【2023年6/12-6/16週の世界のリスクと経済指標】
先週の評点:
リスク -1点(29点):小幅悪化 (基準点30点)
経済指標 -6点(80点):悪化 (基準点86点)
【リスク】
先週のリスクはマイナス1ポイントの小幅悪化となりました。
先週はNATOで加盟国の国防担当閣僚が集まり、冷戦終結後初となる新地域防衛計画の策定を議論しましたが、合意に至りませんでした。トルコがキプロスなどに関する地理的位置の表現を巡って反対した模様です。ロシアのプーチン大統領が近々トルコを訪問するとのニュースもあり、ロシアと関係の深いエルドアン大統領の再選が、再びNATO足並みを乱す可能性が高まってきました。
また米中対立では、気球問題で延期となっていたブリンケン国務長官の訪中が正式に発表されました。最近は米国側が歩み寄りながらも中国が拒絶するという関係が続いていましたが、偶発的な衝突を防ぐためにも対話が再開されることは歓迎されます。
【経済指標】
先週の経済指標はマイナス6ポイントの悪化となりました。
注目の米5月CPIはコア指数が予想を上回ったものの、総合指数は予想を下回り、両指数共に前回値より低下したことでインフレの鈍化が示されました。
FOMCでは事前の予想通り金利据え置きが発表されました。一方でドットチャートは23年末金利予想が前回値より50bps上昇が示され、サプライズとなりました。
その他5月小売売上高はマイナスの予想が出ていましたが、プラス圏を保ち米景気の底堅さが示されました。
【先週のマーケットの振り返りと考察】
先週も株価指数は堅調に推移し主要指数は大幅に反発しました。
特に日経平均への海外勢を中心とした買いが続き、日銀の緩和維持の政策発表も相まり、4.47%の強い上昇となりました。
先週の株価の動きの要因は下記の通りです。
・6月FOMCでの金利据え置き観測の高まりから、強気のモメンタムが前週から継続。
・5月CPIが総合、コア指数ともに前月より低下を示したことで金利据え置き観測を下支え。
・6月FOMCではドットチャートは23年末50bps上振れも、予想通り金利据え置きとなり強気が継続。
先週は、前週にS&P500が直近安値から2割回復し強気相場入りしたことや、FRBが利上げ停止するとの観測からの強気のモメンタムが継続し、週初から堅調な動きとなりました。
それに加えて、火曜日にはCPIでコア指数は予想を上振れしたものの総合指数は下振れし、また両指数とも前月からは明確に低下し、ゆっくりながらインフレ鈍化していることが示されました。それにより金利据え置き観測が肯定され相場を下支えすることとなりました。
水曜日にはFOMC政策金利発表があり、マーケットの予想通り金利据え置きとなりました。またドットチャートは23年末の中央値が5.625%と3月の5.125%よりも利上げ2回分の上振れが示されました。一方でパウエル議長は記者会見で早急な利下げを否定したのと同時に、今後の利上げに関して「何も決定していない」とデータ次第の姿勢を示しました。そのため、マーケットにはあと2回の利上げはないと受け止められ、FedWatchでは年内はあと1回の利上げとそのまま年内維持が見込まれています。
1回の利上げは既に織り込み済みであったため、マーケットの強気はその後も継続し、週を通して主要指数の大幅上昇に繋がりました。また米株3指数で唯一回復が遅れていたダウ平均も木曜日に直近安値から20%回復し、強気相場入りとなりました。
上記の動きを踏まえ、現在のファンダメンタルズの状況をまとめると下記になります。
・債務上限問題の様なノイズが消えた。
・インフレ率はゆっくりながらも確実に低下傾向。
・利上げは多くてもあと1回か2回で予測範囲内。
・景気が予想外に堅調。
・米株3指数が強気相場入りし、株の戻りが予想以上に強い。
株の戻りが早いことがやや想定外ですが、ファンダメンタルズが改善したのとは別軸で、AIという新たなテーマが出現したことでブーストされ戻り速度が早まっていると考えられます。この流れに早めについていくこととし、ポートフォリオの株式の割合を10%引き上げ強気とし、また同時にヘッジとしての債券も10%増やしたいと思います。ついてはMSCIコクサイ50%、外国債券(為替ヘッジあり)25%、金(為替ヘッジあり)5%、現金20%とします。
以上