【1/24-/1/28週の世界のリスクと経済指標】
先週の評点:
リスク -2点(34点): 悪化 (基準点36点)
経済指標 -1点(102点):小幅悪化 (基準点103点)
【リスク】
先週のリスクはマイナス2ポイントの悪化となりました。
先週はウクライナを巡るロシアの侵攻問題が緊迫感を増してきました。
ウクライナ国境周辺への10万人規模の軍隊の展開を続けるロシアに対し、米国は欧州に8500人規模の部隊を派遣する準備があるとしています。在ウクライナ大使館職員の退避も開始し、ロシアのウクライナ侵攻がいつ起きてもおかしくないと緊張を高めています。
また米欧はロシアが求めていたNATOの東方不拡大の合意を拒否を表明し、お互いの主張の妥協点が見えず外交的交渉は暗礁に乗り上げています。
ウクライナがNATOに加盟することによって西側の影響力が目前に迫り、緩衝地帯がなくなることを恐れるロシアが実力行使に出る可能性を否定できなくなっています。
【経済指標】
先週の経済指標はマイナス1ポイントの小幅悪化でした。
欧米のPMIはまちまちで、供給制約の緩和の影響を受けたドイツが製造業、サービス業ともに上振れた一方で、米国はオミクロン株やインフレの影響が重く、失速状態にあることが示されました。
12月PCEコアデフレーターは前回4.7%、予想4.8%に対して4.9%と上振れし、インフレの継続を示しました。
FOMCに関しては後述します。
【先週のマーケットの振り返りと考察】
先週の株式指数は、前週に下げ幅の大きかった米国株が回復した一方、前週に下げ幅の少なかったアジア株(日経、上海総合、香港ハンセン)、欧州株(DAX、FTSE)などが引き続き下落しました。
中国株はFRBの引き締め政策から外国人投資家が売りに走ったのに加え、中国当局が不公正競争を取り締まる法整備を完成させるとの報道からハイテク株を中心に下落しました。
〜戻る株価と続くフラットニング〜
資産買入プログラムの3月終了と共に3月利上げ開始の方針が示され、毎会合での利上げの可能性も排除せず、利上げ開始後にQTを開始することも示唆されました。
これらはややタカ派ですが、事前に予想されていた内容の範囲となった印象です。
一方で利上げ幅や利上げペースに関しては明言されず、不透明感が残ったまま3月のFOMCまで持ち越しとなりました。
それを受けて、直近の大きなイベントを乗り越えた安心感からか、28日には株式指数は大きく反発し、ナスダック3.13%、S&P500が2.44%高、ダウ平均が1.65%高となり、週間でもプラスで終えています。
一方で、これで安心して再び株を買い向かえるのかと言うと、そうではないと考えます。
先週は一旦株高となったとは言え、イールドカーブは相変わらずフラットニングを強めています。
チャートで見ても、一旦切り返したS&P500に対し、US10Y-US2Yの長短金利差は縮小傾向を強め、昨年10月上旬には1.3%弱あったものが0.6%と4ヶ月弱で半分以下の水準になってきました。
今回のFOMCで、FRBは次回会合から利上げを開始し、今後高いインフレ率が収束するまで辛抱強く続けていくことが明確になりました。
それにより利上げを反映して短い2年債利回りが上昇していますが、一方で利上げによって抑えられる将来の景気を反映して10年債利回りが上昇しない状態が続いています。
イールドカーブがフラットニングを続けるからと言って、株価が急落するわけではないと思いますが、債券市場は強い引き締め姿勢から来る影響を正確に織り込んでいるものと思われます。
先週は大型ハイテク株の決算発表が行われ、AAPL、MFSTなどは好決算が素直に受け止められ決算発表後からそれぞれ7%弱上昇しています。
半導体不足やインフレから減速する可能性も考えられましたが、足元では見事に業績を伸ばし株価も回復しています。
ただ、利上げやQTの作用によって景気が実際に冷やされるのはこれからであり、従来よりも高いインフレ率が収束するまで辛抱強く続けられる引き締めに対し、今後も企業の業績が耐えられるかは未知数です。
そう考えると、やはり当分は株式を買い向かうタイミングではなくインフレと景気のバランスをじっくりと観察していく状況か思います。
以上