投資家見習いのブログ

世界の地政学的リスクと経済指標を独自の数値で可視化し、マーケットを語ります。

【2023年1/23-1/27週の世界のリスクと経済指標】

先週の評点:

 

リスク   +1点(31点):小幅良化 (基準点30点) 

経済指標  +13点(94点):大幅良化 (基準点81点)

 

 

【リスク】

 先週のリスクはプラス1ポイントの小幅良化となりました。

前週にウクライナへの戦車供与に二の足を踏んでいたドイツですが、ポーランドを始めとした周辺国と国内からの圧力により、米国と共に供与を決定しました。これにより西側諸国からの戦車供与が321両となり、春以降にウクライナ軍に配備され、領土奪回を目指すこととなります。一方でウクライナ軍はさらに戦闘機の供与も西側諸国へ求めており、要求がエスカレートし、ロシアとの対決姿勢が鮮明化する中、どこで線引きをするのか難しい状況となってきています。

 

またその一方、ロシアのラブロフ外相が南アフリカを訪問し、外相会談を行いました。その場で2月に中露との合同演習を行うことも発表され、中露を中心とした専制主義国へ配慮する姿勢が示されました。

 

 

【経済指標】

 先週の経済指標はプラス13ポイントの大幅良化となりました。

欧州PMIは暖冬によるエネルギー価格の下落によるこのところのインフレ鈍化を反映してか、概ね上向きな結果で基準となる50を回復する数値も示されました。

一方で米国のPMIは、前月よりはやや改善したものの50は大幅に下回っており、景気悪化が示されました。

12月PCEコアデフレーターは、CPI同様、予想に一致も4.4%となり前月から明確に鈍化しました。

 

 

【先週のマーケットの振り返りと考察】

 先週の株式指数は日米株式を中心に大幅に反発しました。特にナスダックは、4.32%の大幅高となりました。

 

先週の米国市場の動きとして考えられる要因は下記の通りです。

 

カナダ銀行が利上げの一時停止表明で、米国でも利上終了時期の見極めステージに入ってきたことが連想された。

②TSLAが予想を上回る決算を発表したことでリスク選好となった。

 

カナダ銀行は先週25bpsの利上げを発表しましたが、同時にこれまでの急速な利上げの影響を見極めるために、利上げを一時見合わせる見通しであること表明しました。そのためFRBも近々に利上げ停止に向かうのではないかと連想されました。ここ最近のインフレのピークアウト感も相まって利下げへの転換が近いと解釈され、市場環境が緩んだと考えられます。

 

また、TSLAが売上高、EPS共に予想を上回る決算を発表したことで、次週に本格化する大手ハイテク株の決算期待が膨らみ、リスク選好姿勢が先行した形となりました。

Factsetによると、これまでS&P500の29%が4Q決算を発表しましたが、69%がEPSで、60%が売上高で予想を上回りました。そのため、ここまでの4Q決算の着地としてはまずます、と捉えられていると考えられます。

 

 一方で2023年1QのEPSのガイダンスを発表した企業では、2社のポジティブに対して17社がネガティブとなりました。MSFTは週間では3.31%高となりましたが、主力のクラウド事業の1-3月期での減速や企業向けソフト販売の鈍化など冴えない見通しを示しました。またINTCも1-3月期での厳しい業績見通しを示しました。

株式指数は反発していますが、ガイダンスは楽観できる状況ではなく今後の決算発表でも1-3月期の業績は悪化が示されると考えます。

 

現在は逆金融相場であり、本来次に来るのは高水準で金利が維持される中での逆業績相場であるはずです。そういう意味ではMSFTやINTCによって示された見通しの悪化は当然の話であり、それは今後の決算でも深くなるのではないかと考えられます。

 

 一方でマーケットは、一足飛びに金融相場に移行することを織り込んでいる気がします。本来は逆業績相場で企業業績と共に賃金インフレが落ち着く時期が必要ですが、それが考慮されていません。賃金インフレが収まらなければ高水準の金利は維持され続け本格的な金融相場にはなりません。

つまりはここ最近の株式の上昇は、あくまでも逆金融相場の終了期待の一時反発であり、金融相場として株式が素直に買い上がる時期ではまだないと考えます。

ついては引き続き弱気のポートフォリオを維持します。

 

次週はFOMCにECB、BOE政策金利発表、仏独ユーロCPI、米雇用統計にISMの重要指標の発表に加えてCAT、AMD、META、AAPL、AMZN、GOOGLなどの主要企業の決算発表が重なり動きの激しい週となりそうです。FOMCでは25bpsの利上げ減速予想は織り込み済みとなっていますので、パウエル議長の発言に注目が集まります。

 

以上