【2/17-2/21週の世界のリスクと経済指標】〜やはりISM景況指数に注目〜
先週の評点:
リスク -5点(31点):悪化 (基準点36点)
経済指標 +5点(86点):良化 (基準点81点)
次週の相場感:弱気
①リスク
先週も地政学リスクとしてはCOVID-19の動向に振り回された週でした。
前週から比較するとCOVID-19による感染者24,912人、死者578人増えました。(中国による感染者のカウント数の変更による大幅増加もありました。)
先週は、既に感染経路が不明な感染者がハイペースで増加している日本はもちろん、韓国でも新興宗教団体で集団感染が発生し、中国国外での感染者が急カーブで増加しています。
中国では感染者数の増加が鈍化しているようにも思えますが、今度は中国以外の国々で劇的に増加する可能性があります。
その他は大きな動きはなく、各国がCOVID-19対策に注力しているように感じられます。
全体としてはCOVID-19とシリア情勢のネガティブでマイナス5とし、悪化としました。
②経済指標
先週は多くの経済指標が発表されました。
日本の10-12月期GDPがマイナス6.3%を記録し、消費増税のネガティブな影響を示しました。
また欧州のPMIは、COVID-19の影響も考えられる中、概ね良好で底堅さを見せました。
一方でMarkit社米国PMIは製造業およびサービス部門共にネガティブとなり、やや米国経済の先行きを不安視させる結果となりました。
全体としては欧州PMIの堅調さが米国PMIや他のネガティブを上回り、プラス5ポイントで良化としました。
③2/17-21週の振り返りと次週の展望~やはりISM景況指数に注目~
先週は2/17朝にアップルがの1月に発表した売上高が未達になりそうとの見通し出したことにより、COVID-19が実体経済にも影響してくる可能性が高まり、ほとんどの指数が1%を超える下落を見せました。
唯一、上海総合指数がこの一週間でプラス4.2%の上昇を見せ、前週のプラス1.43%に続き続伸しました。
春節休場前後で下落していた幅をほぼ戻しています。
中国は春節明けに企業に対して8兆円の融資を実行し、また中国銀行が20日に0.1%の利下げを行い、経済対策が矢継ぎ早に行われています。
また財政相が増値税の減税も示唆する発言をしています。
これらによってCOVID-19発生当事国でありながら、終息後の期待によって上昇していると思われます。
また、先週は欧州、米国の2月PMIが発表されました。
欧州は概ね良好でしたが、Markit社の米国の製造業、サービス部門共に予想に対してネガティブとなりました。
それによりアップルの発表と相まってマーケットもリスクオフとなりましたが、本番は3/2に発表されるISM製造業およびサービス業PMIかと思います。
ここ最近のMarkit社PMIとISM/PMIを比較すると、下記の表の通り毎回ポジティブ、ネガティブと違った動きをしており、必ずしもISM/PMIとMarkit社PMIが同じ結果となるものではありません。
※ポジティブは赤文字、ネガティブは青文字で記載
NY連銀、フィリー連銀景況指数もポジティブであり、また中国の影響を一番強く受けると思われるドイツを中心とした欧州のPMIがポジティブとなっており、雰囲気は悪くはないと思います。
また、今回はアップルの未達発言により米国の実体経済への影響が不安視されましたが、冷静に考えるとアップルの事業性質上ハードウェアの販売が主力であり、製造元および販売先としての中国の存在があるが故にCOVID-19の影響が出ることは容易に考えられました。
しかし、現在米国経済を牽引するMAGAを中心としたその他のIT企業は、アマゾン、Googleはそもそも中国での事業は規制され事業展開しておらず、Microsoftもサブスクリプションに事業体を移しているので、そこまで影響を受けないのではないかと推測します。
また、製造業においても米中貿易摩擦の影響で、ある程度中国からのサプライチェーンの移管も進んでいると思われ、米国に限っては直撃を避けられ実体経済への影響は軽微ではないかと推測します。
先月もISM製造業PMIのポジティブによってマーケットが好転したこともあり、3/2のISM製造業PMI、3/4のISM非製造業PMIには非常に注目しています。
とは言え、次週は材料に欠けるため引き続きCOVID-19による不透明感がマーケットを覆うことが予想され、下目線で臨みたいと思います。
以上