投資家見習いのブログ

世界の地政学的リスクと経済指標を独自の数値で可視化し、マーケットを語ります。

【1/6-1/10週の世界のリスクと経済指標】〜中東有事の株価押し上げ効果〜

先週の評点:

リスク   +5点(51点):悪化 (基準点45点) 

経済指標  +5点(83点):悪化 (基準点78点)

 

次週の相場感:ニュートラ

 

①リスク

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前週の米軍によるイランのソレイマニ司令官殺害の報復として、1/8イラクに駐留する米軍基地2拠点に対してイランよりロケット弾十数発が発射されました。

これにより一気に緊張が走りましたが、米国側に死者が出なかったこともあり米国は報復を行わないことを表明、またイランもこれ以上の攻撃を行わない旨を表明し、衝突は回避されることとなりました。

 

また、米中貿易協議において先週は米国側から1/15に第一段階合意の調印式を行うと発表がありましたが、今週は中国側からも発表があり、1/13から劉副首相が訪米する運びとなりました。

 

ブレグジットに関しては英下院で離脱法案が可決され、今度は上院にて決議されることとなりました。離脱法案の可決は確実ですが、ジョンソン首相は20年末までとする移行期間を延長しないとしており、EUとのFTAの締結が間に合わない可能性も出てきました。

 

全体としてはイランでの衝突回避でポジティブ、米中協議でポジティブとしてプラス6で良化した週と評しました。

 

②経済指標

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今週の重要指標は米国のISM非製造業景況指数と雇用統計でした。

ISM非製造業景況指数は予想53.9に対して55.0でポジティブとなり、11月から連続してネガティブとなったISM製造業指数より一足先に反転しました。

一方で雇用統計は11月に大幅増となった反動からか、雇用者数も予想16万人に対して14.5万人でネガティブ、平均時給も予想0.3%に対して0.1%でネガティブとなりました。

全体ではドイツやEUの指標でポジティブが多く、ISM非製造業のポジティブと合わせて雇用統計のネガティブを上回り、プラス5の良化としました。

 

12/30-1/3週の振り返りと次週の相場観

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今週は中東情勢で週明けから株価が乱高下を繰り返しました。

前週のソレイマニ司令官殺害を引きずり週明け【下落】リバウンドで【上昇】イランの攻撃で【下落】衝突回避で【上昇】とボラティリティの激しい週でした。

そんな中、衝突回避の安堵感も重なり、ダウ、ナスダック、S&P500は最高値を更新しています。

週足で見ると英FTSE100以外は上昇しましたが、特にナスダックと独DAXの伸び率に目を見張るものがありました。

一方で週足の日経は、「有事の円高」による下落時の幅も大きかったこともあり、一見、米株各指数やDAXなどの指数に比べると見劣りしている様に見えます。

 

しかし、ここで視点を変えて1/3のソレイマニ司令官殺害前の株価指数1/10終値を比較してみます。

(日経は正月で休場だったため12/30終値を採用、その他は1/2終値を採用)

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そうすると、日経225の上昇率はプラス0.82%とその他の株価指数の上昇率と比較しても遜色なく、寧ろ高い数値を示しています。

この中東有事を経て、12/30から109円台を割り続けていたドル円109円台半ばに戻り、予想以上に日経平均を押し上げました。

今回の有事は戦争懸念から株価を一旦下げたものの、すぐに収束に向かったために安堵感から大きく反発し、結果的にそれが日経平均にとって強い追い風として好影響を及ぼしたことがわかります。

 

イラン情勢に関しては、一旦衝突が回避されましたが、既に米国が経済制裁を強めること決めており、またウクライナ航空機の墜落原因がイラン軍の誤射であることを表明しているので、今回被害にあった国々も追随する可能性があります。

イランにとっては国内経済が疲弊しさらに苦しい状況が続くことが考えられ、イランの次の行動に引き続き注目して行きたいと思います。

 

次週は、一旦は大きなリスクが回避されたため安心感が広がっていますが、さらに高値を超えるには材料が少なく、米雇用統計のネガティブも残っているので一旦は横ばいか調整に入るのではないかと推察します。

本格上昇は間も無く始まる米国企業の2019年決算を確認してからになるのではないかと思います。

 

以上