投資家見習いのブログ

世界の地政学的リスクと経済指標を独自の数値で可視化し、マーケットを語ります。

【3/7-3/11週の世界のリスクと経済指標】〜3月FOMCでの利上げを前にして〜

先週の評点:

 

リスク   -3点(33点): 悪化 (基準点36点) 

経済指標  +3点(51点):良化 (基準点48点)

 

 

【リスク】

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 先週のリスクはマイナス3ポイントの悪化としました。

ウクライナ情勢は停戦協議が散発的に行われながらも妥結せず、戦況は膠着状態が続いています。

多くの欧米企業がロシアでの事業停止もしくは撤退を決め、かつ米英はロシア産の化石燃料の輸入を禁止するなど、ロシア経済を孤立させ圧力をかけています。またロシア側も外資企業に対して事業停止した場合は資産押収する報復措置の検討に入ったと報道されています。

 

一方でポーランド旧ソ連製戦闘機を米軍経由でウクライナに供給する動きがありましたが、ロシアを必要以上に刺激することを警戒しバイデン政権は一転反対する方針を示しました。またバイデン大統領は、NATO加盟国の領土は守るが、ウクライナでロシアと戦うことで紛争を拡大させるリスクはとらないと言明し、ウクライナが求める飛行禁止区域は設定しないとの考えも示しました。

ここにきて、やや矛盾を感じさせる米政権の弱腰姿勢が改めて散見されました。

 

 

【経済指標】

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 先週の経済指標はプラス3ポイントの良化となりました。

米CPIは前回7.5%、予想7.9%に一致の7.9%となり、40年振りの伸びとなりました。ウクライナ侵攻で原油価格がさらに大幅に伸びる前の時点でもインフレが高まっており、次週のFOMCでの利上げを後押しする形となりました。

日本の国内企業物価指数も予想8.7%に対して9.3%と大幅に上振れとなり、我々の足元でも急速にインフレが影響を及ぼしてきていることが示されました。

 

またECBはPPEPを予定通り今月末で終了すると共に6-9月期にもAPPも終了する方針を示しました。これで強い緩和継続を明言しているのは日銀のみとなり、円安が加速し117円に突入しました。

 

次週は米小売売上高、3月FOMCBOE政策金利に注目です。

 

 

【先週のマーケットの振り返りと考察】

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 先週の株価指数は前週からのウクライナ情勢の悪化を織り込み全体的に下落基調でしたが、ここ数週間下落の激しかった欧州株は3/7を底に反発し、大きくプラスして週を終えました。

一方で欧米が手放したロシア資産を買い進めている中国企業への不安が高まり、上海総合と香港ハンセン指数は下落を強めました。

米国株指数は3/7を底に一旦は反発したものの、CPIの伸びにより週末にかけて下落していますが、下げを先導していた欧州株式の反発は支えとなると思われます。

 

 

〜3月FOMCでの利上げを前にして〜

下記は先週の米国債イールドカーブの変化です。

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 前週はウクライナ情勢の懸念が高まりからイールドカーブは景気後退を織り込み、下方向へのブルフラットニングを示していましたが、先週はこれまで通りの「景気過熱・将来利上げ」のセオリー通りの上方向へのベアフラットニングとなっています。

つまり債券市場はロシアのSWIFTからの排除、米英のロシア産化石燃料の禁輸で当面の大きな悪材料が出尽くしたことでウクライナ情勢を織り込んだと考えられます。

他の指標を見ても3/7の原油価格の頭打ち、独DAXの底打ち、ユーロドルの底打ちが確認され、マーケットの注目の的は米国のインフレ対策に戻っているものと考えられます。

 

次週は15−16日に3月FOMCがあります。

前週に3/1にパウエル議長が議会証言で発言したように、既に今月からの利上げは確実です。

そしてその議会証言後にマーケットがポジティブに反応したように、今月からの利上げは既にマーケットは織り込み済みだと考えます。

 

また今回のFOMCではFRBメンバーによるドットチャートが示されます。

下記のFedWatch金利先物が示す通り、3/12現在マーケットは2022年に7回の利上げを織り込んでいます。

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12月FOMCのドットチャートでは22年は3回の利上げが示されていました。

今回その中心値がマーケット予想の7回と一致するのかが注目されますが、ウクライナ情勢による景気悪化が懸念される中では、7回でもややタカ派な印象です。同時に7~9月からのQTも示唆されているため、FRB当局者の予想がこれ以上にタカ派に振れることは少ないのではないかと推測します。

 

 強いインフレに対する強い利上げ懸念に、ウクライナ情勢の悪化からの一層の資源高も加わって年初から株価調整は加速し、特にナスダックは最高値より20%減となり割高感は収束してきました。

また上述した様にウクライナ情勢は既に織り込んでいると思われます。

そのため、今回のFOMCは既にコンセンサスとなっている内容が明示されマーケットの不透明感が払拭されることで無難に通過し、今後は株式は徐々に上方向に反応する可能性が高いと考えます。

 

ついては先週、長期投資のポートフォリオを昨年10月から継続していた「弱気」を「強気」に変更しました。具体的にはMSCIコクサイ30%、ナスダック100 30%、国内債券25%、現金15%としました。

 

2020年3月にゼロ金利となって以来、わずか2年での利上げ局面となります。

激動の2年間でしたが、自らの金融リテラシーの向上を目指す私にとっては、絶好の学びの機会となっています。

ウクライナでは人々の苦しい状況が続いており日々心が痛みますが、一方でマーケットの大きな変化の局面を冷静に観察していきたいと思います。16日はPCの前に正座して発表を見守りたいと思います。

 

以上