【2/24-2/28週の世界のリスクと経済指標】
先週の評点:
リスク -8点(28点):悪化 (基準点36点)
経済指標 -4点(38点):悪化 (基準点42点)
次週の相場感:弱気
リスク
先週も引き続きCOIVD-19による不安が拡大しました。
特に韓国、イタリア、イランで感染者数が急拡大が発生し、またその他の国でも時間が経つに連れ徐々に発症が確認され始め、中国以外で50カ国までに感染が拡大しています。
中国でのサプライチェーンの崩壊不安と共に、世界各国での移動と物流が停滞することに対する不安感から大きくリスクが膨らみました。
またシリアにてトルコとロシアが支援するアサド政権が衝突し、中東情勢が再び怪しくなってきました。
加えて、イランでは国会選挙で強硬派が現政権のロウハニ大統領を支える穏健派に圧勝し、対立する米国との関係がより悪化する可能性が高くなってきました。
全体としてはCOVID-19のリスクの増大でマイナス8ポイントで大幅な悪化としました。
経済指標
先週は注目すべき指標も少なかった印象ですが、週末に発表のあった中国の2月製造業PMIが35.7と予想の45を大幅に下回る数値となりました。
COVID-19の拡大で中国経済の減速は予想されましたが、前月から15ポイント近い減少とは驚きでした。
全体としては米国リッチモンド指数、消費者信頼指数、中国製造業PMIのネガティブでマイナス4ポイントとなり悪化としました。
2/24-28週の振り返りと次週の展望
先週は各国株式指数が大幅に下落しました。
特に直近に最高値を更新していた欧米の株式指数の落ち込みが激しく、急速にバリュエーションの訂正が行われました。
私は前週、「米国経済へのCOVID-19の影響は限定的」と書きましたが、週明け早々に強いリスクオフとなり、26日にマイクロソフトも利益警告を発表して米国の実体経済にも大きな影響が出ていることが鮮明となり、一気に下落が加速しました。
ここで下記にCOVID-19での中国国内の感染者数の推移と中国国外での感染者数推移のグラフを添付します。
中国国内での感染者の増加数はここ一週間でなだらかさを増し、徐々にピークアウトしてきていることが伺えます。
一方で中国以外の国々での感染者数は急カーブで上昇しています。
先週来、韓国、イタリア、イランを中心に感染者が急増、また米国でも感染経路の不明な感染者および死者が発生し、拡大地域も50カ国に達しています。
これまでは中国のローカルな問題で、中国のサプライチェーンとしての機能の低下が不安視されていたため、中国以外の株価への影響は限定的でした。
しかし、先週対策が発表された日本での学校の休校措置や企業の在宅勤務の増加に見られるように、今後は全世界でヒトの移動や行動が制限されることが予想され、世界全体の経済活動により大きな影響を及ぼす可能性が高くなってきています。
(実際に私の会社も顧客との会食禁止、在宅勤務推奨となりました。)
もちろん世界の主要株価指数のバリュエーションが高かったのもありますが、先週の株式相場の動きにはこれらの新たなフェーズに入った不安要素を織り込みに来ていることが感じ取れます。
下記に示すように、既に2/28までで各国の主要株価指数は今年の高値から10%以上大きく下落しており、今後は2/28にFRBのパウエル議長が利下げを示唆したように、各国の中央銀行による利下げや政府による財政出動がより活発になって来ると思います。
それにより一時的には株価は戻りを見せるかと思いますが、世界の人々の行動自体が制限され始めており、なかなか実際の消費活動に移れない以上、利下げや財政出動の波及効果は限定的となることが考えられ、更なる下落を見せる可能性は高いと思います。
その下落の幅が今年の高値からどこのレンジに収まるかは不明ですが、これまでの〇〇ショックと呼ばれるリセッションの際には平均30%の下落が行ったと言われていることから、最悪30%程度の下落も想定しておくべきかもしれません。
次週は重要指標である米国のISM景況指数の発表がありますが、調査時期と発表のタイムラグが微妙であり、ここ最近のCOVID-19による影響を織り込んでいないと思われるため、仮にポジティブであってもここまで崩れてしまっては大きな影響はないような気がします。
最後に私は先週月曜日に長期投資の見通しをニュートラルから弱気に変更しました。
つまり株式50:債券50のスタンスから、株式30、債券60、金10のスタンスへ変更しています。
当面はこの弱気スタンスにて資産運用を行っていきます。
以上