投資家見習いのブログ

世界の地政学的リスクと経済指標を独自の数値で可視化し、マーケットを語ります。

【2/14-2/18週の世界のリスクと経済指標】〜欧州エネルギー安保で拡がる経済的分断〜

先週の評点:

 

リスク   -2点(34点): 悪化 (基準点36点) 

経済指標  -9点(62点):大幅悪化 (基準点71点)

 

 

【リスク】

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 先週のリスクはマイナス2ポイントの悪化となりました。

先週はウクライナ情勢を巡る様々な情報が行き交いました。

ロシア側は侵攻するつもりはないと言いながらも国境付近への軍備増強の手を緩めず、一方で米国はロシア側から発せられるニュースをフェイクだと言い、バイデン大統領はプーチン大統領ウクライナ侵攻を決断したと確信し、数日中にも攻撃を始めるとしています。

真偽のわからないヘッドラインに振り回され何が正しいのがわかりませんが、2/20で北京五輪が閉幕するタイミングも重なることから緊張感が一層高まっていることは事実です。

次週情勢が大きく動き、それに対して西側諸国がどのように対応するのか、引き続き注目したいと思います。

 

 

【経済指標】

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   先週の経済指標はマイナス9ポイントの大幅悪化となりました。

 前週に議論した日本の総合CPIは前回0.8%、予想0.6%に対して0.5%と低下しましたが、エネルギー全体で17.9%増(前月16.4%増)、生鮮食品以外の食品が1.3%増(前月1.2%増)といずれも原材料の輸入価格の高騰を受け上昇を強めました。一方で携帯電話料金が53.6%減となり総合指数を1.47%押し下げているため、実質的には2%に近い水準を保っている状況です。

今春も企業による商品の値上げ予定が相次ぐため今後の推移に注意が必要です。

 

またFOMC議事要旨の発表がありましたがサプライズなし、米1月小売売上高は予想外の3.8%と強さを見せ、高インフレの中でも米消費が堅調に推移していることが示されました。

 

 

【先週のマーケットの振り返りと考察】

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 先週の株価指数は、ウクライナ情勢のヘッドラインに振り回され全体的に軟調となりました。

当事国である露RTS指数、またロシアからのエネルギー供給不安で独DAXの下落が顕著となりました。

ナスダックは昨年末来13.4%減で50MAが200MAを下抜けるデッドクロスの状態となり、下降相場に入ったことが示されました。

米国債イールドカーブウクライナ情勢の悪化から安全資産への逃避と、3月50bpsの利上げ観測がやや落ち着いたことで2年債利回りが低下しスティープ化しました。

また原油ウクライナ情勢の悪化に伴い一時95ドルまで上昇する一方、イランの核合意交渉の前進で原油供給が増えるとの観測から一時90ドルを割るなど、ウクライナとイランのヘッドラインによる綱引きで大きく動きました。

 

次週もウクライナ情勢に振り回される相場が予想されます。

 

 

〜欧州エネルギー安保で拡がる経済的分断〜

 ロシアの天然ガス輸出の39.2%(2021年6月時点)が欧州向けと言われていますが、ロシアは現在、欧州に対してウクライナ情勢での揺さぶりをかけるために供給量を絞っています。

ロシア国営のガスプロムは欧州向けで21年に前年比8%減、足元の22年1月は全体の輸出量が前年同月比41%減で欧州向けの減少が顕著となっていることが見て取れます。

足元の天然ガス価格の高騰で高い利益を得られていることを背景に、ロシアは政治的な圧力を優先して強気になっていると思われます。

 

一方でそれに対抗するべく、アメリカとEUは1/28に欧州への天然ガス安定供給を維持するため連携するという共同声明を出しました。

そしてその声明の通り、米国が欧州向けLNGの輸出を増やしています。

1年前には全体の1割だった欧州向けのLNGの輸出割合が今年1月には6割にも上っています。

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日本経済新聞2/19朝刊1面より転載

 LNG輸送は、海上輸送が基本となるため輸出元での液化設備、輸出先での気化設備が必要となります。そのため、ガスのまま直接輸送できるパイプラインに対してコスト競争力がありません。

しかし、欧州での天然ガス価格自体の高騰や安全保障上の問題から急速に米国産LNGの競争力が上がってきています。

米国では液化能力を年内に2割増強する予定とされ、また新たなLNGプラントの設備投資も再開される模様です。米国から欧州向けの供給力は増加が見込まれ、米国が急速にロシアに取って代わろうとしています。

 

今後仮にロシアがウクライナを侵攻せずに撤退したとしても、ロシア産エネルギーに対する不安はなくなりません。

ロシアへのエネルギー依存の危険性を認識してしまった欧州は、多少コストはかかったとしてもロシア産エネルギーからの依存脱却を図り、米国を中心とした西側諸国からの導入に切り替えると思います。

 

一方でロシアも、欧州の減少分を補完するため、今年に入り中国向けで年100億立方メートル、ハンガリー向けで10億立方メートルなど権威主義国向けの新規追加契約を増やしています。特に中国は2019年にパイプラインが開通したため、供給量を増やしやすい状況となっています。

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WSJ 2/18記事より転載

 

これらが示唆するのは、経済的分断です。

これまではグローバリズムの中で経済的な効率が優先され、西側東側関係なく最適調達が行われていました。

しかし、中国を中心とした権威主義国の台頭で、世界は大きく変わってしまいました。

これまでは米中個別での経済的な分断が目立ちましたが、今回、それにロシアと欧州の問題が加わったことでエネルギー安保での民主主義陣営、権威主義陣営それぞれの連携に発展しました。それにより、より広範な経済的分断につながってきている気がします。

 

経済的効率よりもそれぞれの陣営の安全保障が優先される冷戦時の世界に戻りつつあると感じます。

そして分断により衝突の可能性が高くなると共に、経済的効率が下がる事によってインフレ下での私たちの生活コストをさらに押し上げることにもつながってくると思います。

 

以上

【2/7-2/11週の世界のリスクと経済指標】〜日本にも迫る高インフレの兆し〜

先週の評点:

 

リスク   -4点(32点): 悪化 (基準点36点) 

経済指標  -1点(35点):小幅悪化 (基準点36点)

 

 

【リスク】

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 先週のリスクはマイナス4ポイントの悪化となりました。

緊張が続くウクライナ情勢は、米独が首脳会談を行い、またプーチン露大統領とマクロン仏大統領の5時間に渡る首脳会談を行ってロシアに対する圧力と交渉が続きました。しかしながら、事態は好転せずロシアはベラルーシとも共同軍事演習を開始し、実質的にベラルーシ国内にも軍の展開を開始しました。

 

11日にはサリバン米大統領補佐官が北京五輪開催中のロシアのウクライナ侵攻の可能性に言及し、ウクライナに滞在する米国人に48時間以内に退避するように勧告したため、一気に緊張が高まりました。

アメリカ時間12日に急遽バイデン大統領がプーチン大統領と電話会談しましたが、米国はこれまでのように経済制裁の警告を繰り返しただけで事態は解決の方向へ向かっていません。

 

今度は15日にショルツ独首相がプーチン大統領と会談予定ですが、NATOとしての何らかの譲歩の方針を固めない限り各国首脳が単独で会談しても意味をなさないと思います。

 

 

【経済指標】

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 先週の経済指標はマイナス1ポイントの小幅悪化となりました。

注目の1月の米CPIは予想7.3%に対して7.5%、CPIコアは予想5.9%に対し6.0%となり、上振れしました。これにより、2年債利回りは一時1.6%、10年債利回りも2%を超え、さらにイールドカーブフラットニングを強め、金利が上昇する前から将来の景気後退を織り込みました。

インフレはまだ収まりを見せず、今後の金融引き締めに対するFRB当局者のタカ派姿勢を強める結果となりました。

 

 

【先週のマーケットの振り返りと考察】

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 先週の株価指数は好調な決算発表を受けて2/10の米CPIまでは堅調に推移しましたが、強い米CPIの結果により米国債利回りが金利が急上昇、それを受けてハイテク株を中心に大幅に売られました。

加えて2/11のNY時間にロシアのウクライナ侵攻の可能性が高まったことにより米株指数は大きく売られ、米国株のみ指数を大幅に下げ週を終えました。

先週は米CPIからの金利の上昇とウクライナ情勢の悪化のダブルパンチとなり、激動の1週間となりました。

次週もウクライナ情勢の動静により神経質な展開が続くと思われます。

 

 

〜日本にも迫る高インフレの兆し〜

さて、先週は日本国債利回りがYCCの上限である0.25%に達したことから、日銀が無制限買いオペ発動を発表し、利回り上昇を抑えにかかる緩和姿勢を示しました。

一方で米国では強いCPIの発表を受けてFRB当局者からも利上げペースの加速が叫ばれており、日本ではCPIが上昇しないとの理由で緩和傾向が続いていることにやや違和感を覚えます。

 

先週金曜日に発表された日本の企業物価指数を見ると、前月比+0.6%、前年比+8.6%と大きく上昇しています。

下記はここ1年間の企業物価指数の推移です。

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綺麗に右肩上がりで上昇しており、特に昨年10月からは世界的なインフレ高進から水準が一段上がっています。こう見ると日本もしっかりと影響は受けています。

 

一方で下記は消費者物価指数の推移です。

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日本は良いものを安く提供することが是とされる文化であるため、一般的には消費者への価格転嫁が難しいと言われています。

消費者物価指数は右肩上がりに回復して来ているものの、未だ目標である2%を大きく下回って低水準で推移しています。

 

従って現在は、企業はかなり強いコスト上昇圧力にさらされているものの、企業努力によって消費者市場にはまだそれが転嫁されていないと言えます。

もしくは、2020年4月からの携帯電話料金値下げの効果で21年10-12月の3ヶ月は毎月通信費が前年同月比53.6%減と足を引っ張っているため実態通りに反映されていない可能性があります。

 

しかし世界的な資源高、穀物高の影響から、足元ではインフレが私たちの実生活を徐々に侵食してきています。

原油高からガソリン価格は21年2月に136.1円だったものが22年2月には165.6円で21.6%上昇しています。また穀物高から近所のスーパーで買う食パンも、以前は高くても128円だったものが158円以下に値段が下がらなくなっています。

また外国人労働者流入してこない中で、単純作業分野で人手不足となり、アルバイトの人件費も上昇してきました。

今後もコスト上昇に耐えきれなくなった企業は、急激に消費者に転嫁し値上げしてくるでしょう。

 

今回日銀が示した無限買いオペでの緩和姿勢は、ゼロ金利に慣れてしまった日本の経済状況を考えると金利上昇の負の影響に対して正当化されるため、それはそれで正しい判断であると思います。

しかし、他国が利上げ傾向にある中での緩和は長期的な円安を招き、その対価として輸入物価の上昇でコストプッシュインフレを加速すると思います。

現時点では日本のCPIは低位で推移していますが、世界的に強いインフレ状況にある中、この状態がこのまま続くとは思えず、隠れていたものが急に表面化してくるのは時間の問題だと思います。

 

対岸の火事だと思っていた米国や欧州でのインフレが、いよいよ我々の間近にも迫ってきた感じがあります。他国同様、一般市民の生活は苦しくなる可能性が高いです。しかも日本の場合は賃金上昇が追いついていません。しかし、耐えるしかありません。

 

今後は日本の指標の変化にも注意を払いながら、政府や日銀の政策を注意深く見守っていきたいと思います。

まずは2月18日の日本のCPIに注目です。

 

以上

【1/31-2/4週の世界のリスクと経済指標】〜最後の緩衝地帯としてのウクライナの重要性〜

先週の評点:

 

リスク   -5点(31点): 悪化 (基準点36点) 

経済指標  -1点(102点):小幅悪化 (基準点103点)

 

 

【リスク】

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 先週のリスクはマイナス5ポイントの悪化となりました。

北京五輪開幕に先立ち、ロシアのプーチン大統領と中国の習近平主席が会談し、ウクライナ、台湾に対するお互いの姿勢を支持して蜜月さをアピールし、民主主義陣営との対決姿勢を示しました。

また前回北京五輪では幅広く80近い国から首脳が開会式に参加しましたが、ここ最近の中国の独善的な振る舞いと新型コロナの影響もあり、主に権威主義国からの参加に止まり民主主義国との溝が鮮明になりました。

 

またウクライナ情勢では、米国が8500人の派兵準備及び3000人規模のドイツ・東欧への派兵を発表しました。抑止力としての意味合いが強いですが、緊張が高まっています。

 

 

【経済指標】

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 先週の経済指標はマイナス1ポイントの小幅悪化となりました。

RBA(豪準備銀行)、BOE、ECBの政策金利発表がありました。

RBAはQEを終了させながらも利上げには慎重姿勢を示しハト派BOEは0.25%→0.50%と利上げ+QT開始でタカ派、ECBは金利据え置きながら年内利上げの可能性を排除せずこれまでのハト派からタカ派への転換を示しました。

コロナショック前もマイナス金利政策をとっており、元々ハト派色の強いECBがタカ派転換したことは、今や世界的にインフレ対策が大きな課題となっている表れであり印象的でした。

 

また、米国指標ではISM景況指数と雇用統計の発表がありました。

ISMは製造業、非製造業共に前月から低下を見せ、インフレ高進が徐々に景況感を圧迫して来ていることが示されました。

スタグフレーションとなる可能性が高まって来ているため、今後景況感などのソフトデータに注目が必要です。

また雇用統計では平均時給が前回、前月比0.5%に対し0.7%と強い上昇を見せ、賃金インフレの継続を示しました。

 

次週は2/10の米CPIの発表に注目です。

 

 

 

【先週のマーケットの振り返りと考察】

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 先週は米国株式指数が前週に続いて続伸、日経平均を含むアジア株式も米国株に連れて上昇しました。(上海は休場)

米株指数は今週も大型ハイテク企業の決算発表に一喜一憂し、大きく上下に振られる展開となりました。

下記はこれまでの大型ハイテク株の決算直後の騰落率です。(赤枠が先週決算発表の銘柄)

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大型株にも関わらず、決算が良ければ急上昇し、悪ければ急落する場面が目立って来ました。

昨年までは全体が上昇していたため指数自体が伸びていましたが、より個別要因が重要となって来ています。

また、金融引き締め傾向ににある中で、PERが高いため上昇幅よりも下落幅の方が大きい印象です。

株式指数自体は戻っていますが、2/4には金利が上昇する中でもハイテク株が強かったりと激しいボラティリティの中で違和感の残る動きが続いているため、株式を買いに走る状況ではないと考えます。

大型ハイテク銘柄の決算がほぼ終了し、牽引役がいなくなる次週からはどのような動きになるか注目しています。

 

 

 

〜最後の緩衝地帯としてのウクライナの重要性〜

さて、今週は緊張が高まっているロシアのウクライナへの侵攻懸念に関して改めて振り返ってみたいと思います。

 

今回のロシアのウクライナ侵攻懸念は、拡大するNATOに対するロシアの危機感の表れであると考えます。

NATOは元々強大なソ連軍に対抗して西側諸国で作られた軍事同盟でした。そのため本来であればソ連崩壊と共にその役割は衰退していくはずであったと考えられます。

しかし、NATOソ連崩壊後にもその役割を終えず、西側諸国の象徴として逆に旧ソ連圏でありワルシャワ条約機構のメンバーであった東欧諸国を民主化で飲み込み拡大していきました。

その中で旧ソ連の中心国であったロシアが、自らの同胞と思っていた国々が取り込まれながら、かつての敵陣営が間近に迫ってくることに脅威を感じ続けたことは容易に想像できます。

 

今回、ロシアはウクライナ国境付近への軍隊集結と共に、NATOに対して「NATO不拡大」を要求する安全保障提案を提示しています。

下記はNATO加盟国と、現在NATOが加盟申請国として認識している国を表したものです。

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現在、ウクライナボスニア・ヘルツェゴビナと共に、同じくロシアと国境を接するジョージアNATOへの加盟を申請しています。

ウクライナと共にジョージアまでもが加盟するとなると、ベラルーシ以外ほぼ全面に渡りNATO加盟国及び西側諸国であるフィンランドが迫ることとなり、ロシアが感じる脅威は計り知れないものになります。首都モスクワにも近く接地面積の大きいウクライナは最後の緩衝地帯として非常に重要なのです。

 

従ってロシアの今回の主張自体は理にかなったものであると考えられます。そもそもNATOの設立の意義が対旧ソ連圏の軍事同盟であったのだとすると、ここまでの拡大路線が必要だったのかと疑問を感じます。

確かに西側諸国にとっては東欧諸国の民主化は歓迎すべきことでした。一方で緩衝地帯である東欧諸国を安易に「米国の同盟国」としての安全保障の枠組みにまで組み入れ過ぎた結果、強いロシアの警戒を招いたのだと考えます。

 

ウクライナジョージアNATO入りを巡っては、2008年にも独仏の反対によりは否決されています。外交上、弱腰を見せられない事情はありますが、両国の加盟はNATO内でも一枚岩にならないことから、NATOとしても「不拡大拒否」でなくもう少し融和姿勢を見せても良いのではないかと考えます。

 

一方で、ロシアもNATOの不拡大を訴えるのであれば、なぜ軍事行動に訴える必要があるのか疑問です。クリミア併合やウクライナ東部での独立運動への支援などの前科がある以上、軍事行動で訴えれば訴えるほど、近隣諸国は軍事的保護を求めてNATO加盟への傾倒を深めます。またNATO自体も警戒を高め拡大を強める結果となり自らの首を絞めることとなります。

 

地政学上、緩衝地帯は非常に重要です。

今回は、米国の対中傾倒や、欧州への影響力の衰退、また欧州のロシアへのエネルギー依存の高まりなどから、ロシアがここぞとばかりに緩衝地帯存続への警告として踏み込んできた感があります。

現在は互いに落とし所を模索していますが、最終的には互いにこれ以上踏み込むことはせず、ウクライナの中立性が保たれる様に暗黙の内に同意することでしか解決方法はないと考えます。

 

以上

【1/24-/1/28週の世界のリスクと経済指標】

先週の評点:

 

リスク   -2点(34点): 悪化 (基準点36点) 

経済指標  -1点(102点):小幅悪化 (基準点103点)

 

 

【リスク】

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 先週のリスクはマイナス2ポイントの悪化となりました。

先週はウクライナを巡るロシアの侵攻問題が緊迫感を増してきました。

ウクライナ国境周辺への10万人規模の軍隊の展開を続けるロシアに対し、米国は欧州に8500人規模の部隊を派遣する準備があるとしています。在ウクライナ大使館職員の退避も開始し、ロシアのウクライナ侵攻がいつ起きてもおかしくないと緊張を高めています。

また米欧はロシアが求めていたNATOの東方不拡大の合意を拒否を表明し、お互いの主張の妥協点が見えず外交的交渉は暗礁に乗り上げています。

ウクライナNATOに加盟することによって西側の影響力が目前に迫り、緩衝地帯がなくなることを恐れるロシアが実力行使に出る可能性を否定できなくなっています。

 

 

【経済指標】

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 先週の経済指標はマイナス1ポイントの小幅悪化でした。

欧米のPMIはまちまちで、供給制約の緩和の影響を受けたドイツが製造業、サービス業ともに上振れた一方で、米国はオミクロン株やインフレの影響が重く、失速状態にあることが示されました。

12月PCEコアデフレーターは前回4.7%、予想4.8%に対して4.9%と上振れし、インフレの継続を示しました。

FOMCに関しては後述します。

 

 

 

【先週のマーケットの振り返りと考察】

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  先週の株式指数は、前週に下げ幅の大きかった米国株が回復した一方、前週に下げ幅の少なかったアジア株(日経、上海総合、香港ハンセン)、欧州株(DAX、FTSE)などが引き続き下落しました。

中国株はFRBの引き締め政策から外国人投資家が売りに走ったのに加え、中国当局が不公正競争を取り締まる法整備を完成させるとの報道からハイテク株を中心に下落しました。

 

〜戻る株価と続くフラットニング

さて、先週は米FRBFOMCが開催され注目を集めました。

資産買入プログラムの3月終了と共に3月利上げ開始の方針が示され、毎会合での利上げの可能性も排除せず、利上げ開始後にQTを開始することも示唆されました。

これらはややタカ派ですが、事前に予想されていた内容の範囲となった印象です。

一方で利上げ幅や利上げペースに関しては明言されず、不透明感が残ったまま3月のFOMCまで持ち越しとなりました。

それを受けて、直近の大きなイベントを乗り越えた安心感からか、28日には株式指数は大きく反発し、ナスダック3.13%、S&P500が2.44%高、ダウ平均が1.65%高となり、週間でもプラスで終えています。

 

一方で、これで安心して再び株を買い向かえるのかと言うと、そうではないと考えます。

先週は一旦株高となったとは言え、イールドカーブは相変わらずフラットニングを強めています。

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チャートで見ても、一旦切り返したS&P500に対し、US10Y-US2Yの長短金利差は縮小傾向を強め、昨年10月上旬には1.3%弱あったものが0.6%4ヶ月弱で半分以下の水準になってきました。

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今回のFOMCで、FRBは次回会合から利上げを開始し、今後高いインフレ率が収束するまで辛抱強く続けていくことが明確になりました。

それにより利上げを反映して短い2年債利回りが上昇していますが、一方で利上げによって抑えられる将来の景気を反映して10年債利回りが上昇しない状態が続いています。

イールドカーブフラットニングを続けるからと言って、株価が急落するわけではないと思いますが、債券市場は強い引き締め姿勢から来る影響を正確に織り込んでいるものと思われます。

 

先週は大型ハイテク株の決算発表が行われ、AAPL、MFSTなどは好決算が素直に受け止められ決算発表後からそれぞれ7%弱上昇しています。

半導体不足やインフレから減速する可能性も考えられましたが、足元では見事に業績を伸ばし株価も回復しています。

 

ただ、利上げやQTの作用によって景気が実際に冷やされるのはこれからであり、従来よりも高いインフレ率が収束するまで辛抱強く続けられる引き締めに対し、今後も企業の業績が耐えられるかは未知数です。

そう考えると、やはり当分は株式を買い向かうタイミングではなくインフレと景気のバランスをじっくりと観察していく状況か思います。

 

以上

【1/17-/1/21週の世界のリスクと経済指標】〜崩れた逆相関〜

先週の評点:

 

リスク   -2点(34点): 悪化 (基準点36点) 

経済指標  -4点(56点):悪化 (基準点60点)

 

 

【リスク】

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 先週のリスクはマイナス2ポイントの悪化としました。

中国当局は、2月に開催する北京五輪に向け、参加選手のウイグルなどの人権問題への言及を処分の対象とすることを示唆し、言論統制を強める方針としています。

北京市内でのオミクロン株感染も確認され「ゼロコロナ」政策が展開される中、欧米諸国の外交的ボイコットや言論統制も加わり、2008年の前回北京五輪とは全く違った雰囲気での開催となりそうです。

 

 欧州情勢では、バイデン大統領は露がウクライナを侵攻するだろうと述べ、侵攻の際には露の銀行との米ドル取引を停止する方針を示しました。

また米国は露のNATO東方拡大停止要求に対してそれを固辞し、代わりに軍事演習制限を提示する方針としています。

恐らく露はその提案を拒否すると思われるため協議は平行線を辿り、不安定な状況が継続すると思われます。

 

 

【経済指標】

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 先週の経済指標はマイナス4ポイントの悪化となりました。

中国の10-12月期GDPは予想3.7%は上回ったものの前回の4.9%より大幅に減少した4.0%となり、不動産に対する規制や強いコロナ規制により中国経済の成長が鈍化していることが示されました。

その一方で中国人民銀行政策金利に当たるLPRを0.1%引き下げ3.7%とし、緩和することを発表しました。

世界がインフレ対策から利上げ傾向となる中での金融緩和は異質で、中国のインフレ率が今後どうなっていくのか注目が集まります。

 

次週は1月の米FOMCがあります。

3月に始まるとされている今年の利上げペース(3回か4回)とQTの開始時期に関してどのような言及を行い、インフレに対するFRBの焦りをどこまで見せるのか注目したいと思います。

 

 

【先週のマーケットの振り返りと考察】

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 先週は米株指数が大幅に反落しました。

前週はボラタイルながら何とか小幅下落で耐えていましたが、先週は米国の休場明けの1/18から、ハイテク株(ナスダック)、小型株(Russel2000)を中心に堰を切ったかのように下落しました。

欧州株や日経平均も下落はしていますが米国株と比較すると小幅な動きとなり、バリュエーションの高い米国株を中心にマネーが流出したことが示されました。

 

また、一方で中国は世界の潮流に逆らいLPRを0.1%利下げしたことで上海総合指数や香港ハンセン指数は反発しました。中央銀行の引き締め、緩和の政策の違いによってはっきりと明暗が分かれました。

 

 

〜崩れた逆相関〜

 さて、先週は米国株式に大幅調整が起こり、QT議論を示した1/5の12月FOMC議事要旨の発表を境に、マーケットが転換したことが明確に示されました。

私は10月以降、折りを見て米国債イールドカーブの動きを見ながら、債券市場がマーケットをどのように捉えているかを確認し指標としてきました。

下記はS&P500米国債の長短金利差(30年債利回りー2年債利回り)のチャートを重ねたものです。

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この青色線の米国債の長短金利差は縮小して低下するほどフラットニング、上昇し拡大するほどスティープニングとなります。

スティープニング長期金利の上昇によって将来の景気回復を意味しますが、フラットニングは足元の短期金利が利上げ観測により強く上昇しながらも、将来の景気減速を織り込んで長期金利の伸びが鈍化することを意味します。

 

長短金利差は21年3月頃をピークに縮小トレンドにありましたが、特に10月からは急速に利上げ観測を強めフラットニングを強めてきました。

一方でそれと同時期からS&P500は逆に拡大傾向を強め、インフレは一時的であり業績相場に移行すると楽観し、1/3にピークをつけるまで約11%上昇しました。

 

それが1/5を境に、長短金利差もS&P500も両方とも下方向へ動き、逆相関が順相関に変わりました。

利上げだけでなく投資家の予想を超えてQTまで議論されていたことが判明し、FRBの焦りに対して株式市場でも反応が示された形となりました。

この3ヶ月間、イールドカーブを見続けてきた中で逆相関には違和感がありましたが、株式市場が見ていた楽観が行き過ぎたものであり、債券市場が見ていた悲観が正しかったことが証明されました。

 

これらのことから、やはり債券市場の動きはとても重要で、特にインフレの高まりから利上げ観測が出るタイミングでのイールドカーブの動きには注意を払う必要があると感じています。

 

この先、先週のように大幅な下げが続くのかはわかりませんが、まだ米国株はバリエーションが高い水準であるため、実際に利上げが始まってすらいない現状では少なくともまだ買い向かえる状況ではないと思います。

 

引き続き弱気のスタンスを維持しつつ、日々のニュースを追いかけながら次の買い場が来るのを待ちたいと思います。

 

以上

【1/10-1/14週の世界のリスクと経済指標】

先週の評点:

 

リスク   -2点(34点): 悪化 (基準点36点) 

経済指標  -8点(42点):大幅悪化 (基準点50点)

 

 

【リスク】

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 先週のリスクはマイナス2ポイントの悪化でした。

新型コロナのオミクロン株の拡大は依然勢いが強いものの、英国や米NY州などは既にピークアウトの兆しが見られ、収束も早い可能性が出てきており、近い将来に再び景気回復が強まる期待も高まりました。

 

ウクライナを巡りロシアとの緊迫が高まる欧州では、ロシアが提案する新たな欧州安保案に関してNATOとロシアによる協議が行われましたが溝は埋まらず対立解消への進展は見られませんでした。引き続き協議を継続すると擦るものの、進展しないことを理由にロシアがウクライナ侵攻を仕掛ける懸念も生まれており注意が必要です。

天然ガスの主要産出国であるロシアとの対立が深まれば、欧州を中心に資源需給にも混乱が生まれることが予想されます。

 

 

【経済指標】

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 先週の経済指標はマイナス8ポイントの大幅悪化となりました。

中国のCPI、PPIは高水準であるもののやや落ち着きを見せ始めており、インフレのピークアウトの兆しが見え始めました。

 

一方で米国CPIは依然上昇を続けており、インフレが長引いていることを示しました。

また、インフレによる市民の苦しい生活を反映してか、12月小売売上高や1月ミシガン大学消費者態度指数などの消費者需要を測る指標が予想に反して低調に推移しました。

小売売上高に関しては、昨年のクリスマス商戦が品不足懸念で前倒しで購買されていたために下がった可能性もありますが、年末商戦の数値が落ちたことは非常に気掛かりです。

 

 

【先週のマーケットの振り返りと考察】

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先週の株式指数は主要先進国指数は激しいボラティリティの中、週を通して見るとやや下落となりました。

特にナスダックの動きが激しく、1/10には一時3.6%安となるものの、その後戻しプラ転するなど、大きく上下することもありました。

利上げ観測が強まる中、既に崩れている小型ハイテク株に続いてGAFAMなどの大型ハイテク株もボラタイルな動きの中で徐々に崩れてきた印象です。

 

新興国株式としては、資源高を背景にブラジルボベスパ指数は反発しましたが、前週に続きロシアRTS指数はウクライナ侵攻やカザフスタンの動乱を巡ってリスク回避で大幅反落となりました。

 

 

スティープニングしないイールドカーブ

さて、私は前週にQT議論が出たことによってイールドカーブスティープニングするのではないかと予想していましたが、先週は一転フラットニング傾向が強くなりました。

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これは12日に発表された米CPIで予想に一致したものの7%という高い数値が出たことや、先週、パウエル議長、ブレイナード理事への議会公聴会を始め、多くのFRB高官がタカ派発言を行ったことが影響していると思われます。

 

下記に発言内容をまとめています。

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 先週はボウマン理事以外の全てのFRBメンバー14人が発言していますが、その全てが利上げについて発言しています。

これにより、ほぼ3月FOMCでの利上げが地固めされたことが認識できますが、さらに今年の利上げ回数4回以上とするメンバーが14人中5人、そしてBS縮小(QT)にまで踏み込んだメンバーも14人中4人いました。

また従来強いハト派であるシカゴ連銀のエバンス総裁さえも今年の4回の利上げおよびQTへ言及しています。

これらのことから、FRB当局者の目標が完全に雇用対策からインフレ対策に変わり、さらに前のめりとなっていることがわかります。

 

イールドカーブフラットニングの動きは、これらのFRB高官の相次ぐタカ派発言で足元の利上げが強く意識され、短い年限の金利が上昇したことが伺えます。

 

一方で長期金利の反応は鈍く、ウィリアムズNY連銀総裁が「BS縮小は長期金利の上昇に寄与する」とQTの目的をスティープニングであると明言していましたが、あまり大きな動きは見られませんでした。

FRBはQTを使うことによって長短金利差の縮小を抑えようとしていると思いますが、今のところはタカ派への急転換が強すぎるだけに、引き締めへの焦りを示すだけになってしまっている印象です。

 

また先週発表された12月小売売上高、ミシガン大学消費者態度指数が低調に推移しインフレの影響による消費の停滞が見られたことから、スタグフレーションの可能性も意識され、将来の景気を表す長期金利が上昇しにくくなっているのかも知れません。

 

私は先週、バリューへのセクターローテーションの中で、イールドカーブスティープニングを予想し銀行株への投資を検討していましたが、上記の通り想定通りの動きが見られなさそうであるため一旦銀行株投資は取りやめとしました。

 

一方で、先週は主要国でのオミクロン株拡大のピークアウトの兆しが見られたことや、産油国カザフスタンの混乱や、ウクライナを巡るNATOとロシアの対立など地政学的なリスクから原油が上昇し直近高値圏まで高騰しました。

そのためバリューの中でもより直接的なインフレの影響が大きく、テクニカル的にも新高値更新しているエネルギーセクターとして日本の総合商社の個別株にインフレヘッジとして投資を行いました。

 

全体としては株式30%のポートフォリオで弱気継続ながらも、大型ハイテク株の影響の大きい株式指数の停滞を補うべく5%の個別株を組み入れた形となります。

 

以上

【1/3-1/7週の世界のリスクと経済指標】〜QTによるイールドカーブの変化の兆し?〜

先週の評点:

 

リスク   -6点(36点): 悪化 (基準点36点) 

経済指標  +9点(114点):良化 (基準点105点)

 

 

【リスク】

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 先週のリスクはマイナス5ポイントの悪化となりました。

オミクロン株は重症化率は低いものの、高い感染率により企業や公共サービスの担い手が大量に隔離されることで新たな供給制約につながる可能性が懸念されます。一方でコロナとの共存政策をとる英国では、新規感染者数がピークから2割減少しピークアウトが鮮明となってきました。南アフリカ同様、感染スピードが早い分ピークアウトも早い傾向も出てきました。

 

地政学リスクでは、ロシアからのNATOの拡大停止を求める欧州安保案を拒否する構えを打ち出しました。ウクライナ国境付近ではまだ10万人規模の露軍が展開していると見られ、さらに先週は燃料価格高騰によるデモ鎮圧のためにカザフスタン内にCSTOとして露軍が展開を始めています。

旧ソ連圏を中心に欧州での露軍の展開が加速しており、12日のロシアとNATOとの会合の結果如何では新たな展開も考えられるため注意が必要となっています。

 

 

【経済指標】

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 先週の経済指標はプラス9ポイントの良化となりました。

先週は、指標でありませんが12月FOMCの議事要旨が発表され、テーパリングの加速および22年の3回の利上げと共にQTまで議論されていたことが判明し、予想以上にFRB当局者の考えがタカ派に振れていることを示しました。

またその後の米雇用統計で、非農業部門雇用者数変化が予想400Kに対して190Kと届かずも、失業率は予想4.1%に対して3.9%、平均時給は予想0.4%に対して0.6%となり、雇用の逼迫し完全雇用に近い状態であることを示し、FRBタカ派を正当化しました。

 

次週は米12月CPIの発表に注目します。

 

 

【先週のマーケットの振り返りと考察】

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 先週の株価は米長期金利の上昇やFRBのQT議論を受け、バリュエーションの高いナスダックが大きく下落しました。一方でFOMC議事要旨発表前の週前半に大きく上昇していたこともあり、ダウ平均、欧州株指数、日経平均への週を通しての影響は限定的でした。

またロシアRTS指数は、原油価格上昇が追い風にならず、ウクライナ侵攻リスクやカザフスタンでの騒乱を受け、リスク回避の動きが高まり大きく下落しました。

 

 

〜QTによるイールドカーブの変化の兆し?〜

 12月FOMC議事要旨でテーパリングの加速、22年の利上げ回数3回の見通しだけではなくQT(量的引き締め)まで議論されたことが明らかになり、マーケットが想定していたよりもFRB当局者がタカ派となっていることが示されました。

それに伴い利上げが意識されやすい短い年限の利回りが強く上昇しフラットニングしました。

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また金曜日の1月雇用統計では、失業率、平均時給が大きく改善し完全雇用状態と共に賃金インフレが続いていることを示され、FRBタカ派傾倒が正当化されました。

しかし、それに伴いこの日は2年債利回りはやや低下しながらも、中長期の年限の利回りを中心に上昇しスティープニングしました。

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QTに関しては、過剰流動性を直接的に低下させてマーケットを冷やすと同時に、12月にFRBのウォラー理事が発言していた様に利上げと併用されることによって利上げペースを緩める効果があると考えられます。

またそれによってイールドカーブフラットニングを抑え、将来的な景気を冷え込ませないというFRBの狙いもあると考えます。

そのため、雇用統計の結果で上昇するかと思われた2年債利回りの低下は、QTによる効果を早速反映した可能性があると思います。

 

週を通しても、ややベアスティープニング傾向となりました。

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 利上げに加え、QTも想定されるとなると資金の流動性は低下し、これまでの様な何でも買われるカネ余り相場は終焉することを意味します。

今後、インフレ指標が落ち着かない限りは長期金利はさらに上昇すると思われ、QEによる過剰流動性で膨れ上がったハイグロ株などのリスク資産にとっては向かい風となることが予想されます。

また、S&P500、MSCIコクサイなどのインデックス指数も、加重平均のため割合の大きいハイグロ株の影響を受けやすく、今後じわじわ調整が続く可能性が高いと考えます。

 

 一方で先週はグロース株の多いセクターは下落する一方、素材、金融、エネルギーなどのシクリカルセクターの下落は限定的、もしくは上昇しておりセクターローテーションしたとも言えます。

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先述の通り、FRBのQTの狙いの一つがイールドカーブスティープニングであるならば、長短金利差で稼ぐ銀行株にはより有利となると思います。

 

先週、金利の急上昇を受けて長期投資ポートフォリオMSCIコクサイの割合を30%から25%に減らしましたが、今後のイールドカーブの動向を確認しながら、減らした5%分での個別銀行株への投資を検討したいと思います。

また1/14から銀行株の決算発表が始まりますが、金利がやや上昇傾向にあった4Qでの業績内容にも注目したいと思います。

 

以上