【12/2-12/6週の世界のリスクと経済指標】〜米雇用統計結果の重要性〜
今週の評点:
リスク -7点(35点):大幅悪化 (基準点42点)
経済指標 -2点(70点):悪化 (基準点72点)
次週の相場感:ニュートラル
①リスク
今週は重要ニュースが目白押しの週でした。
中でもやはり米中協議に絡む情報に踊らされました。
香港人権法案に対する中国の報復は「米艦船の香港機構禁止」という軽めの内容に収まったものの、12/2にトランプ大統領とロス長官が「米中合意を急がず」「第四弾の関税発動も辞さない」旨のコメントを発し、また12/3には追い討ちをかけるように米下院がウイグル人権法案も可決し、一気に米中合意の雲行きが怪しくなりました。
一方で12/4になるとブルームバーグから部分合意が近いとの報道もあり、合意期待も膨らみました。
とにかく米中協議に絡んでは実際の進捗がわからないまま情報だけが錯綜し、期待と失望で一喜一憂させられた週でした。
評点としては、米中合意期待も続いていますが、米国側の合意に対する姿勢に緩みが見え始めたのと、ウイグル人権法案が可決されたことを踏まえた米中貿易摩擦の悪化の影響が大きく、全体としてはマイナス7の大幅悪化としました。
②経済指標
経済指標も重要指標が目白押しでした。
ただ、ここ最近の各指標の上向き傾向からポジティブが期待された米国ISM製造業景況感指数、非製造業景況感指数が予想に反してネガティブ、重要度は低いものの米国ADP雇用統計もネガティブとなり、一時は米国経済に対して雲行き怪しい雰囲気になりました。しかし、12/6の米雇用統計では強いポジティブとなり強い米国経済の状況を確認できました。
また、中国の財新メディアPMIは製造業、非製造業共にポジティブとなり、特に製造業PMIは6月を底に引き続き回復傾向であることを確認できました。
全体の評点としては週半ばまでの米国指標のネガティブが響き、マイナス2の悪化としました。
③今週の振り返りと次週の相場観
今週は、リスクの悪化は限定的で上向きの経済指標でやや強めに推移すると予想していましたが、週明けから米中関連でリスクオフとなり、かつ米国ISM指標が悪かったため週前半は株価が大きく下落しました。
個人的には米国経済指標のネガティブが予想外でした。ISM製造業PMI、非製造業PMIに続きADP雇用統計まで3連敗となったことが衝撃的で、12/6深夜の米雇用統計は今後の景気のターニングポイントになると感じていました。
なぜなら次週は12日にブレグジットを再度問う英国総選挙、15日に米国の対中追加関税発動日の政治的な大きなイベントを控えています。仮に雇用統計までネガティブで終わっていた場合、FRBおよび各国中央銀行の利下げのクッション効果を確認できないまま政治イベントを迎えることになるため、マーケットに対してネガティブな結果となった場合には雪崩式にマーケットが崩れる可能性を考えたからです。
その雇用統計は無事にポジティブサプライズで終わりFRBの利下げ効果を確認できました。
そのため仮に次週の政治イベントでネガティブな結果が出たとしても、ファンダメンタルの強さがマーケットを下支えし、悪化は限定的になるのではないかと考えています。
そう言った意味で6日の雇用統計結果の重要性は大きかったのではないかと思います。
次週は、週明けは米国雇用統計のポジティブの影響が残って上目線が続くと思いますが、基本的には政治イベントは予測ができないため、ニュートラルで構えて結果に付いていくことしたいと思います。
以上です。