投資家見習いのブログ

世界の地政学的リスクと経済指標を独自の数値で可視化し、マーケットを語ります。

【2023年2/27-3/3週の世界のリスクと経済指標】

先週の評点:

 

リスク   -3点(27点):悪化 (基準点30点) 

経済指標  -9点(68点):悪化 (基準点77点)

 

 

【リスク】

 先週のリスクはマイナス3ポイントの悪化となりました。

ユーロ圏HICPは総合指数は前月比で低下となったものの、コア指数は前月、予想共に5.3%に対して5.6%と再加速を示し、米国同様根強いインフレが顕在化しました。それと共にラガルドECB総裁が3月ECB会合での50bpsの利上げに言及し、引き続き強い姿勢を貫くことを表明しました。

 一方でゼロコロナ政策を解除した中国では、その後の緩和策の効果もあってか景況感が回復してきました。PMIも軒並み50を上回り、中国経済の復活の兆しが見え始めました。

 

 政治面では、インド太平洋地域での西側諸国の重要なパートナーとなっていたベトナムにおいて、親米派フック国家主席が失脚し、親中派のトゥオン氏が新国家主席に選ばれました。今後ベトナムが親中に傾斜する可能性があり、西側諸国にとっては動向が注目されます。

 

【経済指標】

 先週の経済指標はマイナス9ポイントの悪化となりました。

フランス、ドイツ、ユーロ圏のCPIにて横ばいもしくは上昇を示し、欧州でも根強いインフレが示されました。

また米国ISM景況指数では、製造業が前月比で悪化が示されながらもサービス業は、前月比ほぼ横ばいが示され、粘着質なサービス業の好景気が示されました。これをポジティブに捉えるかネガティブに捉えるか見方が分かれ、金融相場がチグハグしている印象です。

 

【先週のマーケットの振り返りと考察】

 先週の株価指数は概ね堅調に推移しました。2月に反落した反動もあり、先週は下値拾いの様相を呈しました。

 

先週の株式市場の反発の考えられる要因をまとめると下記の通りとなります。

・2月に指標の上振れで利上げ再加速や長期化観測は、前週までである程度株価に織り込まれた。

・そんな中、アトランタ連銀総裁が夏半ばから後半での利上げ停止の可能性を示唆するハト派発言で楽観が勝る。

 

 先週は、前週のPCEデフレーターの再加速を受けて重い相場となると思いましたが、やはり「ノーランディング」を期待する楽観が根強く残っていることが証明されました。

アトランタ連銀総裁の発言がハト派と認識されたことが一因ですが、そもそも「夏半ばから後半での利上げ停止」と発言した内容がそこまで楽観を助長するものなのか疑問です。

パウエル議長が盛んに発言しているように、全てはデータ次第であり、データを見る限りは、サービス業を中心に需要は堅調で、足元ではインフレが再加速しています。

 金融政策の不透明感が増す中で、一人のFRB高官から示されたハト派予想を頼りにセンチメントが変化するのは理解できなくなはいですが、やはり違和感が残ります。しかもアトランタ連銀総裁はFOMCでの投票権を持ちません。

 

あくまでも必要なのは、データを根拠としたファンダメンタルの事実であり、そう考えると現時点ではついていくには根拠が薄い反発だと思います。

とは言え、現在は金利が高いがインフレ率も雇用も根強いという不透明感の高い状況であり、株価が上下に抜けきれない、膠着状態が続くのではないかと感じます。

 

次週は7日にパウエル議長発言、10日に米雇用統計の発表があります。雇用統計では、前月のNFPの大幅増が年末の大寒波から一転した暖冬による一時的な影響という話もありますが、NFPが引き続き強さを見せるのか注目します。

 

以上