米FDAの第三者委員会が開かれ、ファイザー製ワクチンが承認されるか注目されます。

ブレグジットを巡る英、EUの通商交渉の行方と米追加経済対策の行方でも動いてくるものと思われます。

 

 

~トレンド転換となった11月~

さて、今回は大きく株式相場が好転した11月の値動きをまとめてみたいと思います。

下記は主要株価指数11月の騰落率です。

f:id:minarai_tousan:20201206171040p:plain

11月に一番伸びたのはロシアRTS指数で20%以上の上昇となりました。

そして米小型株式指数のラッセ2000、ユーロ圏の有力銘柄を集めたユーロストック5018%の伸びを示しています。

次いでブラジルボベスパ、日経225、独DAX15%の伸びで続きました。

 

11月は主に下記の二つの大きな出来事が続き、マーケットのトレンドが変わりました。

113日の米大統領選でのバイデン氏の勝利がほぼ確定。一方で民主党が大統領、上下院全てを占めるブルーウェーブがなくなることが濃厚。
大きな政府を標榜する民主党が政権を取ることで大きな財政政策が取られる見込み。
 一方で上院は共和党となる様相から踏み込んだ左派的政策は取れない見込み。

115日のファイザー/バイオンテック製ワクチンが高い有効性を示したとの発表。

→COVID-19が収束し経済が正常な状態に戻るとの期待が増大。

 

これらのイベントによりこれまで米ナスダックやS&P500に対してアンダーパフォームしていた割安な株式指数に資金が流れこれらの株式指数が大きく上昇しました。

これらの指数はいずれもコロナショック前の今年の年初来最高値を上回れていませんでした。

下記は上位6指数のチャートです。

f:id:minarai_tousan:20201206171332p:plain

f:id:minarai_tousan:20201206171413p:plain

Russel 2000と日経22511月の上昇でコロナショック前の年初来高値を超えましたが、それ以外の指数は未だ超えていません。

 

米大統領もほぼバイデン氏に決まり、英国を皮切りに先進国でもワクチン投与が始まることとなっている以上、当面、経済正常化を見据えた割安株への資金流入の流れが続くと思われます。

また欧州、新興国においてはまだコロナ前高値まで戻せておらず、特に上昇余地は強いと思います。

10国債利回り足元では0.9%を超えており、金利感応度の高いハイテク株には不利ですし、何と言っても米国株式は既に強く上昇し相対的に高い状況です。

ドル安傾向も、多くのドル建対外債務を抱える新興国にとっては、自国通貨の上昇によって債務の圧縮を意味することなるため後押しとなります。

今後引き続き相対的に欧州株、新興国株が米ハイテク株に比べてアウトパフォームしてくる可能性が高いと考えます。

 

ついては現在の私の長期投資ポートフォリオの主力となっている全米株式インデックスファンド(楽天VTI)を売却し、欧州株式を含む先進国株式指数であるMSCIコクサイへの移管作業を進めたいと思います。

一方で新興国株式に関しては既にポートフォリオ10%を占めており、これ以上の増加はリスクを取りすぎるため、このまま変更せずとしたいと思います。

 

以上