投資家見習いのブログ

世界の地政学的リスクと経済指標を独自の数値で可視化し、マーケットを語ります。

【2023年3/27-3/31週の世界のリスクと経済指標】

先週の評点:

 

リスク   0点(30点):中立 (基準点30点) 

経済指標  -10点(46点):大幅悪化 (基準点56点)

 

 

【リスク】

 先週のリスクはプラスマイナスゼロの中立となりました。

先週は民主主義サミットが、初参加国8カ国を含む120カ国が参加して開催されました。合わせて監視技術等の輸出管理を巡る多国間枠組みを20カ国に拡大することを発表しました。民主主義サミット開催自体が世界の分断を煽っているとの指摘がありますが、それに加えて中国を念頭に置いた輸出規制の枠組みを強化したことで、米国の焦りと強引さが目立ったような印象です。共同宣言への署名も73カ国に留まり、6割程度からしか賛同を得られず、ここでも米国の影響力の後退が顕著に示された形となりました。

 また、仏トタルと中国とのサウジ産LNGの取引で初めて人民元決済が行われたり、ブラジルと中国の間で米ドルを経由しない貿易を行うことが発表されたりと、中国を中心に脱米国の動きが加速しています。中庸を許さないバイデン政権の強引さに対して距離を置く国々も、具体的な動きを強めています。

 

 

【経済指標】

 先週の経済指標はマイナス10ポイントの大幅悪化となりました。

ユーロ圏のHICPは総合指数は前月比8.5%、予想7.1%に対して6.9%と大幅に下振れましたが、コア指数は前月から上昇しました。

また、米国PCEコアデフレーターは前月、予想4.7%に対して4.6%とCPI同様、わずかに鈍化が示されました。

 

 

【先週のマーケットの振り返りと考察】

 先週の株式指数は堅調に推移し、多くの指数が強く反発しました。

 

 先週は週明けからファーストシチズンズバンクシェアーズ(FIZN)によるSVBの買収決定が報道されました。またFIZNに円滑に移管できるように、米金融当局が緊急融資ファシリティの更なる拡張を検討していることも報道されました。これによりSVB騒動は収束することとなり、銀行不安が後退しセンチメントが改善しました。

 

 そんな中で、減収の決算発表したマイクロンCEOが「急成長するAI産業が需要を押し上げ、半導体業界は25年に再び記録的な売上高を上げる可能性がある」と明るい見通しを示しました。これをきっかけに半導体関連株が急上昇し、マイクロンは7.19%高、インテルも7.61%高となりました。同時にナスダック100は、直近高値を上抜けるとともに安値から20%高となり強気相場入りしました。

 

 また金曜日のPCEデフレーターの発表では、コア指数が前月、予想共に4.7%に対して4.6%、前月比でも前月0.5%、予想0.4%に対して0.3%となり、再びインフレの減速が示されました。

 

全体をまとめると、下記の通りとなります。

 

①表面的な銀行不安が収束。一方銀行不安により潜在的な景気後退の可能性が高まる。

②PCEデフレーターも鈍化し、本格的なインフレ鈍化期待が高まる。

③次代の技術であるAIの活用が具体性を持ってきたことで、キャッシュリッチでありながら半導体およびその技術を活用で恩恵を受けるハイテク企業への期待が高まる。

 

その結果、ハイテク株を中心に反発したと考えられます。

 

 現在の相場とは別軸で、次世代の技術と思われていたAIが、Chat GPT4のリリースによって身近な存在となり、ハイテク企業の業績が再び回復する期待が高まってきていると捉えられます。OPEN AIに巨額出資をしているMSFTやAI用GPUを供給するNVDAがここ最近、特に強さを維持していたのはこのような背景があったと考えると合点がいきます。

 

とは言え相場観としては、未だ逆金融相場から逆業績相場へ移行する時期と捉えています。一方で銀行不安からの信用収縮により景気後退が早まる可能性が強く、金利の上昇に終わりが見えてきたことも事実です。

ついては株式20%の超弱気のポートフォリオを弱気の株式30%に変更、AI企業を多く含み強気相場入りしたナスダック100のインデックスを10%増やしたいと思います。

 基本的には徐々に株式の上昇のフェーズが近づいていると考え、今後はその時々の状況をしっかり確かめながら、段階的に株式の割合を増やしていくことになると考えます。イメージとしては利上げの終了が示された時点で中立(株式40%)、利下げが示され金融相場になった時点で強気(株式60%)としたいと思います。

 

以上