投資家見習いのブログ

世界の地政学的リスクと経済指標を独自の数値で可視化し、マーケットを語ります。

【2023年6/26-6/30週の世界のリスクと経済指標】

先週の評点:

 

リスク   0点(30点):中立 (基準点30点) 

経済指標  +9点(86点):大幅良化 (基準点77点)

 

 

【リスク】

 先週のリスクは±0ポイントの中立でした。

 先週はフランス国内での暴動が話題になりました。アラブ系の17歳の少年を仏警察が射殺したことを受け、仏国内で有色人種者を中心に反差別デモが発生しました。当局も警戒を強めていますが、各地へ飛び火し仏国内での大暴動へと発展しています。今回のデモが主に移民によって行われていることから、移民排斥を唱える極右勢力の勢力拡大にもつながる危険性があります。仏ではたびたびデモが起こりますが、インフレによる移民=低所得層の経済的な不満からも来ていることが予想され、白人対移民、富裕層対低所得層という分断が広がる可能性が考えられます。

 一方で先週発表されたフランス、ユーロ圏のCPIは予想を下振れし、インフレ率の鈍化を示しました(ドイツは上振れで加速)。また米国のPCEデフレーターも総合指数、コア指数ともに予想を下回り、全体的に下げ渋りながらも確実にインフレが収まってきていることが示されました。

 

 

【経済指標】

 先週の経済指標はプラス9ポイントの大幅良化でした。

米国のケースシラーや消費者信頼感指数などの景気系指標は概ね改善を示し、またPCEデフレーターは総合、コア指数共に前回と予想を下回り鈍化を示しました。インフレは低下しながらも景気が堅調さを維持していることで軟着陸の可能性も期待される結果となりました。

 

 

【先週のマーケットの振り返りと考察】

 先週の株式指数はワグネルの反乱による混乱を受けたロシアRTS株式指数以外は堅調に推移しました。

 

先週の株式の動きの要因は下記の通りです。

・新築住宅販売件数、消費者信頼感指数などが堅調さを示し、景気の底堅さが示される。

・米1-3月期GDP確報値が改定値1.3%から2.0%に上方修正し、こちらも堅調さを示す。

・米5月PCEデフレーター、コアデフレーター共にインフレ鈍化を示す。

 

 先週は28日にECB主催の討論会でパウエル議長が発言し、「一段の引き締めが必要だと多くの当局者が見ている」とし、年内にあと2回の利上げの可能性を示唆しました。しかし、マーケットではあと1-2回の利上げはFOMCや議会証言で既に織り込んでいるためか、悲観になることなく限定的な反応となりました。

 むしろ先週は新築住宅販売件数やケースシラー、消費者信頼感指数、1-3月期GDP確報値などで数値が持ち直し、強い景気が示されたことが歓迎されました。新築住宅販売件数は前回68万件、予想67.5万件に対し76.3万件と増加し、ケースシラーでも-2.6%の予想に対して-1.7%と予想を上振れました。消費者信頼感指数では前回102.5、予想104に対して109.7とこちらも大幅に上振れました。加えて米1-3月期のGDP確報値が1.3%から2.0%に上振れたことで、米国景気の堅調さが示されました。

 以前であれば経済の強さが示されることはFRBの引き締め政策の継続につながり、株安の要因となっていました。しかし、現在は十分に金利が引き上げられてインフレ率も徐々に下がり、利上げの最終仕上げに入っています。そのためか、引き締め要因となるようなニュースに対してもマーケットの反応が薄くなり、指標の捉え方も景気の良さをポジティブに捉えるようになった印象です。30日のPCEデフレーターがゆっくりながらも確実に鈍化を示したことも後押しとなり、株価は週を通して大きく反発しています。

 

 これらのことから、株式市場においては利上げの影響が大きく薄れてきたと考えられるため、次週も引き続き株式50%の強気のポートフォリオを継続します。

 

 一方で先週、為替は2年債利回りの上昇と共にパウエル議長の「年内1-2回の利上げ可能性」を織り込みドル高が進み、特にドル円は一時145円にタッチしました。先週示された様にドル円政策金利への感応度が高いため、おそらく近々来るであろう米金利の打ち止めを睨んで反転する時期が来ると思います。ポートフォリオの株式部分は外国株式での運用となっており為替の影響も大きいため、こちらの動きには注視したいと思います。

 

次週は米ISM景況指数、雇用統計があります。為替の動きも含めて注視したいと思います。

 

以上