投資家見習いのブログ

世界の地政学的リスクと経済指標を独自の数値で可視化し、マーケットを語ります。

【2023年7/10-7/14週の世界のリスクと経済指標】

先週の評点:

 

リスク   2点(32点):良化 (基準点30点) 

経済指標  1点(58点):小幅良化 (基準点57点)

 

 

【リスク】

 先週のリスクはプラス2ポイントの良化となりました。

世界的に大きな課題となっているインフレにおいて、影響力の大きい米国での鈍化が顕著になってきました。米国のインフレは、米国民のみならず、米金利高からの自国通貨安により新興国の人々の生活も苦しめてきました。それがインフレが順調に鈍化してきたことが何よりも大きな改善となりました。

 一方で、中国ではCPIが0%で物価が上昇していないことが示され、デフレの瀬戸際にあることが示されました。ゼロコロナからの復活が期待された中国ですが、回復しない不動産価格や分断による輸出減、当局による企業への介入などの様々な理由により低迷が続いています。中国当局による景気刺激策も期待されていますが、今のところは明確な方針が示されていません。

 

【経済指標】

 先週の経済指標はプラス1ポイントの小幅良化となりました。

先週は中国のCPI、PPIが低調に推移したことや、中国向けの輸出が多い欧州の景気指数が低下し、中国経済の停滞が示されました。

一方で米国のCPI、PPIでは明確に鈍化が示され、加熱し過ぎたインフレが明確に落ち着きを見せました。

 

【先週のマーケットの振り返りと考察】

 先週の株価指数も概ね堅調に推移しました。日経平均は、ドル円が週間で3.34円も円高となったことで、米国株式に連れ高とならず横ばいとなりました。一方で中国のCPIが低迷したことで、中国当局の景気刺激策への期待感から香港ハンセン指数は大幅に反発しました。

 

先週は米CPIを中心に相場が大きく動きました。

米6月CPIは前月4.0%、予想3.1%に対して3.0%、コア指数も前月5.3%、予想5.0%に対して4.8%と下振れとなりました。昨年6月のピークとなった大幅上昇が計算に入らなくなったことも寄与していますが、コア指数は前月比でも前月0.4%、予想0.3%に対して0.2%と下振れし、インフレの順調な鈍化が示されました。

 それを受けて2年債利回りは前週末比で一時0.343%も低下し、また9月FOMCでの利上げ確率も低下しました。利上げの早期停止を織り込んだ株式市場は伸長し、S&P500は節目の4500ポイントを上抜けました。

 

 前週に出た雇用統計では平均時給が年率換算で4.4%の上昇と示されていました。先週示されたCPIと比較すると、コア指数は4.8%とあとわずか0.4%差、またサービス業の実情を表す数値であるスーパーコア指数に至っては前年比4%となり、平均時給の伸びを下回ってきました。

(総合指数はもっと低い3%となりましたが、エネルギーのマイナスの影響が大きいため、額面通りに比較することは難しいと判断し除外します。)

これらは言い換えるとサービス業の物価=企業の収益の伸びよりも従業員の給与の伸びが上回り始めているということです。これまでは、高い従業員給与の伸びをより高い物価の伸びが吸収してきました。しかし、それが逆転したことで今後は従業員給与が企業収益を圧迫し、企業が従業員の雇用を控えるようになる可能性が高くなると考えます。

 

 前週のアウトプットでも分析したように、これまで粘着的に強さを残していた雇用でしたが、既に黒人やヒスパニックなどのサービス業を担うマイノリティの失業率の悪化が認められます。平均時給の伸びよりも物価の伸びの方が低くなったことで、今後マイノリティの雇用が減少する傾向は強まる可能性が高く、インフレもそれと共に鈍化を強めると思います。

再来週に行われるFOMCでは利上げが既定路線となりますが、9月FOMCは、あと2回のCPIの発表があるため、これ以上利上げしない可能性も高いと考えます。

ついては引き続き株式50%の強気のポートフォリオを継続します。

 

 話は変わり、米国企業の2Q決算発表が始まりましたが、売上高、EPSが予想を上回りながらも値下がりもしくは伸び悩みを見せた銀行株が気になります。JPM、WFCは一時は2.7%高、3.66%高まで伸びたものの売り戻りで終値では0.6%高、0.34%安となり、Citiに至っては4%安となりました。商業用不動産ローンに対しての貸倒引当金の積み増しなど、不透明な先行きが嫌気されたと考えられますが、景気敏感関連はやや売られやすくなっているような気がします。今回の決算で株価が更に上昇するにはAIテーマに支えられたGAFAMにNDVAとTSLAを加えたMagnificent Sevenの決算次第のような気がします。19日のTSLAから始まるMagnificent Sevenの決算発表にも注目します。

 

<Magnificent Sevenの決算発表予定>

7/19 TSLA

7/25 GOOGL

7/26 META

7/27 MSFT、AMZN

8/3 AAPL

8/23 NVDA

 

以上