投資家見習いのブログ

世界の地政学的リスクと経済指標を独自の数値で可視化し、マーケットを語ります。

【12/30-1/3週の世界のリスクと経済指標】〜中東戦争時のマーケットの動き〜

先週の評点:

リスク   -3点(42点):悪化 (基準点45点) 

経済指標  -3点(60点):悪化 (基準点66点)

 

次週の相場感:弱気

 

①リスク

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先週は米中協議に具体的な進展が見られ、米国側から第一段階の合意の調印式を1/15に米国で行い、また後日中国にて第二段階合意の協議を始めると発表があり、米中協議が順調に進捗していることが確認されました。

一方で、週後半に米軍がイラン革命防衛隊の精鋭組織「コッズ部隊」のソレイマニ司令官を空爆にて殺害し、戦争懸念から一気にリスクが悪化しました。

12/29に米軍がイラクの親イランシーア派武装勢力の拠点を爆撃し、それに対してイラクバグダッドの米国大使館でデモ隊が押しかけ大使館に侵入、火をつける騒ぎがありました。イラク北部の米軍基地襲撃に続いて米国民に被害が及んだことで、イランが裏で指揮しながら更なる攻撃を計画しているとの情報を察知した米軍は、被害の拡大を恐れてイラン軍の有力者であるソレイマニ司令官の殺害に至りました。

米国側は戦争を望んでいないとのスタンスを取っていますが、イランは米国に対して報復行動を取ると表明しており、今後のイラン側の対応によって戦争へと発展する可能性もあり両国の挙動に注目が必要です。

全体としては米中協議のポジティブをイラン情勢のネガティブが打ち消し、悪化としました。

 

②経済指標

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先週は製造業PMI関連の指標が多い週でした。

中国、欧州(欧州は改定値)はまちまちでしたが、米国が振るわず20096月以来の低い値でネガティブとなりました。

米国製造業PMIは先月に続きポジティブ指標が予想されましたが裏切る形となりました。ただ、棚卸資産の大幅な減少により今後の注文増加も予想されるとの報道もあり、マーケットに対するインパクトは11月ほどは少なかった印象でした。

1/15に米中部分合意も調印が予定されているので底打ちは来月以降となるでしょうか。

全体としてはISMのネガティブが大きく、悪化としました。

 

12/30-1/3週の振り返りと次週の相場観

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先週は1/2(木)に米中合意期待と中国が預金準備率を下げたことにより、休場であった日本以外は大幅に株価を上げました。しかし、1/3(金)に米国がイランのソレイマニ司令官を殺害した報道が流れると、戦争懸念が高まり一気にリスクオフとなりました。

特に為替が大きく動き、「有事のドル買い、円買い」で円高が大きく進みドル円は一時108円を割りました。

上記の通り、週足での株価指数の増減を見るとドイツと日本以外は大きく値を落としていませんが、日経は円高を理由にCME先物指数が23270となっており、週明けの東京市場は大幅下落が見込まれます。

 

先週の相場観ではISM製造業指数が上向けば米国金利が上昇し、ドル円も上抜け日経が戻って来ることを予想していましたが、ISM以前に中東有事が勃発して大幅円高、日経も大幅に下がる見込みで全く逆の展開となってしまいました。

このままだと日本市場だけ一人負けになりそうな予感もしますので来週どこまで下がるのか注目しています。

 

なお、先週は有事のリスクオフとなりましたが、ここ最近の米国が絡む中東有事である湾岸戦争、アフガン紛争、イラク戦争株価指数の動きを下記にてまとめました。

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湾岸戦争時は日本はバブル崩壊を迎えていましたので参考にはなりませんが、米国S&P500湾岸戦争時にも右肩上がりで伸びています。

また、アフガン紛争時は日米両国ともITバブル崩壊を迎えていましたので右肩下がりでしたが、2003年のイラク戦争開始時には日米両国とも景気の底を打って回復に向かっています。

このことから推察するに、中東での戦争は必ずしもマーケットにとってネガティブではないと考えられます。(言わずもがな、戦争は沢山の命と生活を犠牲にするので反対のスタンスです。)

マーケットのことだけを冷静に考えた時には、戦争を懸念して過度に悲観的になる必要はなく、むしろ中長期的には米国市場はこれを機に軍需産業の盛り上がりで更に上昇する可能性も考えられます。

ただ、日本市場は有事の円高の影響を受けるので一時的に上値は重くなると考えます。

短期的には調整すると思いますが、過度に悲観する事なく引き続き上目線を持って冷静にマーケットの動きに注目して行きたいと思います。

また次週は1/10の米雇用統計にも注目したいと思います。

 

以上

 

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