投資家見習いのブログ

世界の地政学的リスクと経済指標を独自の数値で可視化し、マーケットを語ります。

【2/3-2/7週の世界のリスクと経済指標】〜新型コロナウィルス不安からの急回復〜

今週の評点:

リスク   -1点(41点):若干の悪化 (基準点42点) 

経済指標  +5点(95点):良化 (基準点90点)

 

次週の相場感:ニュートラ

 

①リスク

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今週もマーケットの一番の心配事になったのはやはり新型コロナウィルスでした。

感染者数、死者数共に一週間で約3倍に膨れ上がっています。

中国では感染者の拡大が止まりませんが、それ以外の国では水際対策が効いているのか中国での拡がりほどは強くない印象です。

中国経済の停滞は確実で、今後のサプライチェーンとしての影響も心配されています。

 

その他ではトランプ大統領の弾劾裁判が無罪となり、このまま大統領選挙へ向かうこととなりました。

全体としては今週もコロナウィルスの影響が大きく、マイナス1の若干の悪化としました。

 

 

②経済指標

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今週の需要指標は米国ISM製造業景況指数、ISM非製造業景況指数、雇用統計でした。

中でもISM製造業景況指数は、昨年8月に景気拡大と景気後退の境目となる50を下回って以来なかなか明確な底入れを示していませんでしたが、漸く上向きになりかつ50を超えてきました。

また、ISM非製造業もまずます、雇用統計も失業率と平均時給は予想を下回りましたが、非農業部門雇用者数が大幅増加となり悪い数値ではありませんでした。

全体としては米国経済指標が順調に推移したためプラス5ポイントで良化としました。

 

 

③今週の振り返りと次週の展望~新型コロナウィルス不安からの急回復~

今週は先週の新型コロナウィルスでのリスクオフの下落を一気に回復する動きとなりました。

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週明け2/3のアジア市場は大きく下落しましたが、NY市場でISM製造業指数がポジティブとなったため反発し、そこから各指数が上昇を続けました。

2/7NY市場はコロナウィルス懸念から若干下げましたが、週足としては大幅上昇となりました。

 

下記は新型コロナウィルス懸念で下落が始まった1/17終値2/7までの期間の最安値を記載したものです。

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前週のアウトプットで新型コロナウィルスによる調整は、NYダウが5%程度、日経平均5%~10%の間と予想していましたが、そこまでは下がらず予想外に回復が早かった印象です。

元々、外部環境の良さから長期的には元に戻ると考えていましたが、ここまで早期に回復するとは思いませんでした。

理由としては以下2点が考えられると思います。

 

1)新型コロナウィルス感染者数の増加率鈍化

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新型コロナウィルスの感染者数と増加数、増加率を表にまとめました。(元データ:WHOウェブサイト)
上記は青軸が感染者数、オレンジ軸が増加数、赤ラインが増加率の推移です。
感染者数は綺麗に右肩上がりで増加していますが、増加数は2/5をピークに減少傾向にあり、また増加率は1/28をピークに下がり続けています。
あくまで数値としての傾向なだけで簡単には論じれませんが、マーケットはこの傾向を見て若干安心感を持ったことが考えられます。
ただ、コロナウィルスの動きは予断を許さないため、引き続き観察が必要です。

 

 

2)米国経済指標の回復の確認

次に昨年7月からの米国の重要指標の推移を見てみます。

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昨年9月に米国10国債利回りが底を打って以来上昇を続けてきた株価でしたが、実際に経済指標が明確に上向いてきたのは昨年11月頃からでした。そこからISM製造業PMI以外の指標は回復傾向を示して来ましたが、ISM製造業PMIは唯一回復を示してきませんでした。
赤字は最近の回復傾向を現す数値

新型コロナウィルスの影響を織り込んでいませんのでまだ油断はできませんが、ISM製造業景況指数が漸く上向き50を超えてきたことで米国のファンダメンタルを示す重要指標全てが上向いた事を確認でき、ここに来て米国経済の外部環境が良くなってきている事が明確に示されました。

 

 

上記2点が前週のマーケットの不安感を緩和し、今週の回復に繋がったと考えます。

 

次週は株価を大幅に戻し、かつ米国の重要経済指標もないため一旦は相場が落ち着き、一進一退となると考えます。

ただし、新型コロナウィルスで突発的に再度リスクオフになるようであれば、積極的に長期投資を押し目買いしていきたいと思います。

 

以上