投資家見習いのブログ

世界の地政学的リスクと経済指標を独自の数値で可視化し、マーケットを語ります。

【9/14-9/18週の世界のリスクと経済指標】~調整が続く米テック株のオーバーシュート~

先週の評点:

リスク   -2点(40点):悪化 (基準点42点) 

経済指標  +5点(110点):小幅良化 (基準点105点)

 

 

【リスク】

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先週はCOVID-19の欧州での感染拡大が再度本格化してきました。

フランスでは1日当たり13千人超増加、英国でも4千人を超え、イスラエルでは先進国で初めて再度ロックダウン措置を行うこととなりました。

死亡率は下がっていますが、夏のバカンスシーズンを終え北半球が冬に向かう中で急速に感染者数が広がりを見せていることで再び経済への影響も心配されます。

また英国のEUからの離脱に関して、前週に英国議会に提出されたEUとの離脱合意の骨抜き修正案に対して、英議会与党からも反発があり「議会の事前承認を条件」と追加修正されましたが、逆に修正案自体は21日週に下院議会を通過する可能性が高まりました。

リスク面ではやはり欧州が中心になってきた印象があります。

 

全体としてはCOVID-19の感染者急増とブレグジット関連の悪化でマイナス2ポイントの小幅悪化としました。

 

 

【経済指標】

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先週はFOMCが開催され、FRBによる今後の金融政策の方針が示されました。

大きくは下記の2点が示されました。

①少なくとも2023年頃まではゼロ金利を維持

②期間平均でインフレ目標2%を達成し中長期的なインフレ期待が2%で留まり続けるまで緩和姿勢を維持

上記2点はこれまで既にパウエル議長から示されていた内容でサプライズはなく、一方で今後COVID-19からの経済回復には一掃の財政政策が必要であることも繰り返し言及されました。

それにより現時点での金融政策の出尽くし感と、それを打開するには与党共和党と野党民主党にて折り合いがつかずに先延ばしにになっている追加経済対策に頼らざるを得ない状況が浮き彫りになりました。

 

まちまちな米国指標に対し、中国本体と、豪州、欧州などの中国景気に左右される国々の指標の良さが表れ、全体としてはプラス5ポイントの良化となりました。

 

 

【先週の振り返りと考察】~調整が続く米テック株のオーバーシュート~

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先週は上海総合指数が週足上昇、それ以外は微減および微増という値動きでした。

しかし、米国株価指数3週連続下落となり、特にナスダックは9/2の最高値から10%の下落となりました。

ここで、他の株価指数の推移を見ながらこの下落を確認していきます。

 

まずナスダック総合指数の日足チャートです。

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9/2の最高値以降の急落でも何とか耐えていましたが、ついに日足50MAを割り込みました。

 

次に米国の代表的な小型株指数であるラッセ2000です。

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これまで相場を牽引して来た大型テック株が含まれていない分、3/23の底値からの回復度合いは地味ですが、順調に下値を切り上げています。

 

次に日経225です。

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23500円辺りで上値抵抗に遭っているように見えますが、50MAははっきり上回り下値を切り上げて来ています。

つい先日政権交代があった割には堅調に推移しています。

 

次にドイツDAXです。

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こちらも日経225同様、13250ユーロ辺りで上値抵抗にあっていますが下値は切り上がって来ています。

 

次に上海総合指数です。

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こちらは値動きが激しく、米株同様9月に入って大きく下落し50MAを下回っていましたが、ここに来て回復し50MAに戻って来ています。

 

これらから、ナスダックを中心とした米株指数は最高値から大きく調整していますが、それ以外は堅調に推移していることがわかります。

少し違う動きをする上海総合指数は別にして、先進国では大型テック株を多く含むナスダックとS&P500だけがコロナショックを乗り越えて最高値を更新しており、やはりそれらの銘柄の買われすぎに対する調整であると考えられます。

欧州、日本などに影響の大きい中国経済は毎月の経済指標が示すように強く回復しており、中国の工業需要の強さを表す銅先物価格は年初来高値を更新していることからも、堅調な回復基調が示されています。

また9月に入って下落していた原油先物価格も40ドル台を回復していることもそれを後押ししています。

 

従って、ここ最近の米国株の下げは、大型テック株を中心とした銘柄が急速に上昇しオーバーシュートした反動で調整しているとものと考えます。

先週末はトリプルウィッチングでもあっただけに、週明けは戻る可能性が高いと思いますが、どこまで調整が続くのか注目したいと思います。

 

以上