投資家見習いのブログ

世界の地政学的リスクと経済指標を独自の数値で可視化し、マーケットを語ります。

【3/22-3/26週の世界のリスクと経済指標】〜長期投資スタンスの強気からの変更〜

先週の評点:

 

リスク   +1点(34点):小幅良化 (基準点33点) 

経済指標  +12点(90点):大幅良化 (基準点78点)

 

 

【リスク】

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 先週のリスクはプラス1ポイントの小幅良化としました。

 先週注目したのは、米中対立の対立軸の拡がりです。前週にEUが発表したウイグル問題を巡る対中制裁に関し、米英加も追随して対中制裁に踏み切り、それを豪、NZが歓迎するということがありました。

 

それに対抗して中露が接近、また中国はすぐさま外相が中東6ヵ国の歴訪を開始しています。イランとは25年に及ぶ戦略協定に調印し、サウジ皇太子も「中国のウイグルや香港の問題での中国の立場を支持する」としたと発表されています。

 

 これにより人権を重視する民主主義国家群と、それに対抗する中国を中心とした独裁的な強権国家群による対立軸が明確化してきた印象です。

私は米国と欧州の関係回復はポジティブに捉えつつも、そこから派生する民主主義国家と強権国家との対立軸の明確化は世界の二極化に繋がるためネガティブに捉えています。

 

 バイデン政権に変わってグローバリズムが回帰したように思えましたが、逆にトランプ政権時のような米国単独の劇場型ではなく、他国を巻き込んだ本格的な対立となりグローバリズムがより崩れてきそうな気配があります。

 

 

【経済指標】〜

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 先週の経済指標はプラス12ポイントの大幅良化としました。

 先週の注目指標は欧州のPMIと米国PCEコアデフレーターでした。

欧州PMIはワクチン接種の進展への期待からフルマークで上振れを示しました。特にドイツの製造業PMIは66.6と過去最高の水準となりました。これは中国経済が依然好調を維持していることを示しています。

 

また、米国のPCEコアデフレーターは予想1.5%に対して1.4%と下振れました。米国は景気回復を見込んで期待インフレ率が上昇していますが、足元のインフレ率は落ち着きを見せていることが示されました。

 

次週は中国製造業PMI、米ISM製造業景況指数、米雇用統計の発表があります。

ISM製造業景況指数は前回高かった60.8のレベルを維持できるかどうか注目されます。また雇用統計はワクチン接種拡大から強い回復が見込まれ予想58万人となっており、ハードルが高まっています。

 

 

【先週の振り返りと考察】〜長期投資スタンスの強気からの変更〜

 先週の主要国株式指数は、日経が独歩安となりました。

3/19の日銀の金融政策決定会合において実質的なテーパリングを示したため、日経平均は売られ水曜日には28400円台まで下落しました。その後は米株の反発に連れて反発して2%減で週を終えています。

一方で米株指数はダウとS&P500は最高値を更新し、長期金利が1.6%-1.7%程度の高い水準であっても上値を狙える力強さを示しました。

欧州のDAXFTSE100も週足で上昇して終えており、日米欧の中央銀行の姿勢の違いによる株価への影響が鮮明となりました。

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これらの先週の株価の動きを見ながら、私は改めて長期投資のポートフォリオを見直しました。

 

私が考える現在のポジティブ要因とネガティブ要因は下記の通りです。

 

【ポジティブ】

金利が1.6%〜1.7%程度にあってもダウ、S&P500が高値更新

②大手米銀に対する株主還元規制が6月末で解除

③3兆ドルの財政出動観測

 

【ネガティブ】

①雇用重視で強い金融緩和は継続、一方で短期的なインフレは容認。⇨今までのFRBのセオリーにない方針で不透明。

②イエレン長官が財政出動の財源としての増税を支持⇨財政政策の出口戦略が今後意識。

③欧米VS中露の対立激化⇨貿易の減少の可能性。またそこからくるインフレ懸念。

 

私は前週に10%に落とした日本株を先週全て売却し、割合を0%としました。

理由は米中対立が周囲の国々を巻き込み始め、グローバリズムが否定され始めたからです。

日本はこれまでグローバリズム回帰を背景に、強い中国により引っ張られて経済回復してきましたが、西側諸国の一員である日本にも米中対立が波及し、今後中国との通商問題を抱える可能性が高いと考えます。

そのためこれまでのような順調な日本経済の回復は限定的となり、日本株式の伸びは鈍化すると考えます。

 

それにより現在ポートフォリオの株式の割合を50%(先進国株式38%、新興国株式12%)、あとは国債と現金としています。

基本的にはFRBのセオリーにないスタンス及びイエレン長官から出てきた増税の話が気になるため、これまでの強気姿勢を変更しニュートラルな様子見スタンスとしています。

しかしながら、ポジティブ要因からの旨味もうまく取り込みたい気持ちがあります。

従って株式50%の投資信託に加え、ネガティブな要因であるインフレを旨味に変え、ポジティブ部分の旨みも得られる可能性の高い米国銀行株のJPモルガンを5%保有したいと思います。

ついては中立よりも少し強気スタンスの株式55%としたいと思います。

 

一方で新興国株式に関しても注視しています。

ここのところ中国及びブラジル、インドなどの新興国の株式が下落傾向にあります。

中国経済の好不調を図るドイツ製造業PMIが好調を維持しているため、中国の実経済はまだ正常に動いていると考えられます。

しかし、米長期金利高から来るドル高傾向が新興国が抱えるドル建て債券の負担を増加させ、かつ輸入品価格高騰を招き重しとなっていることが考えられます。

実際に米長期金利上昇の影響を受けているナスダックとMSCIエマージングETFの動きを比較すると似たよう動きをしています。

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こちらもポートフォリオから減らすかどうか、金利の上昇の影響を注視しながら探っていきたいと思います。

 

以上