投資家見習いのブログ

世界の地政学的リスクと経済指標を独自の数値で可視化し、マーケットを語ります。

【2023年4/24-4/28週の世界のリスクと経済指標】

先週の評点:

 

リスク   2点(32点):良化 (基準点30点) 

経済指標  -11点(72点):大幅悪化 (基準点83点)

 

 

【リスク】

 

 先週のリスクはプラス2ポイントの良化となりました。

先週は韓国の尹大統領が国賓として訪米しバイデン大統領と首脳会談を行いました。ワシントン宣言では対北朝鮮を念頭に置きながら米韓共同での東アジアでの抑止力を強化を訴えました。米国の対中政策でも重要な韓国が、前政権とは打って変わって米国との同盟深化に反転してきたことは、日本を含めたインド太平洋地域の安定のためには歓迎すべき変化だと考えます。

 

【経済指標】

 先週の経済指標はマイナス11ポイントの大幅悪化となりました。

米1-3月期GDPが発表され、予想2.0%に対して1.1%と下振れましたが、ここ最近の利上げペースと比較すると意外と堅調に推移している印象です。

1-3月期雇用コスト指数も1.2%と上昇しており、やはり雇用の粘り強さが景気を保っていることが推測されます。

また3月PCEコアデフレータもほぼ横ばいとなり、インフレ率にもその粘り強さが影響していることが考えれられます。

 

【先週のマーケットの振り返りと考察】

 先週の株価指数は日米の主要指数は堅調に推移しました。米国株では大手ハイテク企業の好調な決算により主要3指数ともに反発し、ナスダック100は年初来高値を更新した一方で、中小型株で構成されるRussel 2000は反落しました。

 

先週の動きの考えられる要因は下記の通りです。

・大手ハイテク企業決算が予想を上回って好調だったことでハイテク株が反発。

・FRCを中心とした中堅銀行への預金流出による影響が予想以上であったことが判明し、連鎖的に中小企業の株価が低迷。

 

 先週はGOOGL、MSFT、META、AMZNなどの大手ハイテク企業の1Q決算発表がありましたが、売上高、EPSが予想を上回り、概ね好調さが示されました。また各社から大きな収益源であるデジタル広告収入の回復が示されました。そのためクラウド事業の減速が示されたAMZN以外は週を通して株価は反発しました。

 

 一方でファーストリパブリック銀行の1Q決算発表で預金残高が予想1367億ドルに対して1045億ドルと大きく下回ったことで不安が再燃し、株価は週間で75%下落しました。また週末にはFDICの管理下に置かれるとの報道がなされています。FRBの報告書で中堅金融機関に適用される規則を見直す方針が表明されたこともあり、これらの動きを受けて地銀からの融資逼迫が懸念される中小型株が下落したと推測できます。

 これらのことから、融資逼迫が懸念される中小型株から引き上げられた資金が、好決算を示した大型ハイテク株へ消去法的に流れ、二極化が進んだと考えられます。

 

 他方でファンダメンタルズでは、PCEコアデフレーターが予想4.5%に対して4.6%と上振れました。また1-3月雇用コスト指数では予想1.1%に対して1.2%と加速し、雇用市場における根強いインフレ圧力が示されました。

 

 大手ハイテク企業業績は早くも底打ち感が出ている状況で、利上げ停止が見え始めている現在、ソフトランディングを想定するなら上について行きたい衝動に駆られます。しかし信用収縮により近い将来の景気後退が想定されながらも、まだ雇用とインフレは強さを維持しており、個人的にはもう少し明確なサイクル転換を確認したいと感じています。また、米債務上限問題も気になります。共和党が歳出削減を条件に26日に下院を通過させた法案は、民主党が過半を握る上院では拒否されることが確実視されており、早ければ6月にも偶発的な米国債のデフォルトリスクが考えられます。

 私は前週にMSCIコクサイを10%増やし、ポートフォリオを中立としていましたが、保有していた10%分のナスダック100を一旦売却しました。28日の日銀金融政策決定会合でのYCCの修正観測が出ていたため、円高に振れた時のダメージも考慮しました。結果的に緩和継続で円安となりましたが、マーケットは引き続き7月頃までのYCC修正を見込んでおり、円高による円建て資産の減少リスクにも注意が必要だと考えます。

ついては先進国株式30%、先進国債券(ヘッジあり)15%、金(ヘッジあり)5%、現金50%の弱気のポートフォリオとします。

 

次週は5/2-3でFOMCが開催されますが、足元で雇用とインフレが高止まりしている状況では、市場の予想通り25bpsの利上げとなると思います。

またこの利上げにより政策金利は5.00-5.25%となり、3月FOMCのドットチャートで示された金利に到達します。このまま利上げ停止を示唆するのか、それともデータ次第での利上げに含みを持たせるのか、パウエル議長の会見での発言には注目したいと思います。

 

以上