投資家見習いのブログ

世界の地政学的リスクと経済指標を独自の数値で可視化し、マーケットを語ります。

【11/21-11/25週の世界のリスクと経済指標】

先週の評点:

 

リスク   5点(35点):良化 (基準点30点) 

経済指標  -4点(62点):悪化 (基準点66点)

 

 

【リスク】

 先週のリスクはプラス5ポイントの良化となりました。

先週は中国での新型コロナの1日での新規感染者数が過去最多となったことで、より需要減速が深まることが観測され、原油価格が大きく反落しました。加えて欧州でのロシア産原油に対する上限価格が予想より高めに設定され、かつその価格に関して加盟国内で意見がまとまらず協議が停止したことも後押しとなっています。エネルギー価格が軟調に推移していることで、インフレ抑制にも追い風となっています。

 

また、外交では欧州のミシェル大統領が12/1に訪中して習近平氏と会談することを発表しました。仏マクロン大統領も年明けに訪中を予定しており、先週のG20サミットを契機に、中国と欧州の間の関係がやや雪解けに向かっているような印象です。中国に対して手綱を緩めることは禁物ですが、無用な対立を避けるためにも一定の関係改善は歓迎されるものだと考えます。

 

 

【経済指標】

 先週の経済指標はマイナス4ポイントの悪化となりました。

欧州のPMIは50を下回る低調な中、若干改善したり悪化したりとまちまちな結果となりました。

また米国PMIは、これまで50以上の水準を保っていた製造業も47.6となり、46.1と低調だったサービス業と合わせて景気減速傾向が顕著となってきました。中国→欧州→米国と景気の減速が徐々に波及してきた印象です。

 

 

【先週のマーケットの振り返りと考察】

 先週の株価指数は、香港ハンセン指数が中国の新型コロナ感染拡大を受けて下落する一方、欧米株式は堅調に推移しました。

先週は米国市場がThanks Givingでの休場だったことに加え、材料不足から動きの少ない週でしたが、PMIと11月FOMC議事要旨の発表によりセンチメントが上向いたことが印象的でした。

 

 米国の製造業PMIが予想50に対して47.6と大幅な低下を示しました。既に6月から景気の好不調の基準である50を下回り46.1に沈むサービス業と共に、米国も本格的な景気減速期に突入したと言えます。そして景気減速と共にインフレも徐々に落ち着いてくると思われます。

 

 続く11月FOMC議事要旨で注目されたのは下記の2点です。

①参加者の大部分が引き上げペースの減速が近く適切となる可能性が高いと判断

FOMCの目標達成に必要なFF金利の最終的な水準は、従来の見通しを幾分か上回る

ピーク金利の上昇に関する議論は、既に前週に複数のFRB高官の発言があったことで、既に織り込まれていました。一方で利上げペースの減速に関する議論は、「参加者の大部分が」という文言により、想定以上にFRB全体がそちらの方向に傾いていたことを示しました。

 

これらのことからインフレの減速、FF金利の減速が意識され、センチメントが改善したと考えられます。株式市場と共に前週には一時142円台に回復していたドル円も139円前半に下落し再びドル高が軟化しているのもそれを表しています。

 

ただ、米国の景気指数としてのMarkit PMIはマイナーであり、またFOMC議事要旨も既に終わった内容の確認であることから、大きく市場を動かすほどでもなかったと思います。重要なのはやはり次週に控えるPCEデフレーターやISM製造業景況指数、そして雇用統計であり、これら結果で次週は大きく市場が動くと思われます。

先週の新規失業保険申請件数は24万件と予想外に上昇し、足元の雇用の悪化を示しています。雇用統計にて更なる失業率の上昇が示されればインフレ鈍化が明確になるため、注視したいと思います。

 

以上